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《コラム》帰属所得と財産分与

 
 2023年の共働き世帯数は、専業主婦世帯数の3倍近くになり、家事・育児は夫婦で共に担う時代になりましたが、平成の初期まで専業主婦の世帯数の方が多く、配偶者の内助の功で家庭が運営されていました。

◆帰属所得は課税されない
 配偶者が家庭内で家事育児を行うと、その役務提供には経済的価値が生まれます。これを帰属所得といいます。しかし、家事育児労働に対価が支払われることはなく、課税もされません。これは家庭内の労務報酬の算定が実際には困難であることによります。また所得税は一人ひとりに課税されるのですが、家計を消費単位として見た場合、帰属所得は家計に包含されてしまうので課税しないという見方をしているのかもしれません。

◆財産分与で2分の1を清算
 離婚すると財産分与が行われます。婚姻中、各人の給与や事業などから得た財産と共有名義の財産、帰属不明の財産は共有財産となり、その2分の1が夫婦間で清算されます。
 給与や事業収入などで得た財産は、婚姻中は各人の特有財産なのですが、離婚すると夫婦の協力により得られた共有財産として財産分与されます。将来、受け取る厚生年金も、婚姻期間に対応する年金額の2分の1は財産分与の対象となります。

◆財産分与に対する贈与課税
 財産分与は資産の贈与ですが、贈与課税はされません。これは婚姻中に生じた財産分与請求権が離婚時に行使され、同等の価値の財産を得るためとされています。ただし、分与額が多すぎる部分や相続税の回避と認められる場合は贈与課税されますので注意しましょう。
 また、財産分与者は財産分与義務が消滅して得られる利益と財産分与により失う財産の価値が見合うため、課税されません。ただし、不動産など譲渡所得の基因となる資産が移転する場合は、財産分与時に実現する譲渡所得に課税されますので、こちらも注意しましょう。

◆死亡すると相続財産に変わる
 夫婦が死別すると財産は遺贈されたものを除き相続財産となり、配偶者はその法定相続分を取得できます。ここでは財産分与のときの共有財産は認識されず、相続財産になっています。配偶者には相続税の税額軽減が適用され、老後の生活保障に一定の配慮がされています。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

 

2024年10月29日

《コラム》令和6年度地域別最低賃金

◆47都道府県で50円~84円の引上げ
 令和6年地域別最低賃金改定額が中央最低賃金審議会で取りまとめられ公表されました。各都道府県労働局長の決定により10月1日より順次発令されます。
 地域別最低賃金の全国整合性を図るため目安額のランクを設けていますが、3区分の改定額を見て行くとAからCの47都道府県すべてが50円以上引き上げられ、引上げ幅の最高は徳島県の84円でした。額では東京都が時給1,163円と最高です。
 最高額1,163円と最低額951円の金額差は212円です。差の割合は81.8%と地域格差は少しずつ改善しています。

◆28県で目安を上回る回答相次ぐ
 近年最低賃金は引上げの流れが続いていますが、消費者物価の上昇が大きいことも背景にあり、最低賃金引上げ幅も上昇しています。目安を上回る引上げが賃金の低い地方で相次ぎました。少しでも近隣の地域より高くすることで地域経済を活性化して若年層の流出を防ぎ、労働人口を確保するためには目安より高い金額が必須と上乗せした回答が27県ありました。引上げ幅の全国加重平均額は51円で過去最高となっています。

◆令和6年度の改定額は以下の通り
・50円改定 東京1163円 神奈川1162円 埼玉1078円 千葉1076円 北海道1010円 宮城973円 栃木1004円 群馬985円 富山998円 山梨988円 長野998円 静岡1034円 愛知1077円 三重1023円 滋賀1017円 京都1058円 大阪1114円 奈良986円 岡山982円 広島1020円
・51円改定 石川984円 岐阜1001円 兵庫1052円 和歌山980円 山口979円 福岡992円
・52円改定 茨城1005円 香川970円
・53円改定 福井984円
・54円改定 秋田951円 新潟985円 熊本952円
・55円改定 青森953円 山形955円 福島955円 高知952円 大分954円 長崎953円 宮崎952円
・56円改定 佐賀956円 鹿児島953円 沖縄952円
・57円改定 鳥取957円
・58円改定 島根962円
・59円改定 愛媛956円 岩手952円
・84円改定 徳島980円


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2024年10月10日

《コラム》同族会社が借主の場合の貸宅地の評価


 借地権が設定された被相続人の土地は、相続税では「貸宅地」とされ、自用地価額から借地権価額を控除した金額で評価します。

◆通常の地代の場合は、財産評価通達で評価
 土地の使用の対価として通常、権利金を収受する慣行のある地域で通常の賃貸借契約により通常の地代を支払うとき、貸宅地は財産評価通達により評価されます。
 なお、通常の地代未満の地代を支払う場合も以下の算式で評価します。
 ●貸宅地の価額=自用地価額×(1-借地権割合)

◆同族会社に貸付けする場合の評価
 被相続人が同族関係者となっている同族会社にアパート経営をさせるため、自分の土地に借地権を設定する場合、借地契約を第三者との取引と異なる条件で行うと権利金等と実際の地代の水準に応じて借地権と貸宅地の評価は影響を受けます。
 以下は、権利金等の支払がない場合です。
① 相当の地代を支払っている場合
 権利金の認定課税を回避するため、権利金の支払に代えて相当の地代を支払う場合、借地権評価額は零、貸宅地の評価額は自用地価額の80%となります。
② 通常の地代を超え、相当の地代未満
 貸宅地の価額は、実際に支払う地代の水準に応じて決まります。
 ●貸宅地の価額=自用地価額-自用地価額×借地権割合×{1-(実際の地代-通常の地代)/(相当の地代-通常の地代)}
 ただし、貸宅地の価額が自用地価額の80%を超える場合は、被相続人が借地契約により土地利用の制約を受けていたことを考慮して80%を上限とします。
 なお、①②とも、20%分は同族会社の借地権として同族会社の株式評価上、純資産価額に算入されます。

◆小規模宅地等の特例による評価減
 さらに一定の要件を満たすと「貸宅地」は「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例が適用されます(200㎡まで50%減)。同族会社との賃貸借契約の締結、地代の支払(有償貸付)が前提となります。ただし、固定資産税程度の地代設定では営利性が認められず、「小規模宅地等の特例」の適用を受けることはできません。適用には相続開始前3年を超えて被相続人等の貸付事業の用に供されていること(特定貸付事業は3年以内も可)、事業承継要件、保有継続要件を満たすことが必要です。

 

 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2024年09月10日

《コラム》空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除


◆使いやすくなった? 特別控除
 被相続人(故人)の居住の用に供していた家屋や敷地等を相続した相続人が、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一定の要件を満たしてその家屋や敷地等を譲渡した場合に、譲渡所得から3,000万円を特別控除する、いわゆる「空き家の3,000万円控除」ですが、令和5年度の税制改正で、令和6年1月1日以降に行う譲渡については、一部要件等の変更がありましたので、おさらいしてみましょう。

◆主な要件は変わらず
 特例対象になる「家屋」および「敷地等」については、大きな変更はありません。大まかな要件としては
①昭和56年5月31日以前に建築された家屋
②区分所有建物登記がされている建物でない
③相続開始の直前に被相続人以外に居住していた人が居ない(ただし被相続人が要介護認定を受けて老人ホーム等に入所していたなど、一定の要件を満たしていればOK)
④売った人が相続または遺贈により取得したもの
⑤相続から譲渡までに事業や貸付または居住の用に供されていたことがない
⑥売却代金が1億円以下
⑦一定の耐震基準を満たすものか、被相続人居住用家屋の全部の取壊しをした後に敷地を売却する(令和5年までの要件)
⑧他の特例を使用していない
等です。

◆令和6年1月1日からの変更点
 今までは耐震基準を満たしていない場合は、耐震改修を行うか、取壊した後に譲渡しなければなりませんでしたが、令和6年1月1日以降の譲渡については、そのまま売却しても、譲渡後に買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修もしくは取壊しを行った場合でも、適用されることになりました。
 また、譲渡所得の金額から3,000万円の控除については、相続人の数が3人以上の場合は1人あたり2,000万円の控除になりました。

 

 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2024年08月27日

相続税路線価 16年ぶり2%超上昇 提供:エヌピー通信社


 国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2024年分の路線価(1月1日時点)、いわゆる〝相続税路線価〟を発表しました。全国約31万5千地点の宅地の平均は前年比で2.3%上昇。上昇は3年連続で、上昇率が2%を超えるのは08年(上昇率10.0%)以来、じつに16年ぶりのこと。現在の算出方法となった10年以降では最大の上昇率となりました。

 また能登半島地震の被災地の相続税路線価には「調整率」が適用されます。被害の大きさに応じて評価額が10~45%引き下げられることが決定。適用は阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨などに続き7例目です。23年2月28日~同24年末に相続した土地と、23年、24年に贈与を受けた土地が対象です。路線価に調整率を乗じて評価額を算出。調整率が最も高かったのは輪島市河井町や珠洲市飯田町などの「0.55」(引下率45%)でした。

 また、原発事故によって24年1月1日時点で「帰還困難区域」に指定されている域内の土地については「路線価等を定めることが困難」であるため、「23年分と同様に相続税等の申告にあたってはその価額を『0』として差し支えない」こととされています。

<情報提供:エヌピー通信社>

2024年08月05日

(後編)国税庁:障害者相談支援事業は消費税課税対象と注意喚起!


(前編からのつづき)

 しかし、国税庁は、「障害者相談支援事業」は、障害者に対する日常生活上の相談支援を行うもので、入所施設や病院からの地域移行等の相談を行う「一般相談支援事業」や、障害福祉サービスの利用に係る計画作成等の支援を行う「特定相談支援事業」には該当せず、また、社会福祉法に規定する他の社会福祉事業のいずれにも該当しないと指摘しました。
 さらに、当該事業については消費税法上、非課税の対象として規定されているものでもないことから、当該事業の委託は、非課税となる資産の譲渡等には該当せず、受託者が受け取る委託料は、課税の対象となるとして、注意喚起しました。

 厚生労働省においても、障害者相談支援事業は消費税の課税対象であり、自治体が当該事業を民間事業者に委託する場合、消費税相当額を加えた金額を委託料として受託者に支払う必要があること等について各自治体に周知しました。
 これまで非課税の扱いをしていた自治体においては、委託先の民間事業者の負担が生じないよう、配慮するとともに、消費税相当額を踏まえて適切に対応するよう、あわせて要請しております。

(注意)
 上記の記載内容は、令和6年6月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2024年07月31日

(前編)国税庁:障害者相談支援事業は消費税課税対象と注意喚起!

国税庁は、同庁ホームページ上において、「障害者相談支援事業を受託した場合の消費税の取扱い」と題したニュースをリリースし、社会福祉法に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等は、消費税が非課税となるが、「障害者相談支援事業」は、障害者に対する日常生活上の相談支援を行うものであり、社会福祉法に規定する社会福祉事業に該当せず、消費税の課税対象になる旨の注意喚起をしております。

 この背景には、「障害者総合支援法」を根拠に、市町村は地域生活支援事業である障害者相談支援事業を行いますが、当該事業における税務上の取扱いについて、誤認している市町村が多数ある旨の報道がされました。
 社会福祉法に基づく社会福祉事業は、消費税が非課税とされており、多くの市町村において、当該事業が社会福祉事業に該当するものと誤認し、誤って非課税扱いとして取扱っていたものとみられております。
 なお、社会福祉法上、「一般相談支援事業」及び「特定相談支援事業」は第二種社会福祉事業とされております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和6年6月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2024年07月31日

《コラム》配偶者の定額減税

◆所得税の納税者が対象
 所得税の定額減税は、所得税の納税者である合計所得金額1,805万円以下の居住者に適用され、所得税額から本人3万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき3万円が控除される制度です。所得税の納税がない人は定額減税を受けることはできません。

◆非居住者には適用されない
 定額減税は、海外で就職、留学などで国内に住所を持たない者、または1年以上、居所が国外にある者は対象となりません。

◆合計所得金額による扱いの違い
 合計所得金額48万円以下の配偶者は、所得税の納税がないため、同一生計配偶者となることで定額減税を受けられます。給与等の源泉徴収では、合計所得金額の見積額900万円超の同一生計配偶者は、扶養控除等申告書に氏名等が記載されていませんので「源泉徴収に係る申告書」を提出して月次減税を受けます。また、年末調整の際は「配偶者控除等申告書」又は「年末調整に係る申告書」を提出して年調減税を受けます。また、国税庁の様式以外も使用できます。
 同一生計配偶者に該当するかの判定は、原則、令和6年12月31日の現況で行い、年の中途で出国、死亡の場合は、出国日、死亡日で行います。青色事業専従者や白色事業専従者は同一生計配偶者に該当しません。
 また、合計所得金額48万円超となる共働き世帯などの配偶者は、自身が所得税の納税者として定額減税を受けます。

◆住民税は市区町村で計算
 住民税の定額減税は、納税者の所得割額から本人1万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき1万円が控除される制度です。所得割額がない人、均等割り額のみの人は、定額減税を受けることができません。定額減税の手続きは、各市区町村が実施します。
 なお、令和5年度の所得税確定申告では1,000万円超の給与所得者の同一生計配偶者であったため、給与支払報告書等に控除対象配偶者として記載されていない配偶者は、市区町村が令和6年度住民税の定額減税対象者として把握できていないため、令和7年度の住民税から控除を受けます。

◆控除しきれない人には調整給付
 所得税および住民税の定額減税を自身の納税額から控除しきれない人は、各市区町村から調整給付金を受けます。給付額の算定は各市区町村で実施してくれます。
 また、1万円未満の給付は1万円単位に切上げとなりますので、少し、お得です。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2024年07月09日

高野山が「入山税」導入へ 提供:エヌピー通信社




 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する高野山がある和歌山県高野町は、観光客から徴収する「入山税」など法定外税を2028年までに導入する方針を発表しました。オーバーツーリズム(観光公害)対策に充てたい考えで、税額などは今後調整していくそうです。

 町によると、高野山への観光客は年間約150万人で、紅葉シーズンには1日に3万人が訪れることもあります。町の人口は23年1月時点で2732人。急激に過疎化が進むなかで、観光客も利用するインフラの維持管理費の確保が困難になっています。

 法定外税とは、地方税法に定めがなく、各地方自治体の条例で導入できる地方税のこと。税収の使い道が自由な法定外普通税と、目的を定めた法定外目的税があります。00年4月の地方分権一括法による地方税法の改正で、法定外普通税が総務大臣による許可制から同意を要する協議制に改められると同時に、法定外目的税が創設されました。さらに04年度税制改正では、総務大臣への協議と同意が求められていた税率の引き下げ、廃止、課税期間の短縮についても不要としました。

 法定外税は全国の自治体で採用され、法定外目的税では東京都や京都市などが「宿泊税」を導入。法定外普通税では、東京都豊島区が狭小住宅の建設を制限するために導入している「狭小住戸集合住宅税(ワンルームマンション税)」や、世界遺産・宮島を訪問する際に納める「宮島訪問税」(広島県廿日市市)などがあります。過去には、多くの自治体で犬の飼い主が支払う「犬税」が導入されていましたが、1982年に廃止した長野県東筑摩郡四賀村(現:松本市)を最後に、全ての地方公共団体で廃止されています。

<情報提供:エヌピー通信社>


2024年06月26日

《コラム》インボイスで廃業のトップ業種は税理士

◆帝国データバンクが調査
 帝国データバンクによると、2023年中に休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む)は 5 万9105 件でした。2019年以降2023年初旬まで減り続けていた休廃業は夏以降に急増し、前年比110.6%と急増となりました。
 休廃業はこれまで、持続化給付金等の資金繰り支援が功を奏し、コロナ禍でも抑制された水準で推移してきましたが、2023 年に入り支援策の縮小、物価高、人手不足問題に伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営問題が押し寄せたため、収益面・財務面で傷ついた中小企業では「事業継続か否か」の決断を迫られ、「あきらめ廃業」を余儀なくされている、とのことです。

◆NHKの紹介報道
 4月2日NHK夜7時「インボイス制度 意外な業種に影響」というタイトルでのニュース報道がありました。「意外な業種」とは、ズバリ「税理士」です。
 2023年の廃業数の増加率が前年比で最も高かったのは「税理士事務所」だったのです。
 従前から税理士の高齢化が課題となっていた中で、競争激化による顧問企業の減少、顧問料の低下など経営環境の悪化がある中で、インボイス制度の導入など新たな業務のスタートなども影響したとみられる、と前記の帝国データバンク情報にあり、これを紹介していました。

◆全国企業「休廃業・解散」動向調査(2023)
 帝国データバンクの公開情報の「業種詳細 前年比増減率・休廃業率上位推移」の項目のところの「増加率 上位」の最上位に、「税理士事務所」があり、22年廃業30件、2023年廃業81件、前年比170%増と記されています。
 「休廃業・解散率 上位」の項目のところでも、「会計事務所(税理士事務所)」は2023年廃業率4.97%で上位4位に位置するとされています。
 因みに、「社労士事務所(社会保険労務士)」が2023年廃業率5.24%で、税理士事務所より上の上位3位の位置を占めています。
 社労士業界の休廃業・解散率の高さの原因は、税理士業界と共通しているように思われ、消費税インボイスの登録事業者になるか否かの判断に当たり、「あきらめ廃業」に舵を切ることになったところが多いのだと思われます。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2024年06月11日

《コラム》定額減税の対象となる人

◆定額減税が6月から
 本人と配偶者・扶養親族について一人当たり所得税3万円(住民税1万円)を減税しますという定額減税が6月から始まり、源泉徴収税額に影響が出ます。この適用対象となる本人と配偶者・扶養親族については、次のような適用要件があります。

◆減税を受けられる本人の要件
1.令和6年分の所得税の納税者
2.日本国の居住者
3.本年分の主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円以下(子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける人は、2015万円以下)

◆減税を受けられる配偶者の要件
1.この減税を受ける本人と同一生計
2.合計所得金額が48万円以下
3.非居住者でない
4.青色事業専従者給与受給者・白色事業専従者控除適用者でない
 合計所得金額48万円は給与年収では、103万円です。
 源泉所得税の徴収計算で「扶養親族の数」を一人増やすことになる源泉対象配偶者及び配偶者控除適用を受けられる配偶者とは範囲が異なっています。
 源泉対象配偶者は、合計所得金額が 95 万円(給与収入では 150 万円)以下が要件ですが、減税対象配偶者の所得要件は48万円以下です。

◆減税を受けられる扶養親族の要件
1.配偶者以外の親族
2.この減税を受ける本人と同一生計
3.合計所得金額が48万円以下
4.青色事業専従者給与受給者・白色事業専従者控除適用者でない
 上記における親族とは、民法に定める親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)をいいます。
 所得税の扶養控除の対象とならない16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)も控除金額の計算対象に含まれます。

◆要件充足のための追加申告書
 この減税を受ける本人の合計所得金額が900万円超のため、扶養控除等申告書の源泉控除対象配偶者の欄が空欄になり、減税対象配偶者要件に係る情報不足となる場合には、別途「源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」に同一生計配偶者の情報を記載して、給与支払者に提出する必要があります。

(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2024年05月29日

定額減税で自治体から不安の声 提供:エヌピー通信社


 2024年度税制改正法が成立し、所得税と住民税から1人当たり計4万円を減額する定額減税の6月開始が決まりました。こうしたなか、減税と給付の実務を担う企業や自治体は、税務や給与計算システムの改修といった準備に追われ、事務作業の複雑さに困惑しています。中でも自治体の担当者が頭を悩ませているのが「調整給付」の仕組みです。

 定額減税は、所得税と住民税所得割を課税されている納税者とその扶養家族が対象となります。ただ、一部の低所得層は納税額よりも減税額が少なく、減税額が余ってしまいます。この残額を現金給付するのが調整給付で、実施主体の各自治体は給付額を計算しなければなりません。

 しかし、24年分の所得税から引き切れなかった減税額が分かるのは、25年の2~3月の確定申告が終わってからの住民税が確定する5~6月以降となり、野党から「足元の物価高対策としては遅すぎる」と批判されました。

 この問題の解決策として政府が示したのが、デジタル庁による「推計所得税額等算定ツール」(仮称)の開発。自治体が持つ住民税などの情報をアップロードすれば、自動的に今年の所得税額が推計されます。自治体は結果を元に給付の準備を進め、今夏にも調整給付を始められるそうです。

 しかしツールの完成は5月末。一部自治体の担当者からは「実際に使えるかは完成したツールを見てみないと分からない」と不安視する声も上がっているのが現状です。

 


<情報提供:エヌピー通信社>


2024年05月24日

《コラム》一気に倍額!接待飲食費の金額基準の改正


◆交際費の基本
 交際費の損金算入については、法人の資本金ごとにルールが定められています。
・資本金100億円超:交際費の損金算入は一切認められません。
・資本金100億円以下1億円超:飲食費等の交際費の50%を損金算入可能。
・資本金1億円以下:飲食費等の交際費の50%か、800万円までを損金算入かを選択適用。
 尚、個人事業主については、税法上の上限額はありません。

◆変わったのは飲食等の金額基準
 令和6年度税制改正では、上記の交際費の損金算入のルールは変わらなかったものの、「交際費にしなくて良い」という飲食費の金額基準が令和6年4月1日以降、一人5,000円以下から1万円以下に変更となりました。
 新型コロナウイルス感染症の影響から窮地に立たされていた飲食業界ですが、徐々に持ち直してきており、あわせて企業が使っている交際費の金額も回復傾向にあります。ただ、物価の動向等を踏まえると「5,000円では法人間の接待に使い辛い」という感想を抱いていた方も多いのではないでしょうか。
 今回の改正については、今般の価格転嫁、ひいては賃上げという経済の好循環につながる事も期待されているのでしょう。

◆基準変更の注意点
 適用が4月1日のため、3月末決算法人以外の法人については、期中に5,000円と1万円の金額基準が混在するため、経費精算システム等で誤りが無いようチェックする必要が出てくる場合があります。また、交際費ルールを社内規定等で定めている場合は、改正を視野に入れて、社内規定等を改めるか検討しましょう。
 また、税込経理・税抜経理により交際費にしなくて良いかの判定基準が変わる(税込の場合11,000円で交際費等に含まれ、税抜の場合10,000円仮払消費税等1,000円で交際費に含まれない)のは従来と同様です。
 税抜経理の場合は、支払い先がインボイス発行事業者か否かでも、判定に影響がありますから、ご注意ください。 



(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2024年05月17日

《コラム》特定一般社団法人等への課税取込みと対予防策

◆2018年の見直しの一般社団法人等
 平成30年(2018年)の税制改正で、公益社団財団を除く一般社団財団法人で、次の①②の要件を満たすものは、「特定一般社団法人等」と規定されました。
①相続開始の直前における同族理事(被相続人、その配偶者、三親等内の親族、その他特殊関係者)数の総理事数に占める割合が2分の1を超えること。
②相続開始前5年以内において、同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。

◆みなし個人相続税課税
 特定一般社団法人等の理事である者(理事を辞任後5年未満の者を含む)が死亡した場合において、その特定一般社団法人等に遺贈があったものとみなして、みなし個人相続税課税がされます。
 相続税の課税価格に算入される金額は、その死亡した者の相続開始の時におけるその特定一般社団法人等の純資産額をその時における同族理事の数(被相続人を含む)で除して計算した金額です。

◆同族理事とは
 一般社団法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族、その他その被相続人と特殊関係がある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)のことを指します。3親等内の親族には、叔(伯)父、叔(伯)母、甥、姪が含まれ、従兄姉弟妹は含まれません。

◆一般社団抑止税制への予防的留意事項
 この制度では、特定一般社団法人等の理事が死亡した場合のことを規定していますが、一般社団法人の最高意思決定機関である「社員総会」の構成員の社員が死亡した場合を対象としていません。
 理事を孫など、被相続人になることと縁遠い世代にすることで課税取込みの制度から縁遠くすることは可能です。
 また特定一般社団法人等に該当したとしても、兄弟姉妹を含めて同族理事を増やすことにより課税対象額を少なくすることも可能です。さらには、理事を3親等内の親族等の範囲外(たとえば、従兄弟姉妹など)の者を多く含めることで、特定一般社団法人等から外れるようにすることも可能です。
 少し考えると、思わぬ課税取込みに対する色々な予防策を張っておくことができます。
 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2024年04月16日

《コラム》相続時精算課税贈与者が贈与した年に死亡した場合

◆相続時精算課税制度とは
 相続時精算課税制度は、受贈者の選択により、60歳以上の父母、祖父母などの直系尊属から18歳以上の直系卑属である推定相続人又は孫が贈与を受けたとき、課税価格から2500万円の特別控除後の残額に20%の税率を乗じた額を課税し、贈与者が死亡したときは、相続税額を計算する過程で先に課税された贈与税相当額を相続税額から控除して精算するものです。
 相続税の申告書において相続時精算課税贈与を受けた財産の価額を相続税の課税価格に加算します。相続税には基礎控除(3000万円と法定相続人1人当たり600万円)があるので、贈与税額が相続税額を超えるときは、先に申告納付した贈与税の還付を受けることができます。また相続時精算課税制度は贈与者ごとに、父母の双方からそれぞれ贈与を受けることもできます。

◆贈与者が死亡した年の贈与は相続税で申告
 相続時精算課税の適用を初めて受ける者は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書と一緒に提出します。
 相続時精算課税の適用を初めて受ける年に贈与者が死亡したときは、相続時精算課税選択届出書を贈与を受けた年の翌年3月15日(贈与税の申告期限)又は相続開始の日の翌日から10か月を経過する日(相続税の申告期限)のいずれか早い日までに相続税の納税地の税務署長に提出します。
 このとき贈与税の申告書の提出は要さず、相続税の申告書を提出します。

◆令和6年施行の改正内容
 令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以後の相続時精算課税贈与には、110万円の基礎控除が創設されました。110万円以下の贈与の場合は、贈与税の申告は不要となりますが、相続時精算課税選択届出書の提出は必要です。
 また相続時精算課税贈与を受けた土地・建物が相続税の申告期限までの間に、令和6年1月1日以後に災害により一定の被害を受けた場合は、相続税の課税価格に加算する額の計算の際、被災価額(保険金等で補てんされた金額を差引き後)を贈与時の価額から控除できます。

◆届出書の提出もれは暦年課税で思わぬ負担
 相続時精算課税の適用を受けようとするとき、相続時精算課税選択届出書の提出をうっかり忘れると暦年課税が適用され、思わぬ税負担が生じますので注意しましょう。
 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2024年04月09日

《コラム》中小企業支援 新たな資金繰り支援施策


 経済産業省は、令和5年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき、以下2点の新たな資金繰り支援を行います。

1.新たな信用保証制度を創設
 中小企業の4割が利用している信用保証制度で、依然として信用保証付融資の7割で経営者保証を徴求している現状を変えるため、保証料を上乗せすることで、経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設することに加え、3年間の時限的な保証料負担軽減策を行います。
 本制度については、3月15日より申込受付を開始し、それに先立ち2月16日より、要件確認などの事前審査も開始します。適用要件は以下の通りです。
①過去2年間において貸借対照表、損益計算書等その他財産、損益又は資金繰りの状況を示す書類を当該金融機関の求めに応じて提出していること(原則、貸借対照表及び損益計算書とするが、必要に応じて試算表や資金繰り表等も含む)。
②直近の決算書において代表者への貸付金(仮払金や未収入金も含む)がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。
③直近の決算において債務超過ではないこと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと。
④上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出すること。
⑤中小企業者が保証人の保証を提供しないことを希望していること。

2.コロナ資本性劣後ローン金利運用見直し
 コロナ資本性劣後ローンの黒字金利は、直近決算の黒字額から負担することになりますが、黒字額が小さい場合、金利負担により実態上赤字に転落する場合があります。そのため、直近決算で黒字の事業者が翌年度に黒字金利を支払った場合に、直近決算において事実上の赤字に陥る場合には、直近決算期後1年間については赤字金利(0.5%)を適用するという運用見直しを2月16日より行います。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2024年03月28日

与党税制改正大綱決定 3税の増税時期先送り 提供:エヌピー通信社


 自民・公明両党が12月中旬に2024年度与党税制改正大綱を決定しました。防衛費増額に向けた所得、たばこ、法人の3税の増税開始時期は、前年に続き大綱に明記しませんでした。27年度まで複数年で実施するため、26年開始となる公算が大きいとされています。子育て世帯に注目された扶養控除の整理は26年から縮小する方向でまとまり、25年末に結論を得ます。

 自民党の宮沢洋一税制調査会長は防衛増税の開始時期について、25年からの3年間と26年と27年の2年間の選択肢を提示し、「今年(23年)に決める」と意気込んでいました。しかし、自民党内の派閥で政治資金パーティーを巡る「裏金」疑惑が浮上。政治情勢から大綱にも明記しないこととなったようです。

 ただ、1本3円相当を値上げするたばこ税については、紙巻きより最大3割低く抑えられている加熱式の税率を同水準まで引き上げる方針を大綱に盛り込みました。企業やたばこ農家の予見可能性を高めるためで、25年末に法人税の付加税の税率を含めて開始時期を決めます。

 児童手当の拡充に伴う扶養控除の見直しは縮小する方向となりましたが、決定するのは25年末に持ち越しました。開始時期は26年から。与党税調に示された、控除額を所得税は38万円から25万円、住民税は33万円から12万円に縮小する政府案は維持します。

 公明党は0~15歳の年少扶養控除の復活を求め、政府の「異次元の少子化対策」との整合性から縮小に反対していました。ただ、25年中に目安となる政府案で課税所得が変わる場合に影響が出る教育関係などの既存の施策を確認し、縮小するかを25年末に判断するとの条件でまとまりました。

<情報提供:エヌピー通信社>


 
2024年01月19日

ゼロゼロ融資後の倒産が急増中 提供:エヌピー通信社


 新型コロナウイルスの影響を受けた企業を支えた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済ができず、倒産する企業が急増しています。足元の倒産件数は前年に比べて1.6倍となりました。背景にはゼロゼロ融資を受けた時には想定できなかった原材料高や人手不足がありそうです。

 そもそもゼロゼロ融資は、コロナ禍で売り上げが急減した中小零細企業を支えようと2020年3月に政府が始めました。売り上げが前年比15%減るなど一定の条件を満たせば、実質的に無担保で最大3年間は無利子で融資が受けられます。

 22年9月の受け付け終了までに約245万件、総額40兆円以上の融資が実行されました。融資を受けた多くの企業が、返済の猶予期間を3年間の無利子期間に合わせたため、今夏になって返済が本格化しています。

 帝国データバンク(TDB)によると、ゼロゼロ融資を受けた後に倒産した企業は20年7月から今年7月までで922件に上ります。特に今年1月~7月で354件と、前年同期(221件)の1.6倍に急増しています。4千万円以上のゼロゼロ融資を受けた都内の飲食店店主は「8月で無利子期間が終わり、毎月の返済額が8万円近く増えた。足元では材料費が2割上がり、人手不足で時給も上げないと従業員も集まらない」と窮状を訴えます。ある金融機関の担当者は「融資の返済と原材料高を乗り越えるには、コロナ前よりも収益力が高まっている状態が必要になる。返済開始とともに店をたたむケースが多い」と語ります。

 TDBの推計では、倒産企業が借りていたゼロゼロ融資の総額は計約532億円に上り、焦げ付いた融資は最終的に税金で穴埋めせざるを得ません。政府は今年1月、返済が難しい企業に元本返済を最長5年間猶予する借り換え保証制度を新たに始めました。ただ企業の収益力が上がらなければ問題の先送りになりかねず、金融機関を中心に返済企業の事業転換などの支援が急がれます。

<情報提供:エヌピー通信社>


 
2023年10月03日

《コラム》電子帳簿保存法の電子取引データ保存の猶予改正


◆改正された電子取引データ保存
 令和5年12月31日まで「宥恕(ゆうじょ)措置」が取られていた電子取引データ保存に関するルールが、令和5年の税制改正で変更されています。
 令和4年の税制改正で設定された、やむを得ない事情がある場合、税務調査等で出力書面の提示または提出に応じられれば、令和5年末までの2年間は電子取引データの紙保存も許されていたのですが、令和5年改正において宥恕措置は年末で廃止と明言されました。

◆宥恕措置は終わるが猶予措置ができる
 宥恕措置は終わりますが、「猶予措置」が新たに設定されました。
①保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要)
②税務調査等の際に、電子取引データのダウンロードの求め及び電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じることができるようにしている場合
 上記の条件を満たしている場合は、改ざん防止や検索機能などの保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子データを単に保存しておくことができるとしています。
 宥恕措置との違いが分かりにくいようですが、宥恕措置では調査等での「ダウンロードの求め」に応じる必要はありませんでした。新たな猶予措置では紙保存した電子取引データも「ダウンロードの求め」に応じる必要がある、というのが異なる点です。
 公官庁内のDX・ICT化が急速に進む中、市井との温度差を感じ取ったのか、なし崩し的な改正に感じられます。法的には緩くなった半面、ペーパーレス化や事務合理化を推進し、宥恕期間終了時からのルールを策定しようとしていた企業は、改正によって振り出しに戻るケースもありそうです。

◆宥恕措置中の出力書面の取扱い
 宥恕措置中の電子取引データをプリントアウトした書面は、保存期間が満了するまではそのまま保存しておき、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば問題はないとされています。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)
 
2023年06月20日

《コラム》相続税申告前に相続人が死亡した場合


 短期間に相続が相次ぎ発生することがあります。父、母、子2人の4人の親族関係で母が4月1日に死亡、父と子2人が相続人となりましたが、相続税の申告前に父も続けて8月1日に死亡した場合の申告は、どうなるでしょうか?

◆申告義務は相続人に承継される
 一次相続(母)の相続税申告義務は、父と子2人にありますが、父がその後、死亡したため、父の申告義務は相続人(子2人)が承継します。子2人は、一次相続(母)の相続人として相続開始を知った日の翌日から10か月後の翌年2月1日が申告期限となり、父から承継した一次相続(母)の申告期限は、父の相続開始を知った日の翌日から10か月後の翌年6月1日となります。
 なお、二次相続(父)の申告期限は、父の相続開始を知った日の翌日から10か月後の翌年6月1日となります。

◆一次相続の遺産分割協議書の記載
 子2人は父の権利義務を承継します。一次相続(母)の遺産分割協議書には、一次相続の被相続人(母)、二次相続の被相続人(父)の最後の本籍、最後の住所、出生日、死亡日、氏名と、相続人兼父相続人として子2人の本籍、住所、出生日、氏名が記載されます。  
 子2人は、母の遺産分割協議に参加し、父と子2人がそれぞれ、母から相続する財産、債務について遺産分割協議書を作成します。また、父が一次相続で母の財産・債務をどのように承継するかは、父の生前の希望も尊重しつつ、二次相続の承継による税負担と併せて検討することになります。

◆法定相続情報は被相続人ごとに作成
 一次相続(母)の相続税申告書には、一次相続(母)の法定相続情報一覧図(相続人は、父と子2人)と二次相続(父)の法定相続情報一覧図(相続人は、子2人)を、それぞれ別々に作成し、添付する必要があります。
 これは、法定相続情報一覧図は、被相続人が死亡した時点で誰が法定相続人であるかを示すものだからです。
 したがって一次相続(母)の法定相続情報一覧図には、被相続人は母、相続人は父と子2人の情報を記載し、二次相続(父)の法定相続情報一覧図には、被相続人は父、相続人は子2人の情報を記載します。先に死亡した母を「亡妻」と記載することもあります。2つの法定相続情報一覧図を重ねることにより、一次相続の申告は二次相続を経て子2人に承継されることが示され、遺産分割協議書の記載と整合します。


 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)
 

2023年04月26日

相続土地国庫帰属制度 法務局で相談開始 提供:エヌピー通信社


 法務省では2月末、全国の法務局・地方法務局の不動産登記部門で「相続土地国庫帰属制度」の対面相談・電話相談を開始しました。法務局の担当者に対し、引き取りを希望する土地が申請条件に合致しているかどうかや審査の大まかな見通しを尋ねることができます。

 相続土地国庫帰属制度は、相続で引き継いだが不要になった土地を国に引き取ってもらえる制度。4月27日からスタートします。制度を利用するには手放したい土地が国の定める基準を満たしている審査を受ける必要があり、①他人による使用が予定される土地、②建物のある土地、③土壌汚染されている土地、④境界が明らかでない土地、⑤通常の管理に過分な費用・労力がかかる土地――などは受け付けないとしています。

 対面相談・電話相談は、インターネット(法務局手続案内予約サービス)での事前予約制で、相談時間は1日1回30分間。法務省は相談時に、土地の情報や相談内容を書き込んだ「相続土地国庫帰属相談票」や、引き取ることができない土地に当てはまらないかどうかを確認できる「チェックシート」とともに、登記事項証明書または登記簿謄本、法務局で取得した地図または公図、法務局で取得した地積測量図、土地の現況・全体が分かる画像や写真などをできるだけ持参することを推奨しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

2023年04月14日

《コラム》所得税の確定申告 損益通算のルール


◆損益通算って何?
 損益通算とは、各所得金額の計算上生じた損失のうち、一定のものについてのみ、一定の順序で総所得、退職所得または山林所得の金額から控除を行うことを言います。
 サラリーマンの方が「投資用マンションの不動産所得がマイナスなので確定申告で還付金があった」ということがあるのは、この損益通算制度のおかげです。

◆損益通算できる所得と順序
 まず、「同じ所得の中で通算をする」というのが大前提です。例えば雑所得同士であれば、公的年金等のプラスと、業務に係る雑所得のマイナスが通算できます。
 所得がマイナスとなった場合、他の所得と損益通算ができるのは不動産・事業・山林・譲渡(分離は特定の居住用財産のみ)の4つです。損益通算ができる所得であっても、所得の性質の似ている種類の所得グループにおいてまず損益通算を行い、まだマイナスがある場合はその他の所得に損益通算をしていくルールが存在します。
 例えば不動産所得がマイナスの場合、総合課税の事業・給与・雑・利子・配当の各所得の損益通算を行い、それでもまだマイナスが残っている場合は総合譲渡所得や一時所得の損益通算を行い、それでもまだマイナスが残っていれば、山林・退職所得の損益通算を行います。なお、申告分離課税の株式等や先物取引等や不動産等の譲渡に関しては総合課税の所得との損益通算はできません。

◆さらに細かい例外規定
 損益通算の計算には、さらに細かい規定があります。生活用動産の譲渡には基本的には課税されないのですが、価額が30万円を超える貴金属等の場合は、総合課税の譲渡所得として申告しなければなりません。そしてこの場合は、損益通算ができません。他にもゴルフ会員権や競走馬等の生活に直接必要でないとされる資産については、損益通算ができません。総合課税の譲渡所得には例外規定が多いので注意が必要です。
 不動産所得についても、土地を取得するために要した負債の利子に相当する部分は損益通算ができない等、例外規定は複数あります。

 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2023年03月07日

《コラム》令和4年分確定申告書 第1表の主な変更点


◆確定申告書は一本化されました
 そろそろ確定申告の時期です。令和4年分以降の確定申告書を見てみると、予告されていた通り、申告書A・Bの2種類ではなく、1種類の申告書のみとなっています。
 今まで収入が給与や年金のみで、医療費控除や寄附金控除のみの申告の場合に使えた簡易版である申告書Aを利用されていた方の中には「欄が増えていてすごく複雑そうだ」と思う方もいるかもしれませんが、落ち着いて項目ごとに見ていただければ、今までと変わらない項目がありますから、慌てずにご利用ください。

◆届け出不要で「振替継続希望」欄新設
 令和5年1月1日から、納税地の異動があった場合に必要だった「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」は、「申告書の住所が変わっていれば異動があったと分かる」という理由から、異動後の納税地を申告書に記載すれば提出は不要となりました。
 それに伴い申告書に新設されたのが「振替継続希望」の欄です。管轄の税務署が変わった場合、従来ならば提出すべき異動届にあった「振替納税を引き続き希望する」という項目のかわりに、確定申告書にこの欄ができた次第です。
 なお、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書(届出書)」を提出することもでき、そちらを提出している場合は申告書の「振替継続希望」に丸を付ける必要はありません。

◆「修正申告」欄で第5表がなくなる
 申告書第1表の右側中ほどには「修正申告」という項目が新たに作られました。こちらは修正申告時に「修正前の税額がいくらだったか」「修正した後の税額との差額はいくらなのか」を入力する部分となります。
 従来修正申告時には、修正前の課税額を入力する第5表が必要でしたが、これを廃止したために新たに追加された項目です。ちなみに修正によって異動した事項については、第2表の「特例適用条文等」という欄の広めの部分に書き添えるようになります。
 この変更も異動届同様に「元の申告書があれば変わった額は分かる」という理由からでしょうか。変更部分を見てみると、各項目「スマートになったな」という印象が持てますね。

 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2023年02月07日

税制改正大綱が決定 提供:エヌピー通信社


 与党は12月中旬に2023年度税制改正大綱を決定しました。かねてより予想されていた110万円贈与の持ち戻し期間の延長が盛り込まれた一方で、持ち戻しの対象にならない新たな生前贈与の非課税枠が設けられるなど、資産家の相続対策に大きな影響を及ぼす見直しが並んでいます。

 生前贈与に関わる見直しで目を引くのが、相続時精算課税の大幅な拡充。これまでは同制度を適用すると110万円未満の贈与もすべて申告が必要で煩雑だったところを、110万円未満の新たな非課税枠を導入。しかも相続直前の贈与でも持ち戻しの対象にならないことから、従来の年間110万円までの暦年贈与に代わって相続税対策の新たな定番となる可能性があります。

 また中小企業の節税策として活用されていたコインランドリー節税が規制されます。利益が多く出た年にコインランドリーを多数取得し、専門の業者に運営を委託したうえで、設備投資減税を駆使して税負担を抑えるというものですが、大綱では中業企業投資促進税制や中小企業経営強化税制といった法人税の優遇制度から軒並み除外されました。

 10月にスタートするインボイス制度に向けては、免税事業者から課税事業者に転じた際に3年間税負担を軽減する特例や、1万円未満の少額取引を当面インボイス不要にする救済措置が導入されます。またインボイス制度のスタートに合わせて登録事業者となるための申請期限は3月末ですが、中小事業者の対応が進んでいない現状を受けて、4月以降の申請にも柔軟に対応する旨が盛り込まれました。

 現在は2年間の宥恕措置が認められている改正電帳法についても、宥恕措置の終了後もデータで受け取った領収書などの紙保存が認められることとなりました。大綱の内容は通常国会での議論を経て3月末に成立する見通しです。

<情報提供:エヌピー通信社>

2023年01月24日

《コラム》インボイス制度 免税事業者の選択と経過措置


◆免税事業者はインボイスで選択を迫られる
 令和5年10月開始のインボイス制度は、免税事業者の方に選択を迫ります。免税事業者のままでいた場合、今まで認められていた取引相手の仕入税額控除が減ってしまう可能性があるからです。

◆課税形態によって異なる取引相手への影響
 では、実際どんな取引相手に影響があるのかを見てみましょう。
①自分が免税事業者、相手も免税事業者
 お互い消費税の納税義務が免除されているので、影響はありません。また、取引相手が消費者の場合も、仕入税額控除を行わないため、影響はありません。
②自分が免税事業者、相手が簡易課税制度適用の課税事業者
 簡易課税制度は「みなし仕入れ率」で売上に係る消費税額から控除を行うため、適格請求書を発行していない免税事業者相手でも影響はありません。
③自分が免税事業者、相手が課税事業者
 簡易課税制度でない課税事業者は、令和5年10月以降は適格請求書がなければ、仕入税額控除ができません。ただし、令和5年10月から最初の3年間は免税事業者の請求する消費税額の80%、次の3年間は50%を仕入税額控除可能です。
 つまり、③の場合は経過措置の適用があっても、取引先は今までよりも仕入税額控除額が減り、消費税納税額が増えるため、免税事業者との取引については購入価格の実質的な値上がりが起きてしまうのです。

◆課税事業者になるか、ならないか?
 免税事業者が課税事業者になり、適格請求書発行事業者登録をすれば、課税事業者の取引先との関係は継続しやすいでしょうが、消費税の納税義務が発生するため、現状の売上のままだと利益は減少します。
 逆に免税事業者のままでいると、取引先の仕入税額控除が減るため、関係に影響が出る可能性があります。また、免税事業者が消費税を請求して受け取る権利はあるものの、あえて消費税を含まない請求に変更した場合は、現状より利益は減少します。
 免税事業者の方は、経過期間の80%・50%の仕入税額控除、取引先の状況、取引先との関係値等、様々な要因を加味して、いつから適格請求書発行登録をするのか、はたまたしないのかを決めることになります。価格改定の話をしなければならないケースも出てくるのではないでしょうか。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

 

2023年01月14日

《コラム》消費税の基本 簡易課税制度とは?


◆かかったとみなされる仕入れ税額
 納める消費税の額は、原則1年間に実際に預かった消費税から、事業者が実際に支払った消費税を差し引いて求めますが、仕入れ先などに支払った消費税を一つずつ計算するのは大変です。簡易課税制度は、中小事業者の納付事務負担に配慮する視点から、事業者の選択により売上に係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。

◆事業区分とみなし仕入率
 簡単にいうと「売上に係る消費税の何%かを仕入れに係る消費税として計算して良い」という制度です。みなし仕入率は業種によって定められています。
第一種 卸売業(みなし仕入率90%)
第二種 小売業(みなし仕入率80%)
第三種 製造業(みなし仕入率70%)
第四種 その他(みなし仕入率60%)
第五種 サービス業(みなし仕入率50%)
第六種 不動産業(みなし仕入率40%)
 簡易課税制度は基準期間(前々年・前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合に適用することができます。

◆インボイス制度と簡易課税選択届出書
 インボイス制度は請求書等に登録番号が必要になりますが、簡易課税制度そのものの仕組みは廃止されず、特に変わりません。今まで免税事業者であった中小企業者が移行先に考えるのも簡易課税制度となることが多いでしょう。
 インボイス制度開始の令和5年10月1日に向けて、免税事業者が課税事業者になる場合の消費税簡易課税制度選択届出書についても、経過措置が設けられています。選択届出書をインボイスの登録日の属する課税期間中に、その課税期間から簡易課税の適用を受ける旨を記載し提出した場合、その年の初日の前日に届出書を提出したものとみなされて、インボイスの登録日から簡易課税制度が適用されます。

 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

 

2022年12月15日

《コラム》副業が事業所得となる基準


 副業の事業所得と雑所得の区分について、国税庁は、令和4年8月に実施したパブリックコメントの結果を公表し、あわせて税務の取扱いを示す通達を改正しました。

◆帳簿の記録と保存が必要
 寄せられた約7,000件の意見に対し、国税庁が示した基準は、収入金額にかかわらず、帳簿の記録、保存があれば、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているので、概ね事業所得になるとしています。パブリックコメントでは、収入金額300万円以下の副業は、反証のないかぎり雑所得としていましたので、300万円基準がはずされたことは朗報です。

◆社会通念上、事業と称するに至る程度
 しかし、改正通達では、帳簿の記録、保存がされたとしても、「社会通念上、事業と称するに至る程度」で業務が行われていることとする基準は残されています。
 通達の解説には、次のような場合には、事業性を認めるか、個別に判断するとして2つの事例をあげています。
① 収入金額が僅少と認められること
 例えば、副業収入が、概ね3年間、300万円以下で、主たる収入に対する割合が 10%未満の場合をいいます。
② 活動に営利性が認められないこと
 例えば、3年程度赤字で、かつ、赤字を解消する取組みを実施していない場合、具体的には、収入を増加させ、所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。

◆節税対策の副業には歯止め
 通達の解説から見える国税庁の意図は、営業活動を積極的に実施せず、わずかばかりの収入を事業所得の赤字として申告し、給与所得と損益通算している場合、これまでどおり、税務署が事業性の有無を個別に判断する姿勢を示したものといえます。

◆積極的に副業に挑戦する人には追い風
 一方、副業で自分のスキルを積極的に活用し、営業活動をしている人には、すぐに収入がなくても、事業性を認める是々非々の姿勢を示したものと思われます。
 岸田首相は、5年間で1兆円を投じる「人への投資」を掲げ、転職、副業の受入企業への支援を新設、拡充し、リスキリングから転職まで一括で支える制度の創設方針を示しました。積極的に副業に挑戦する人には、追い風となるのではないでしょうか。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)

 

2022年12月09日

《コラム》消費税の基本的な仕組み

◆インボイス制度開始まで1年を切った
 消費税のインボイス制度開始は令和5年10月1日の予定です。この「インボイス」とは、正確な適用税率や消費税額等を伝える書類のことで、インボイス制度が始まると、仕入先が免税事業者の場合、今まで認められていた「仕入税額控除」が認められなくなります。
 免税事業者の方や経理にタッチしない方は「仕入税額控除? なんのことだ」と思われるかもしれません。まずは消費税の基本的な仕組みを理解しましょう。

◆消費税の内訳
 消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
 標準税率10%、食品等の軽減税率は8%となっていますが、そのうちの22/78、標準税率で2.2%、軽減税率で1.76%分は「地方消費税」として扱われ、いったん国の出先機関である税務署に納付され、地方消費税部分は統計数値に基づき各都道府県に分配される仕組みです。

◆消費税の負担と納付の流れ
 消費税は、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みになっています。
・各取引にかかる消費税の例(標準税率)
製造業:売上50,000(+消費税5,000)
卸売業:仕入50,000(+消費税5,000)
     売上70,000(+消費税7,000)
小売業:仕入70,000(+消費税7,000)
     売上100,000(+消費税10,000)
消費者:100,000(+消費税10,000)

 上記の例示の場合、消費者が負担した消費税10,000円を、小売業者は仕入と売上の差額分の3,000円、卸売業者は差額2,000円を、製造業者は5,000円を納付する仕組みになっています。
 先に述べた通り、インボイス制度が始まると、免税事業者から仕入れている場合「仕入先に払った消費税」が、差し引けなくなります。例示で言うと、卸売業者が免税事業者だった場合、小売業者は10,000円消費税を納めることになるわけです。
 来年10月のインボイス制度(適格請求書等保存方式)開始後、「免税事業者と取引を続ける」としている企業が14%にとどまっているとの調査結果を日本商工会議所が公表しました。調査は全国の会員企業1265者から有効回答を得たもの。

 インボイス制度が始まると、適格請求書発行事業者として登録できない免税事業者からの仕入分について仕入税額控除が受けられなくなり、従来よりも消費税分だけ損することになります。制度開始後は経過措置が設けられており、免税事業者からの仕入であっても2026年9月までは80%、その後29年9月までは50%は控除可能。しかし29年10月以降は、免税事業者からの仕入について一律で控除できなくなります。

 日商の調査では、インボイス制度開始後の免税事業者からの仕入ついて「一切行わない」(8.9%)、「一部を除いて取引は行わない」(5.8%)、「経過措置の間は取引を行う」(13.7%)と、計28.4%の事業者が取引を見直す方針です。

 一方、「取引を行うかどうかの判断はしない」と、インボイス制度に関係なく取引を継続するとした事業者は14.1%にとどまりました。「まだ分からない」と方針が定まっていない事業者は54.6%と過半数を占めています。

 取引を見直すとした事業者の今後の対応予定としては、「インボイス発行事業者になるよう要請する」が最も多く64.8%。「知識習得等のサポートをする」(17.0%)、「自社の社員とする」(0.6%)と続いています。

 一方、免税事業者397者を対象にしたアンケートでは、課税事業者への転換に不安の声が目立ちました。課税事業者に変わることにより、「消費税負担により資金繰りが厳しくなる」(62.0%、複数回答)、「消費税分の価格転嫁が難しく、利益が減少する」(44.8%)と消費税の負担が経営に直撃すると懸念する声が多数を占めています。「請求書の様式変更等の事務負担に対応できない」(33.2%)と事務コスト増への懸念も続きました。また、「そもそも消費税制度を理解できていない」(19.6%)、「消費税申告等の手続きに対応できない」(14.9%)と税務上の知識が不足していて、事務処理や申告を外注するにしても「税理士等への依頼費用が負担となる」(7.1%)としています。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

 

2022年11月01日

免税事業者との取引継続、わずか14% 提供:エヌピー通信社


 来年10月のインボイス制度(適格請求書等保存方式)開始後、「免税事業者と取引を続ける」としている企業が14%にとどまっているとの調査結果を日本商工会議所が公表しました。調査は全国の会員企業1265者から有効回答を得たもの。

 インボイス制度が始まると、適格請求書発行事業者として登録できない免税事業者からの仕入分について仕入税額控除が受けられなくなり、従来よりも消費税分だけ損することになります。制度開始後は経過措置が設けられており、免税事業者からの仕入であっても2026年9月までは80%、その後29年9月までは50%は控除可能。しかし29年10月以降は、免税事業者からの仕入について一律で控除できなくなります。

 日商の調査では、インボイス制度開始後の免税事業者からの仕入ついて「一切行わない」(8.9%)、「一部を除いて取引は行わない」(5.8%)、「経過措置の間は取引を行う」(13.7%)と、計28.4%の事業者が取引を見直す方針です。

 一方、「取引を行うかどうかの判断はしない」と、インボイス制度に関係なく取引を継続するとした事業者は14.1%にとどまりました。「まだ分からない」と方針が定まっていない事業者は54.6%と過半数を占めています。

 取引を見直すとした事業者の今後の対応予定としては、「インボイス発行事業者になるよう要請する」が最も多く64.8%。「知識習得等のサポートをする」(17.0%)、「自社の社員とする」(0.6%)と続いています。

 一方、免税事業者397者を対象にしたアンケートでは、課税事業者への転換に不安の声が目立ちました。課税事業者に変わることにより、「消費税負担により資金繰りが厳しくなる」(62.0%、複数回答)、「消費税分の価格転嫁が難しく、利益が減少する」(44.8%)と消費税の負担が経営に直撃すると懸念する声が多数を占めています。「請求書の様式変更等の事務負担に対応できない」(33.2%)と事務コスト増への懸念も続きました。また、「そもそも消費税制度を理解できていない」(19.6%)、「消費税申告等の手続きに対応できない」(14.9%)と税務上の知識が不足していて、事務処理や申告を外注するにしても「税理士等への依頼費用が負担となる」(7.1%)としています。

<情報提供:エヌピー通信社>

 

2022年10月25日

(後編)日税連:2023年度税制改正に関する建議書を公表!


(前編からのつづき)

 上記②では、消費税は財貨・サービスによる付加価値に対して均一課税が原則であり、非課税取引の範囲は最小限にすべきと主張しました。
 非課税取引については、売上に対して取引先から消費税相当額を収受できない一方で、商品調達や設備投資等の仕入税額控除は認められないため、非課税取引となる資産の譲渡等をする者は、最終消費者ではないにもかかわらず、仕入れに係る消費税について実質的に負担する仕組みとなっていると指摘しました。

 上記③では、給与所得控除及び公的年金等控除の水準が過大であることや、こうした所得計算上の控除が適用されない事業所得者等とのバランスも踏まえて、所得計算上の控除を縮減した上で、基礎的な人的控除を引き上げるべきと主張しました。
 その際、基礎的な人的控除の中には適用関係が人的事情や所得の多寡に左右されるものがあること等を踏まえ、全ての者に適用されるべき基礎控除に負担調整の比重を移すことが望ましいとの考えを示しました。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和4年9月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2022年10月13日

(前編)日税連:2023年度税制改正に関する建議書を公表!


 日本税理士会連合会(以下:日税連)は、2023年度税制改正に関する建議書を公表しました。
 それによりますと、32項目に及ぶ改正建議を盛り込む中で、重点建議項目として、
①適格請求書等保存方式の導入時期を延期するか、少なくとも中小企業者の実務を踏まえた柔軟な運用を行うこと
②消費税の非課税取引の範囲を見直すこと
③基礎的な人的控除のあり方を見直すとともに、所得計算上の控除から基礎控除へのシフトを進めることの3項目を掲げました。

 上記①では、適格請求書等保存方式においては、取引のつど、適格請求書等の有無の確認が必要であり、この確認は少額取引(3万円未満)についても、一定の取引以外の取引では必要となることや、商慣行として取引の相手方が振込料を差し引いて振り込んできたときには、新たに返還インボイスの交付・確認等の事務負担が生じるため、事業者及び税務官公署の事務処理に過度な負担を生じさせることから、見直すべきとの主張をしました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和4年9月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2022年10月13日

国税庁、税務行政のDXに本腰 提供:エヌピー通信社


 2023年度に向けた機構・定員要求と予算の概算請求の内容を国税庁が明らかにしました。新たな国際課税ルールへの対応などのため約1200人の増員を要求したことに加え、AI活用や調査のデジタル化などのDX(デジタル・トランスフォーメーション)に当たる新部署の設置を求めました。

 人員と機構を要求する上で国税が重視した項目は、「税務行政のデジタル化への対応」、「新たな国際課税ルールへの対応」、「消費税不正還付や国際的な租税回避等への対応」、「日本産酒類の振興への対応」、「業務センター室拡充への対応」。国税庁は昨年に『税務行政のデジタル・トランスフォーメーション――税務行政の将来像2.0――』という資料を公表していて、課税・徴収の様々な面にデジタル手法を取り入れることで効率化や高度化を図っていく方針を示しています。国税庁はこうした税務行政のデジタル化に向けて1192人の増員要求をする一方で、定員合理化目標数として1141人を掲げているため、純増要求数は51人となりました。

 機構要求の内訳を見ると、税務行政のデジタル化への対応として東京国税局に「情報システム部(仮称)」の新部署を置くのに加え、国税庁にも審議官を置いてDXの推進に当たる構えです。

 またDXと並んで重視する新たな国際課税ルールへの対応として、国税庁に国際企画官と課長補佐を置きます。さらに国際的な租税回避に対応するため、庁・局・税務署に課長補佐や情報技術専門官、国際税務専門官、査察機動専門官などの専担ポストを増員して当たる構えを明らかにしています。

 23年度の予算に向けた概算請求では、前年比104.8%となる6555億4千万円を求めました。内訳をみると、納税者利便向上経費は29億8800万円で前年度から15%近く増えています。また国際化対策費も1割弱増えたほか、酒類業振興事業経費が前年比6割増と伸びています。

<情報提供:エヌピー通信社>

 
2022年10月05日

タワマン節税訴訟で「伝家の宝刀」にお墨付き  提供:エヌピー通信社


 タワマン節税の是非を巡って納税者と国税当局が争った裁判で、最高裁は国税当局の言い分を全面的に認める判決を下しました。税法上は合法であっても当局が「税逃れ」とみなせば否認できる、いわゆる「総則6項」の明確な適用基準は示されず、今後は当局がより幅広い事案で総則6項を利用する可能性も否定できません。

 裁判で争われたのは、原告が相続で取得した高層マンションの相続税評価額の正当性。故人は2棟のマンションを計14億円ほどで購入しましたが、高層階の実勢価格が反映されない相続税路線価では2棟の評価額は約3億円ほどでした。相続人が路線価に従い申告をしたところ、当局が「路線価による評価は適当ではない」として否認し、約3億円を追徴課税した事例です。こうした実勢価格と路線価のかい離を利用した節税策は「タワマン節税」と呼ばれ、多くの富裕層が相続税対策に活用してきましたが、近年では当局は積極的にこれらの税務処理を否認し、追徴課税を行っています。

 このとき当局が否認の根拠として使うのが、相続税の財産評価のルールを定めた財産評価基本通達の総則の第6項、いわゆる「総則6項」です。同項では、通達によって評価することが「著しく不適当」と認定できるケースに限り、「国税庁長官の指示を受けて評価する」と規定。評価ルール全体における例外規定とも呼べる内容で、この項目を適用すれば最終的には国税側の「言い値」が適用されることになります。「総則6項は伝家の宝刀」と言われるゆえんです。

 判決で裁判長は、「路線価などによる画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合は(例外規定を用いる)合理的な理由がある」と判断。その上で、今回の事例では相続税の負担軽減を意図して不動産の購入や資金の借り入れが行われ、実際に相続税額がゼロになったことなどを指摘しました。「他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ、租税負担の公平に反する」として、例外規定の適用を認めたことになります。当局の言い分を全面的に認めた二審判決をそのまま支持したかたちです。

 判決を受け、原告代理人の弁護士らは司法記者クラブで記者会見し、「最高裁が(総則6項適用の)基準を明示してくれることを期待したが、今回の判決は基準を定義したとは言えない。判決が確定したことで納税者が納税額を予見できないという問題が解決されないだけでなく、国税による恣意的な課税にブレーキがかからなくなる」と語っています。

<情報提供:エヌピー通信社>
2022年06月16日

《コラム》子供のない夫婦の相続


 子供のない夫婦が将来起きる相続を考えるとき、誰に自分の財産を託したいか、遺言書で自らの意思をはっきり残しておくことが大切です。

◆相続人の範囲
 遺言書がなく、遺産分割協議もできない場合、財産は、相続人に法定相続分で引き継がれます。被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、被相続人の外に血族がいるときは、被相続人の子供(第1順位)、被相続人の父母など直系尊属(第2順位)、被相続人の兄弟姉妹(第3順位)の順で、それぞれが配偶者とともに相続人となります。

◆甥、姪への予期せぬ相続
 被相続人に子がなく、両親も他界、兄弟姉妹も既に死亡しているときは、兄弟姉妹の子(被相続人にとっては、自身の甥、姪)が代襲相続人として相続することになります。兄弟姉妹との間で、生前、仲たがいしていた場合、甥、姪にとって思いもかけない財産が舞い降り、お互い想定していなかった財産移転が起きることもあります。

◆遺言書で財産の引継ぎ先を指定する
 このような意図しない相続が行われないようにするためには、遺言書を作成しておくことで、財産を引き継がせたい人に渡すことができます。兄弟姉妹がいる場合でも、遺言書があれば配偶者に100%財産を渡すことができます。遺留分は兄弟姉妹にはありません。ただし、夫婦のどちらが先に亡くなるかは分からないため、夫婦それぞれで自分の財産を相手に渡す遺言書を作成しておく必要があります。

◆自分の人生の総括を
 配偶者の外に財産を移転させたい場合には、公益団体等に寄附して社会貢献する遺贈寄附という方法もあります。遺言書を利用して自分の人生を総括し、自身の財産を承継してほしい人や団体に財産を移転することは、意義があるかもしれません。
 遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言の2つの方法があります。前者は公証人役場で公証人が立ち会って遺言書を作成してもらう方法。後者は自書で遺言書を作成する方法。令和2年7月から自筆証書遺言書を法務局に保管してもらうことも可能になりました。瑕疵のない遺言書を確実に作成したい場合は公正証書遺言とし、自身の意思を伝えることが主な目的であれば、自筆証書遺言で良いかもしれません。自身に合った方法を選択してはいかがでしょうか。

 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2022年04月12日

ゼロゼロ融資、4月から返済本格化 提供:エヌピー通信社




 コロナ禍で打撃を受けた事業者に資金繰り支援を行う政府系金融機関の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が、3月末で申し込み期限を迎えます。コロナ禍以降、政府主導で55兆円もの巨額資金が全国の事業者に貸し出されましたが、今後は返済が本格化していくことになります。夏の参院選を前に与党内には事業者への追加支援を模索する動きもありますが、財務省幹部は「一部の(返済が)厳しい人のために全員一律で救済するようなことは絶対にしてはいけない」とクギを刺しています。

 ゼロゼロ融資は2020年3月にスタート。利子を各都道府県が負担し、元本は政府の財源を裏付けとした信用保証協会が肩代わりすることで、事業者は実質無利子・無担保で融資を受けられます。21年末で終了する予定でしたが、岸田政権が昨年秋に策定した経済対策の一環として今年3月末まで延長されていました。

 21年の企業倒産(負債額1千万円以上)は対前年比22%減の6030件と歴史的な低水準となり、ゼロゼロ融資が果たした役割は鮮明です。一方で、「コロナがなくても存続できなかった『ゾンビ企業』まで延命されており、経済の新陳代謝を妨げている」(経済官庁幹部)との厳しい指摘もあります。

 ゼロゼロ融資の終了により、22年は倒産件数の増加が懸念されます。財務省幹部は「支援の手じまい方が重要で、やり方を間違えると多くの人が路頭に迷ってしまう」と述べる一方、「返済できる人にはしっかり返してもらうことが大事だ。返済猶予などの支援策を講じる際にも、本当にコロナが理由で苦境に陥っている事業者なのかしっかり見極めていく必要がある」と強調しました。アフターコロナを見据え、公的資金に頼らずとも「独り立ち」できる経営力が求められているようです。

 
<情報提供:エヌピー通信社>

 

2022年03月22日

生産緑地問題、宅地流入は2割 提供:エヌピー通信社


 都市部の農地への税優遇が期限切れを迎えることで生じる「2022年問題」について、生産緑地指定を解除する土地は2割程度にとどまる見通しです。

 都市の農地のなかでも市街化区域にある一定規模以上の土地は、農業を続けることを前提に、「生産緑地」として30年間、固定資産税や相続税の納税が猶予されます。現在、生産緑地は全国に約1万3千ヘクタールあり、このうち制度がスタートした1992年に指定を受けた土地が約8割を占めます。つまり約1万ヘクタールの都市部の農地は2022年に期限切れを迎えるため、土地オーナーは生産緑地の指定を引き続き受けるか、はたまた宅地などに転用するため指定解除を受けるかの決断を迫られていました。

 オーナーを悩ませるのは、生産緑地指定を受けると税優遇を受けられる反面、原則として農作物の生産以外の用途で土地を使うことはできず、売却も禁じられている点。そのため期限が切れる22年に多くの都市農家が制約を嫌って指定解除に踏み切り、それらが一斉に不動産市場に流れ込む可能性がかねてより指摘されてきました。それによる不動産価格の下落リスクが「2022年問題」と呼ばれるものです。

 しかし日本経済新聞の調査によれば、期限切れを迎える生産緑地について昨年11月末時点で、「生産緑地指定を延長する」と答えた割合は首都圏の20市区で85%(面積ベース)でした。

 当初懸念されていたほどの宅地流入が起きなかった理由としては、近年に成立した新たなルールがあります。生産緑地の指定期間が30年から10年に短縮されたほか、それまで農業に必要な施設しか建てられなかったところを直売所や農家レストランの設置が認められました。さらに他の農家や市民農園を経営する企業に直接貸し出すことが可能となり、必ずしも自身が営農する必要がなくなりました。こうしたルールが整備されたことで、多くのオーナーが「10年延長」を選択する結果となったようです。

 もっとも8割が生産緑地を延長するとはいえ、残りの2割に当たる約2千ヘクタールが宅地化する可能性があります。そうなれば周辺のアパートの家賃相場や受給バランスに影響を与えることを踏まえ、不動産の活用法を改めて見直す必要が出てきそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

 

2022年03月04日

改正電帳法の猶予、調査時に簡易説明で適用 提供:エヌピー通信社


 2022年税制改正大綱に盛り込まれた改正電子帳簿保存法の猶予措置について、国税庁はこのほど、適用に当たって特別な手続きは必要なく、税務調査時などの際にも詳細な対応状況の説明は求めない方針を明らかにしました。大綱では猶予を受けるためには「やむを得ない事情」が必要としていましたが、実務ではおおむね無条件で認められるものといえそうです。

 政府が閣議決定した22年度税制改正大綱には、改正電子帳簿保存法(22年1月施行)に関する「宥恕(ゆうじょ)措置」の導入が盛り込まれました。改正法ではメールやPDFファイルなど電子形式で受け取った帳簿を紙に印刷して保存したデータは証拠とみなさないとしていますが、23年12月31日までの2年間については要件違反とみなさないというものです。この宥恕措置の取り扱いについて国税庁はこのほど、以前より公開していた改正電帳法にかかるFAQに関連項目を追加しました。

 それによれば、宥恕措置が認められる「やむを得ない事情」とは、「保存に係るシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない」ケースなどが該当すると説明。法律上はそうしたやむを得ない事情について税務署長の確認が必要ですが、実際には「税務署への事前申請等の手続は必要ありません」としています。

 さらに税務調査などの際に、やむを得ないとする事情について確認を受ける必要があるとはしているものの、税務職員から確認等があった場合には「各事業者における対応状況や今後の見通しなどを、具体的でなくても結構ですので適宜お知らせいただければ差し支えありません」とあり、実際にはかなり柔軟に適用を認めることを明らかにしました。

 注意点は2点あり、1つは宥恕措置の適用が認められるためには、税務調査で求められたときにデータを「整然とした形式および明瞭な状態」で提示することが条件となっていることです。もう1つの注意点は、今回設けられた宥恕措置は2年間の期間限定の特例であり、24年1月からは例外なく全面対応を求められるということ。国税庁は「24年1月以後に行う電子取引の取引情報についても保存要件に従って電子データの保存を行わないことを明らかにしている場合」には、宥恕措置は適用されないと明記しています。


<情報提供:エヌピー通信社>

 

2022年02月23日

税務調査の「後出し経費」が不可に   提供:エヌピー通信社

 

 2022年度税制改正大綱には、税務調査での「後出し経費」のルールの見直しが盛り込まれました。また帳簿の不備に対して追徴課税を上乗せするペナルティーも盛り込まれ、これらは納税者にとってはさらに税務調査が厳しくなることを意味します。

 税務調査の場面では、仮装・隠蔽や無申告を指摘された納税者が、それまで申告していなかった簿外経費を持ち出して所得を減らそうとする〝後出し〟をすることが少なくありませんでした。
 こうした簿外経費を大綱では、「適正な記帳や申告が行われていない納税者については、真実の所得把握に係る税務当局の執行コストが多大で、行政制裁を適用する際の立証に困難を伴う」としたうえで、簿外経費の〝後出し〟で「悪質な納税者を利するような事例も生じている」ことから、厳格化に踏み切りました。

 23年からは、仮装・隠蔽・無申告のいずれかがあった年の確定申告書に記載されなかった経費については、帳簿書類などにより費用が生じたこと、支出先の相手先が明らかであり反面調査によって支出が確かめられることなどの条件を満たす場合を除いては、原則として損金にできないこととされました。

 また過少申告加算税および無申告加算税については、税務調査時に調査官から求められた帳簿を提出できなかったり、売上金額や収入金額の記帳が不十分だったりしたときには、通常の過少申告加算税や無申告加算税の額に、ペナルティーが加算される見直しが盛り込まれました。
 具体的には、帳簿を提出できないか、提出したとしても売上金額または収入金額の2分の1以上が記載されていなかったときには本則の加算税に10%が上乗せされます。たとえ提出したとしても、売上金額または収入金額の3分の1以上が記載されていなかったときは5%が上乗せされるというものです。24年1月以降に法定申告期限が到来する国税に適用されることとなっています。

<情報提供:エヌピー通信社>

 

2022年02月04日

《コラム》金融所得課税は分配に有効か?

 岸田首相は政権公約で「成長と分配の好循環」のため、「金融所得課税の見直し」を選択肢の一つとし、『1億円の壁』の打破を打ち出しましたが、首相就任後、早々に先送りしました。はたして金融所得課税は、分配政策として有効なのでしょうか?

◆富裕層が優遇される1億円の壁とは?
 所得が1億円を超えると、所得税の負担率が下がります。これは、富裕層で株式や債券など金融商品に投資を振り向ける金額が大きくなり、分離課税20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の結果、総合課税の累進課税の効果が薄まることによると考えられています。
 そこで、所得税の分配機能を高めるため、金融所得課税の税率をあげることにより、富裕層の負担を増やして分配の原資にあてるべきと考えたわけです。

◆むしろ中間層の課税強化につながる
 証券系シンクタンクの2018年の調査レポートは、所得1億円を超える納税者は全体の0.04%に過ぎず、金融所得の税率を引き上げても増税による税収は少なく、むしろ金融商品に投資する中堅以下の所得者層の増税効果の方が大きいと分析しました。また、税率の引上げは創業意欲を減退させ、投資家がより低い税率の海外に逃避するおそれも指摘されています。これでは従来の「貯蓄から投資へ」の政府方針に反する結果にもなりかねません。

◆「新しい資本主義実現本部」の立ち上げ
 政府は10月に「新しい資本主義実現本部」を立ち上げ、成長政策とあわせて賃上げや非正規雇用、看護・介護・保育、子育て支援などの分野で分配政策の検討を開始しました。税制では「新しい資本主義の時代における今後の税制のあり方」を政府税制調査会で検討することが盛り込まれています。

◆分配政策の社会的意義
 産業革命以降、成長と分配はいつも経済政策の主要課題でしたが、この40年間、新自由主義は世界中で所得格差と分断を広げました。これに対し、分配の公正と貧困の解消の立場で自然環境、社会的インフラ、教育や医療などの社会的共通資本を、豊かな社会をつくる装置として機能させることを提唱した経済学者もいます。成長と分配はこれからも経済の根源的な課題であるといえます。累進課税や資産課税に所得再分配機能をもたせてきた税制も新たにどのような分配政策を考えられるかが問われます。

 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2021年12月15日

(後編)2021年分確定申告から、ふるさと納税の申告手続きを簡素化へ!


(前編からのつづき)

 なお、同証明書には、
①寄附者の氏名、住所
②その年中の寄附者の寄附総額
③特定事業者が寄附を管理している番号
④寄附年月日
⑤寄附先の名称及び法人番号
⑥その他参考となるべき事項が記載されます。

 そして、確定申告の申告方法として、
①特定事業者のポータルサイトからダウンロードした証明書データをe-Taxを活用して確定申告書に添付して送信
②特定事業者のポータルサイトからダウンロードした証明書データを国税庁が提供するQRコード付証明書等作成システムで読み込み、これをプリントアウトした書類を確定申告書に添付して申告
③郵送で交付を受けた証明書を確定申告書に添付して申告のいずれかの方法により行います。

 また、確定申告が不要な給与所得者等が利用できる「ワンストップ特例制度」には変更はありません。
 ワンストップ特例制度とは、確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けられる仕組みをいい、ふるさと納税先の自治体が、1年間で5自治体までであれば、この制度を活用できます。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年11月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2021年12月08日

(前編)2021年分確定申告から、ふるさと納税の申告手続きを簡素化へ!


2021年分確定申告から、ふるさと納税の申告手続きが簡素化されます。
 これまで、ふるさと納税で寄附金控除の適用を受けるためには、確定申告書に特定寄附金の受領者が発行する寄附ごとの「寄附金の受領書」の添付が必要でしたが、この寄附ごとの「寄附金の受領書」に代えて、特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付することで済むようになります。

 寄附金控除に関する証明書を発行することのできる特定事業者とは、地方公共団体と特定寄附金の仲介に関する契約を締結している者で、特定寄附金が支出された事実を適正かつ確実に管理することができると認められるものとして国税庁長官が指定した者とされており、例えば「ふるさとチョイス」、「ふるなび」、「さとふる」、「楽天ふるさと納税」などがあります。
 2021年から、上記の特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄付金控除に関する証明書」を申告書に添付するだけで済みますので、申告手続きが簡素化される模様です。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年11月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2021年12月08日

《コラム》インボイス発行権限への恐怖


◆適格請求書発行事業者登録制度受付け開始
 令和5年10月1日から始まる適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)登録申請の受付けは、令和3年10月1日から始まっています。令和5年10月1日から直ちに適格請求書発行事業者として振る舞うためには、原則、令和5年3月31日までに登録申請手続きを済ましておく必要があります。
 登録の主たる目的は、インボイス番号の取得です。

◆インボイス番号なしの請求書
 登録番号の取得手続きをしないまま、新制度が始まってしまうと、発行する請求書等に登録番号を記載することができないので、たとえ消費税額の記載をしたとしても、原理的には、相手は仕入税額控除することが出来ません。相手が個人消費者なら問題にならないかもしれませんが、課税事業者だったら取引上の大問題になりかねません。

◆法人の登録番号は決まっている
 法人の場合の登録番号は、「T」(ローマ字)+法人番号(数字13桁)です。法人番号というのは、公表されている法人のマイナンバーです。
 もし、未登録者が請求書等に法人番号を記載していたら、登録番号と誤認されるような事態が生ずるかもしれません。

◆誤認誘発とみなされると
 課税当局は、法人番号を積極的に公表し、申告書等への法人番号の記載を義務付けています。同じ趣旨で、同名の多い法人などが自主的に請求書や領収書に法人番号を記載することは有り得ることです。
 しかし、それを一概に誤認誘発行為とするわけにはいかないでしょうが、もし誤認誘発行為とみなされる事例になったとしたら、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

◆罰金を科せられると
 罰金以上の刑を受けると、最低2年間はインボイス番号取得登録不可となるので、経済取引において10%の消費税を請求しにくい状態に陥り、事業者としての存続が厳しくなりかねません。
 仕入税額控除をする側も、誤って仕入税額控除してしまわないように、登録事業者の番号を国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで適宜確認する必要がありそうです。

 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2021年12月07日

《コラム》令和3年年末調整 変更点と誤りやすい点

◆印鑑不要になった!
 年末調整は、給与を受ける人それぞれについて、原則毎月の給与や賞与などの支払いの際に源泉徴収した税額と、その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足を精算する手続です。今年は去年と比べると所得税計算本体への改正はないものの、手続的な部分での改正がありました。
 「押印義務の改正」により、源泉所得税関係書類については、押印を要しないこととされました。このため、扶養控除等申告書などの年末調整の際に使う書類についても、従業員の皆さんに押印をしてもらう必要がなくなりました。地味ですが手間の省ける改正ですね。その他、源泉徴収関係書類を電磁的に提供する場合の、給与等の支払者が受けるべき税務署長の承認が不要とされたため、従来は税務署に提出が必要だった「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」が不要となりました。

◆令和2年改正部分に注意
 今年の年末調整に目新しい変更はないものの、令和2年に改正が行われた「所得調整控除」「寡婦・ひとり親控除」「基礎控除」には注意が必要です。
 所得調整控除は給与収入が850万円超の方が対象で「配偶者の扶養している子供でも、所得調整控除は両方の親に対して行える」点に注意しましょう。寡婦・ひとり親控除は令和2年から適用条件が変更されて「所得金額500万円以上の方は一律無効」となりました。基礎控除は「給与以外の所得も含めて、合計所得2,400万円超で逓減が開始」です。
 新しいルールのため、細かい条件を取り違えて計算している例が散見されます。今年も注意して計算をしましょう。

◆電子化のメリットも考えて
 計算式や控除上限等の変更、そして紙の記載フォーマットの変更と、年末調整は過去と比較すると明らかに複雑化しています。
 従業員が控除額を計算して、会社の担当者が検算をするだけでも一苦労ですから、従業員数の多い企業には特に電子化をお勧めしたいところです。

 

(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2021年11月24日

基準地価が2年連続下落提供:エヌピー通信社

 全国の平均地価が2年連続の下落となったことが基準地価の公表で明らかになりました。もっとも住宅地などでは下落幅は縮小し、大幅な伸びを示したエリアもあります。

 国土交通省が公表した基準地価は、今年7月1日時点での全国の土地の価格を都道府県が調査し、公表したもの。最新の基準地価は、住宅地や商業地など全用途の全国平均は前年比で0.4%下がり、コロナ禍の影響を受けた前年に引き続き、2年連続で下落しました。

 ただ詳しく見てみると、地域や用途によって地価傾向は異なっていることが分かります。例えば東京、大阪、名古屋の三大都市圏の商業地をみると、東京圏が小幅ながらも上昇を維持、名古屋圏がマイナスからプラスに2.0ポイント改善したのとは対象的に、大阪圏だけが唯一、マイナス0.6%と下落していることが分かります。

 インバウンド需要で近年大きく地価を上げてきた大阪の商業地が下落するのは、2012年以来9年ぶりのこと。どこよりもインバウンドの恩恵を受けてきた大阪は、繁華街の中心であるミナミの地点が商業地の下落率ワースト2、3となるなど、コロナ禍によってインバウンドが消滅した今、他地域に増して厳しい状況に置かれています。

 コロナ禍でも堅調な伸びを示しているのが、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の、いわゆる「札仙広福」と呼ばれる地方中核4都市。住宅地では前年を超える4.2%、商業地でも前年ほどではないものの4.6%と、三大都市圏を大きく上回る伸びを見せています。例えば札幌市は、鉄道駅徒歩圏の利便性が高い地域を中心とした需要の堅調さなどを受け、住宅地が7.4%上昇、福岡市の商業地では7.7%上昇などと目立った上昇を示しています。

 全用途での地価上昇ベスト10を見ると、最も地価が高騰したのは沖縄県豊見城市9-1の地点。同地点は工業地ですが、国道の拡充を機に那覇市街や那覇空港へのアクセスが向上した結果、物流拠点としての需要が高まり、3割近い急騰をみせました。

<情報提供:エヌピー通信社>

2021年11月12日

《コラム》免税会社の適格請求発行事業者 登録のタイミング

 ◆取引からはじき出されないための登録?
 2021年10月1日から「適格請求書発行事業者の登録申請」が始まっています。2023年10月1日から消費税の仕入税額控除方式が、「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」となるためです。
 消費税で仕入税額控除を取るためには、適格請求書(インボイス)が必要であり、適格請求書を交付することができるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」に限られます。適格請求書発行事業者となるためには、消費税の課税事業者となって、発行事業者登録をしなければなりません。
 免税事業者からの仕入税額控除に関して、6年間の経過措置はありますが、経過後は、インボイスを発行できない免税業者からの商品やサービスの購入では仕入税額控除が取れないため、取引の相手先として選ばれなくなる可能性が高いです。仮に選ばれたとしても、消費税額分の値引きを要求される可能性もあります。

◆登録すべきかどうかは経営面から検討する
 消費税先進国の欧州でもそうですが、インボイスを発行できない事業者から仕入れを続けると自社が負担する消費税額が増えるため、免税業者は敬遠されがちです。よほど優位性がある商品やサービスでない限り、取引の相手先から外されかねません。
 この適格請求書発行事業者となるか否かの選択は、経理の問題よりも、むしろ、ビジネスの経営面から考えるべきものです。
 登録を決めた場合、2023年10月1日のインボイス制度開始と同時にインボイスの発行をするためには、2023年3月31日までに申請しなければなりません。

◆「登録における経過措置」利用がおススメ
 免税事業者が適格請求書発行事業者となるためには、先に課税事業者登録をしなければなりません。しかしながら、ここにも経過措置があり、2023年10月1日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要です。何月が事業年度末月かにもよりますが、同じ事業年度内で、2023年9月30日までは免税事業者、10月1日から課税事業者となることもできます。また、「簡易課税制度」で、納税額が少なくなるようでしたら、その適用も検討してみるべきです。


 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2021年11月08日

《コラム》相続で所有者不明土地にしないために

 
 高齢化で相続が増加する中、利用されない土地が増えると、所有者が判明しない、又は連絡がつかない所有者不明土地が生じます。今年4月、これらの解消を目的とした民事基本法制の見直しが行われました。

1.不動産登記制度の見直し
 相続登記が義務化され、不動産を相続により取得した者は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しないと10万円以下の過料が徴収されます。一方、相続登記はこれまで、登記義務者が共同して申請しなければなりませんでしたが、新たに相続人が自らを登記名義人の法定相続人であることを申し出れば、単独で登記申請できる「相続人申告登記」※が新設され、登記申請義務を履行したものとみなされます。また、令和4年の税制改正では、相続人の登録免許税の負担軽減措置が図られる見込みです。(※所有権の移転登記ではなく、報告的な登記とされます)

2.相続土地国庫帰属制度の創設
 相続した土地を国が買い取る制度も新設されました。相続人にとっては朗報ですが、国は、安易な買取りを防ぐ観点から様々な条件をつけてハードルを高くしています。建物は相続人が取り壊して更地にすることや、土壌汚染や埋設物のある土地、崖地、担保権の設定された土地、通路に利用される土地、境界に争いのある土地などは、買取りの対象からはずされ、買い取る場合でも10年分の管理費用を国に支払うことが条件となるなど利用し難さが指摘されています。

3.土地利用に関連する民法の見直し
 民法も新制度の後押しをします。遺産分割協議の長期未了状態を解消するため、相続開始から10年経過したときは、特別受益者の相続分や寄与分によらず、画一的な法定相続分で遺産分割することとなりました。
 また所有者不明土地の利活用を促進する観点から新たな管理制度が創設され、選任された管理人が当該土地の管理や売却をできるようにしたほか、所有者不明土地を電気・ガス・水道などライフラインの確保に利用できるようになりました。

◆相続で所有者不明土地にしないために
 親世帯と同居することが少なくなり、相続が起きると土地や建物の利用目的が失われ、維持コストの負担も重くなります。行き場のない不動産としないためにも親の世代が将来の活用や処分に責任をもって臨むことが必要な時代になったと言えそうです。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2021年09月16日

(後編)マイナンバーと預貯金口座を紐付ける新たな制度が創設!

 
(前編からのつづき)

 創設された制度では、相続人は預金保険機構に対し、全ての金融機関が管理する相続人の被相続人である預貯金者を名義人とする全ての預貯金口座について、金融機関及びその店舗の名称、預貯金の種別及び口座番号の通知を求めることができます。
 なお、個人番号と預貯金口座の紐付けは、すでに2018年からスタートしており、金融機関には、預貯金口座を個人番号と紐付けて管理する義務が課せられております。

 ただし、NISAなどの投資信託や教育・結婚子育て資金の一括贈与、外国送金など法令で個人番号の提出が義務付けられているものと異なり、預貯金口座の場合は、任意のため、金融機関が預貯金者に対し提出の協力をお願いする形となっております。
 新法により、金融機関は口座開設時等に預貯金者に対し、個人番号利用による預貯金口座の管理の希望の有無の確認が必要になりましたが、これまで同様、個人番号の提出義務は規定されておりません。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年8月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2021年09月09日

(前編)マイナンバーと預貯金口座を紐付ける新たな制度が創設!

 
  「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」によりますと、マイナンバー(個人番号)と預貯金口座を紐付けすることにより、様々な給付金を簡単な手続きで受け取れるようになり、災害時や相続時などに通帳を紛失してしまい、口座が分からなくても、口座の所在を確認できる制度が創設されます。

 この法律によりますと、本人の同意を前提とし、一度に複数の預貯金口座への個人番号の付番が行える仕組みや、金融機関窓口からの番号登録だけでなくマイナポータルからも登録できる仕組み、相続時や災害時に預貯金口座の所在を確認できる仕組みを定めております。

 法律の施行は、公布日から3年以内とされており、内閣府の資料によりますと、相続時などサービス開始時期は2024年度からの予定となっております。
 現在、被相続人が亡くなった場合、被相続人の預貯金がどの金融機関に預けられているのか相続人が把握できないケースがあり、相続時の問題となっております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年8月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2021年09月09日

節税保険の規制強化提供:エヌピー通信社

 
 中小企業経営者の節税手法として活用されてきた一部の生命保険について、国税庁は名義変更時の評価方法を見直す改正通達を発遣しました。今後は低解約返戻金型の定期保険について、低額で経営者個人に譲渡して行う節税策が使えなくなります。規制の対象となるのは、2019年7月8日以後に加入した保険契約の、今年7月1日以降に行われる名義変更です。

 今回の通達で見直されたのは、加入当初は保険料が割高な上に解約返戻金も極端に低く抑えられているものの、一定のタイミングで返戻金が急増するように設定されている保険商品の評価ルールです。保険の譲渡額は、譲渡時の解約返戻金相当額で評価されるため、法人で加入して割高な保険料を会社で負担し、返戻金が急増する直前に名義を経営者個人に変えると、経営者は低い返戻金相当の金額で保険契約を手に入れ、その後、急増した高額の返戻金を受け取れるという仕組みになっていました。

 改正通達では同種の保険について、個人が会社から保険を譲渡される時の評価額の計算方法を変更し、解約返戻金が法人の資産計上している保険料の7割に満たなければ従来の解約返戻金としてではなく資産計上額で評価するとのルールを提示しました。それまで支払ってきた保険料と返戻金に著しいかい離が生じているときには、返戻金相当額での譲渡を認めないことになります。

 なお、先立って発表されたパブコメの募集結果では、当局は「今回の見直しの対象は、法人税基本通達9-3-5の2の適用を受ける保険契約等に関する権利としていますが、法人税基本通達の他の取扱いにより保険料の一部を前払保険料に計上する『解約返戻率の低い定期保険等』及び『養老保険』などについては、保険商品の設計などを調査したうえで、見直しの要否を検討することとしています」と答え、今後のさらなる規制強化にも含みを持たせています。

<情報提供:エヌピー通信社>



2021年08月13日

相続財産の上場株式等を調べる方法

 相続が発生した場合に、相続財産に何があるのか相続人が把握するのが困難であるケースがあります。遺言書や終活ノート等がある場合は把握しやすいのですが、被相続人が生前子供たちと離れて一人暮らしであった場合も今後増加してくるものと予想され、相続財産把握困難なケースも増えてくるものと思われます。

 

今回は相続財産(税務上)の上場株式等(内国上場株式、上場投資信託受益権(ETF)など)を保護預かりしてもらっている証券会社等(証券会社、信託銀行など)を調べる方法として、株式会社 証券保管振替機構の「登録済加入者情報の開示請求」について簡単にとりあげます。

 

「登録済加入者情報の開示請求」は株式会社 証券保管振替機構を通じて、被相続人が上場株式等を保護預かりしてもらっている証券会社等がどこなのかを相続人等の照会により調べてもらう(有料です)制度です。

それにより判明した証券会社等に上場株式等の残高の情報を照会します。

 

相続税の申告実務の際は、被相続人の通帳の記録、配当計算書の存在、証券会社等からの郵便物の存在等により保有上場株式等の存在や残高が判明するのですが、それらを通じてもなお判明しない、あるいはそれら自体も紛失等していて把握出来ないケースは「登録済加入者情報の開示請求」を利用して把握するという最後の手段のようなものかと思います。

 

相続人が困らないよう終活ノートのようなちゃんとした形式まではいかなくとも、財産リストのメモくらいは生前に作っておくことが大事なことかと思います。


2021年08月13日

相続財産の生命保険契約を調べる方法

 相続が発生した場合に、相続財産に何があるのか相続人が把握するのが困難であるケースがあります。遺言書や終活ノート等がある場合は把握しやすいのですが、被相続人が生前子供たちと離れて一人暮らしであった場合も今後増加してくるものと予想され、相続財産把握困難なケースも増えてくるものと思われます。

 

今回は相続財産(税務上)のなか生命保険契約を調べる方法として、一般社団法人 生命保険協会の「生命保険契約照会制度」について簡単にとりあげます。

 

「生命保険契約照会制度」は生命保険各社が加盟する一般社団法人 生命保険協会を通じて、被相続人が契約者又は被保険者になっている生命保険契約がどこの保険会社にあるのかを相続人等の照会により調べてもらう(有料です)制度です。

それにより判明した保険会社に具体的な保険契約の情報を照会します。

 

相続税の申告実務の際は、被相続人の通帳の記録、保険証券の存在、保険会社からの郵便物の存在等により契約の存在や内容が判明するのですが、それらを通じてもなお判明しない、あるいはそれら自体も紛失等していて把握出来ないケースは「生命保険契約照会制度」を利用して把握するという最後の手段のようなものかと思います。

 

相続人が困らないよう終活ノートのようなちゃんとした形式まではいかなくとも、財産リストのメモくらいは生前に作っておくことが大事なことかと思います。


2021年08月12日

コロナ後に法人増税の気運提供:エヌピー通信社


 新型コロナ対応による巨額の財政支出を補うため、自国内の法人税率を引き上げる動きが海外で相次いでいます。日本では現時点でそうした具体的な議論には発展していませんが、財政赤字を補うためにはなんらかの形での財源確保が不可欠なため、法人増税も選択肢の一つとなることは間違いありません。

 政府が示した経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案では、歳入増に向けた取り組みについて、アメリカやイギリスの法人増税の動きに言及した上で「参考とする」と記述し、将来的な増税にも含みを持たせる書きぶりになっています。

 日本の法人実行税率は安倍前政権下で段階的に引き下げが行われ、2018年度以降は29.74%となっています。20%台にはなったものの、先進国内で比較すると「まだ決して低くはない」との声が大勢を占めます。一方で、税率引き上げの可能性について経済界の幹部に問うと「世界的な流れを見ても議論の流れは変わってきたとひしひしと感じている。これまでのように無邪気に減税とは言えない」と神妙な面持ちで話しました。

 政府の会議の委員も務めている大学教授は「コロナ禍で政府は企業にさまざまな支援を行ってきたこともあり、法人増税はコロナ後の税収確保の議論としては持ち上がりやすい。所得増税よりも現実的だ」とみています。しかし、手段としては法人税率の引き上げというよりも、法人住民税の均等割を増額するような形をとることの方が現実的であると考えているそうです。税率の引き上げの場合、赤字企業は支払う必要がないために確保できる税収は限定的ですが、均等割の増額のような形であれば企業規模に応じて無理のない範囲での負担を依頼することができるとしています。コロナの収束はまだ見えていませんが、コロナ後の増税を巡る議論は注視していく必要があります。

 


<情報提供:エヌピー通信社>

 

 


2021年07月27日

(後編)役員退職金の適正額の算定方法とは!?


(前編からのつづき)

 したがって、「平均功績倍率法」は、あくまで一般的な退職金の算定方法としては合理的ですが、税法上、この方法が唯一のものというわけではありません。

 他の算定方法としては、過去に役員退職金を支給しているのであれば、過去の役員退職金の支給実績に基づいて算定する方法や、実際の裁判例では、「平均功績倍率法」ではなく、「1年当たり平均額法」を採用したケースもあります。
 これは、「類似法人の退職した役員の勤続年数1年当たりの平均退職給与の額×勤続年数」をもって、退職金を算定する方法で、この方法により最後の役員報酬が著しく低くても妥当な退職金を支給できるとされております。

 上記の裁判例のように、法人税法上は役員退職金の支給額については画一的に考えるのではなく、法人の業務に従事した期間、その退職の事情、同種・類似規模の法人の役員退職給与の支給状況等を総合的に勘案した上で、合理的に算定するということが重要です。
 なお、退職金規定を作成して功績倍率を定めておくことで、恣意性を排除し税務署等への説明根拠とすることもできるといわれております。

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)



2021年07月14日

(前編)役員退職金の適正額の算定方法とは!?

 法人税法上、不相当に高額な役員退職金は損金算入が認められておらず、合理的な金額であれば損金として認められます。

 不相当に高額として損金不算入とされた金額は法人税法上の経費とならないため、損金不算入となった役員退職金分には法人税が課税され、退職者には退職所得に対して所得税が課税されますので、役員退職金の適正額の算定方法には注意が必要です。
 適正とされる役員退職金の算定方法にはいくつか種類がありますが、「平均功績倍率法」が一般的です。

 「平均功績倍率法」は、「最終報酬月額×勤続年数×類似法人の平均功績倍率」をもって退職金を算定しますが、計算要素のひとつである最終報酬月額が0円だった場合や、最終的に非常勤等で役員報酬が極端に低いケースもあります。

 役員報酬を業績が良い時は上げて、悪い時は下げるなど、たまたま退職時点で業績が悪化したため役員報酬を引き下げたケースや、業績の波が大きい中小企業の社長では、下げ幅も大きく、退職時点では役員報酬が0円であったケースも少なくないといいます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)



2021年07月14日

《コラム》免税駐車場事業者のインボイス対応




 令和5年10月1日に導入される消費税インボイス制度(適格請求書等保存方式)。今年(令和3年)10月1日からインボイス発行事業者登録申請書の受付が始まります。消費税の免税駐車場事業者の対処方法は?

◆免税事業者への影響
 課税事業者は、仕入先からインボイス(適格請求書)の交付を受けて仕入税額控除を行います。一方、免税事業者はインボイスを交付できないため、相手先は仕入税額控除できず(6年間は経過措置あり)、契約が打ち切られるかもしれません。
 駐車場オーナーは、免税事業者のまま益税となっていた消費税分の値引きに応じるか、又は課税事業者を選択して登録事業者になるかの検討をすることになります。

◆登録事業者になる選択
 課税事業者を選択し、あわせて簡易課税を選択した場合、不動産業のみなし仕入率40%が実際の仕入率より高ければ益税部分の一部は手許に残ります。また多額の設備投資を予定する場合は、原則課税を選択して消費税の還付を受けることもできます。
 なお、毎月、振替や振込で賃料が支払われる場合、都度インボイスを交付する必要はなく、登録番号の記載された賃貸借契約書を保管し、預金通帳で支払記録を確認できれば仕入税額控除できるとされています。

◆登録申請は令和5年3月31日までに!
 令和5年10月1日よりインボイス発行事業者となるためには、原則として令和5年3月31日までに登録申請が必要です。なお、令和5年10月1日の属する課税期間中に登録を受ける場合は、消費税課税事業者選択届出書を提出する必要はなく、さらに簡易課税を併せて選択する場合は、令和5年10月1日の属する課税期間の末日までに簡易課税制度選択届出書を提出すれば、令和5年9月30日までは免税事業者、令和5年10月1日からは簡易課税事業者となれます。

◆免税事業者にとどまる選択
 借主が個人消費者の場合、仕入税額控除の必要はないため、インボイスを交付せず免税事業者にとどまることでも問題はないものと思われます。消費税は表立って請求できなくなりますが、令和3年4月1日から再開された総額表示のもとでは、賃料は消費税を含む総額で表示されるため、立地や広さで周辺の駐車場と比べ競争力があれば、従前の税込賃料と同様の水準で料金設定することもできるのではないでしょうか。

 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)



2021年07月14日

公示地価、6年ぶりのマイナス提供:エヌピー通信社

 
 国土交通省は、今年1月1日時点での地価を公表しました。昨年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、住宅地、商業地、工業地などを含む全用途の全国平均はマイナス0.5%と、6年ぶりにマイナスに転じました。これまで安倍政権下の株高傾向、訪日海外観光客の増加、東京五輪に向けた大規模再開発などにけん引されてきた地価の上昇傾向が、すべて吹き飛んだ形です。

 住宅地では、コロナ禍による雇用環境の悪化から、住宅の購入に慎重な姿勢が強まりました。前年0.8%プラスだったところが、0.4%の下落と5年ぶりにマイナスとなりました。上昇を保った札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢4都市を除き、三大都市圏などでも軒並み下落。ただし都心の高級物件のあるエリアや、交通の便の良い郊外など一部は上昇を保っています。

 コロナ禍が最も影響したのが商業地です。訪日客がほぼゼロになったことに加え、国内でも外出自粛の動きにより旅行や外食が打撃を受け、観光地や繁華街などで下落が目立ちます。商業地は7年ぶりのマイナスとなる0.8%下落。特に訪日客に人気の高かった大阪中心部の繁華街「ミナミ」は全国の下落率トップ10のうち8地点を占め、深刻な状況です。昨年9月に100年の歴史を閉じた老舗ふぐ料理店「づぼらや」がある大阪市中央区道頓堀1丁目は、前年の24%上昇から、一気に28%の下落に落ち込みました。

 一方、上昇幅は縮小したものの、用途別で唯一プラスを維持したのが工業地です。コロナ禍における〝巣ごもり〟傾向がインターネット通販の利用拡大を促した結果、物流施設用地の需要が高まり、全国で0.8%の上昇となりました。地価が最も高かったのは、15年連続で東京都中央区銀座の山野楽器本店。しかし5360万円で前年からは410万円下落し、9年ぶりにマイナスに転じています。

<情報提供:エヌピー通信社>


2021年07月14日

《コラム》押印不要の書類が増えています

菅内閣は脱ハンコ、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を進めています。これに伴い、税務書類についても押印が不要となる書類が増えてきました。

◆税務署窓口における押印の取扱い
 令和2年12月21日に「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定され、この中で、税務関係書類(国税に関する法律に基づき税務署長等に提出される申告書等)の押印の見直しが行われました。提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、一部の税務関係書類を除き、押印を要しないこととする方針が示されました。そして、この取扱いは原則として令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する予定となっていましたが、一方で「改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めない」ともされていました。
 この閣議決定に基づき、全国の税務署窓口においては、本件見直しの対象となる税務関係書類について押印がなくとも改めて求めないこととしています。 

◆振替納税やダイレクト納付の手続も
 従来、振替納税やダイレクト納付をしようとする場合には、それぞれ「振替依頼書」や「ダイレクト納付利用届出書」に金融機関の届出印を押印する必要がありました。これらの手続も令和3年1月から、個人の方の振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書をe-Taxで提出することが可能となりました。
 さらに、振替依頼書等のオンライン提出においては、金融機関の外部サイトにより利用者認証を行うので、電子送信時に電子署名及び電子証明書の添付も不要となります。

◆押印が必要な書類も
 とはいえ、担保提供関係書類・物納手続関係書類の一部や遺産分割協議書、特定個人情報の開示請求、閲覧申請手続など、押印が必要な書類もまだまだありますので注意しましょう。

 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)  


2021年07月14日

《コラム》令和2年税制改正大綱 資産課税編


◆所有者不明土地等に係る措置(固定資産税)
土地・家屋の固定資産税は、原則として土地の「所有者」(登記簿上の所有者)に課税されますが、昨今の「所有者不明土地等」の増加に伴い、次の措置が設けられます。
(1)「現に所有している者」の申告制度化 市町村長は、その市町村内の土地・家屋について、登記簿に「所有者」として登記がされている個人が死亡している場合には、その土地・家屋を「現に所有している者」(現所有者)に、条例で定めるところにより、賦課徴収に必要な事項を申告させることができることとなりました。
(2)所有者不明土地等の「使用者」に課税 市町村は、調査を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合には、その「使用者」を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、固定資産税を課することができることとされました。

◆国外財産調書制度等の見直し(相続税等)
(1)相続直後の調書等への記載の柔軟化 相続開始年の年末に有する国外財産に係る国外財産調書については、相続・遺贈により取得した国外財産(相続国外財産)は記載しないで提出できるようになりました。
(2)提出がない場合等の加算税等の見直し 国外財産調書の提出がない場合の過少申告加算税の加重措置の適用対象に、相続国外財産に対する相続税の修正申告等があった場合等が追加されました。 また、国外財産調書に記載すべき国外財産に関する書類の提示・提出がない場合の加算税の軽減措置・加重措置の特例が創設されました。

◆その他の改正(相続税・贈与税)
(1)農地等の納税猶予制度の対象拡大 特例適用農地等の範囲に、三大都市圏の特定市の市街化区域内に所在する農地で、地区計画農地保全条例(仮称)により制限を受ける一定の地区計画の区域内に所在するものが追加されます。
(2)医業継続に係る納税猶予制度の延長 適用期限が3年延長されます。
(3)相続税の物納の特例の対象拡大 適用対象となる登録美術品の範囲に制作者が生存中である美術品のうち一定のものが追加されます



(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2020年04月27日

《コラム》戸籍法改正と相続手続きの円滑化


◆戸籍法の一部改正が成立、公布へ
 令和元年5月24日に戸籍法の一部を改正する法律が成立し、同月31日に公布されました。国民の利便性向上と行政の運営効率化を目的とした今回の改正では、どのようなことが可能になるのでしょうか。

◆戸籍法と戸籍事務の電子化
 私たちの親族的身分関係を証明する「戸籍」、この戸籍の作成や手続き等について定めた法律が「戸籍法」です。平成6年の改正によりコンピュータを使用して戸籍事務を取り扱うこととなり、現在では全国1896市区町村のうち1893市区町村でこのコンピュータ・システムが導入されていますが、各市区町村のシステムがネットワーク化されていないため、私たちが戸籍を請求するためには本籍地の市区町村役場で手続きしなければなりません。
 たとえば相続手続きで、自分と両親や叔父叔母等親族との身分関係を説明する場合、その親族の各本籍地へ戸籍を請求することになります。本籍地と住所地は別の概念であるため、住所地から遠く離れた場所であることもしばしば。遠隔地であれば郵送で請求することになりますが、郵便の往復期間もあり1通請求するのに数週間を要することもあります。相続手続きの際には、何人もの戸籍を請求しなければなりませんので、とても時間がかかります。

◆本籍地以外でも戸籍の取得が可能に
 こうした課題を受け、今回の改正では法務省が一括する戸籍データの管理システムを活用することで、本籍地以外の市区町村役場での戸籍請求が可能になります。また、電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)の発行も可能になる予定です。
 このシステムの具体的な運用開始時期については、公布の日から5年と想定されています。今回の改正により、これまで煩雑で時間のかかっていた戸籍収集の手間が大幅に削減され、相続手続き全体の円滑化にも期待が持てそうです。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2020年04月27日

(後編)空き家特例で老人ホーム等入所の具体的な確認事項を公表!国土交通省


(前編からのつづき)

 具体的に(a)は、支払い証明書、料金請求書、領収書、お客様情報の開示請求に対する回答書、通帳の写し又はクレジットカードの利用明細(最終の料金引渡し日が分かるもの)などをいいます。

 (b)は、例として、家屋を宛先住所とする被相続人宛の郵便物等や電気、水道又はガスの家屋の一定使用は認められますが、事業の用等に供されていないことが確認できていない場合の書類として、市区町村が認める者が家屋の管理を行っていたことの証明書、不動産所得がないことを確認するための地方税の所得証明書等明細(最終の料金引き落とし日が分かるもの)などを示しております。

 国土交通省は、被相続人居住用家屋確認書の申請時における提出書類(介護保険の被保険者証等の写しや老人ホーム等が保有する書類、電気、ガスの使用中止日が確認できる書類など)については、相続後や家屋・敷地の譲渡後に入手が難しいものもあるため、特例適用の検討段階において早めに準備するよう呼びかけておりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2020年04月27日

(前編)空き家特例で老人ホーム等入所の具体的な確認事項を公表!国土交通省


 国土交通省は、2019年度税制改正において、相続した空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例について、2019年4月1日以降の譲渡から、要介護認定等を受け、被相続人が相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していた場合も、一定要件を満たせば適用対象となり、適用期限も4年延長されましたが、その一定要件について、具体的な確認事項を明示しました。

 老人ホームに入所していた場合の具体的な要件は、
①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと
②被相続人が老人ホーム等に入所をしたときから相続の開始の直前まで、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこととされております。

 上記②の確認事項は、
(a)電気、水道又はガスの契約名義(支払人)及び使用中止日が確認できる書類
(b)老人ホーム等が保有する外出、外泊等の記録
(c)その他、要件を満たすことを容易に認めることができる書類のいずれかとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


2020年04月27日

平成時代の相続税制を振り返る 提供:エヌピー通信社

 平成時代の相続税制を振り返ると、減税路線から増税路線に切り替わっていることが分かります。

 現行の相続税制は70年前の「シャウプ勧告」に基づく税制改革で誕生した税法がベースとなっています。相続税法の創設当時(昭和25年)は最高税率90%でスタートしましたが、2年後(27年)には70%に減税。昭和50年の税制改正で75%に引き上げられました。63年には70%に戻されたほか、基礎控除額と配偶者の非課税限度額が引き上げられるなど、全体として税負担が軽減される改正となりました。

 平成時代に入ってからも昭和63年の改正と同様に、減税路線で進みます。基礎控除額は、路線価の上昇で相続税負担が過大になっていたことなどを背景に、平成4年に定額部分が4千万円から4800万円、法定相続人の人数に応じて変動する部分が1人当たり800万円から950万円へと再び拡充。さらに6年にはそれぞれ5千万円と1千万円まで引き上げられました。

 しかし平成の最終盤に、それまでの減税路線とは反対方向に舵を切ります。27年に最高税率の拡大と基礎控除額の縮小が行われ、納税額が高額になる「重負担化」と、以前であれば納税の必要がなかった人まで課税対象となる「大衆化」が進んでいます。

 事実、相続税の税収は25年まで10年以上の間1兆5千億円前後でしたが、30年には2兆2千億円へと大幅増となりました。また平成6年以降20年以上4~6%の間に納まっていた課税割合は27年に8%へと跳ね上がっていて、相続税対策を必要とする納税者が激増している状況です。

 


<情報提供:エヌピー通信社>


2020年04月27日

(後編)2019年度税制改正:空き家に係る特別控除、制度の拡充と4年延長へ


(前編からのつづき)

 特例創設の趣旨が、居住用家屋が空き家となることを防ぐ目的であることから、被相続人が死亡した時点で1人暮らしであった場合に限定され、区分所有建物は除かれるなど、あくまで相続から譲渡まで引き続き空き家でなければならず、これまでの要件は厳格でしたが、今回の改正において、一定の要件を満たせば、被相続人が老人ホーム等に入所していた場合も対象に加えられました。

 具体的な要件としては、
①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと
②被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこととしております。

 なお、この改正は、2019年4月1日以後に行う被相続人居住用家屋又はその敷地等の譲渡について適用されますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年5月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2020年04月27日

(前編)2019年度税制改正:空き家に係る特別控除、制度の拡充と4年延長へ


 2016年度税制改正において、所有者不明土地の増加とともに、居住用家屋が空き家となってしまうことを防止するため、相続した空き家を一定要件のもとで譲渡した場合には、居住用財産の譲渡所得の特別控除に該当する譲渡とみなして同控除を適用する特例が創設されました。
 しかし、同特例は、2019年12月末で期限切れとなってしまうため、2019年度税制改正において、制度の拡充を行った上で、適用期限が4年延長されました。

 同特例の適用要件は、
①相続開始直前に被相続人のみが居住していた1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物を除く)及びその敷地で、相続の開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
②譲渡価額が1億円を超えないこと
③譲渡をする家屋・土地は、相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付用、居住用に使われていないことで、居住用財産譲渡の場合の3,000万円の特別控除が適用できます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年5月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2020年04月27日

《コラム》平成31年度税制改正大綱 消費税編


◆与党大綱、消費増税「確実に実施」と明記
 「消費税対策」が中心に据えられた平成31年度の税制改正。与党税制改正大綱では、「消費税率10%への引上げを平成31年10月に確実に実施する。」と明記され、現政権の堅い決意を表明しています。
 既に30年11月に自民党税制調査会が「消費税率引上げに伴う対策について」の中で対策の大枠を掲げていました。

 ○駆け込み・反動減中小・小規模対策:耐久消費財対策(平成31年改正)
 ○逆進性対策:軽減税率導入
 ○負の所得効果対策:賃金引上げ、幼児教育無償化

◆「複雑となりすぎた制度」環境整備急務
 これが、与党税制改正大綱の「消費税率の引上げに伴う対応」の3項目に落とし込まれました。特に軽減税率導入時の混乱が予想されるため、環境整備が急がれます。
 ①需要変動の平準化に向けた取組み(価格表示・転嫁対策、住宅・自動車の措置)
 ②軽減税率制度の実施(Q&A追加、個別相談、レジ導入支援など)
 ③医療費に係る措置(診療報酬の補てん状況を調査・対策)

◆「屋台でも免税」臨時販売場の出店容易に
 東京オリンピック開催に備え、外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売所制度)が見直され、事業者が地域の祭りやイベントに免税店を出店する際の手続きが簡素化されます(「臨時販売場に係る届出制度」の創設)。現行制度では、屋台など短期間で免税店を出店する場合でも、常設店同様の提出書類(店の見取図、マニュアル、免税対象品目など)が必要で、審査に時間がかかるため、申請を見送るケースも多くありました。この制度の開始は、平成31年7月からとなります。

◆急増する金密輸に対策:買取側控除に制限
 ニュース等で話題の「金密輸」についても対策が講じられます。国外から日本に金を持ち込む場合には、申告を行い、消費税を納める義務がありますが、密輸業者は金を隠して持ち込み、国内買取業者に消費税を上乗せして販売。差益を得ていました。
 これに対し、①密輸品と知りながら行った課税仕入れは仕入税額控除を認めない、②金・白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の保存を仕入税額控除の要件に加える措置がされました(H31.4~)。



<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2019年01月25日

《コラム》平成31年度税制改正大綱 資産課税編

◆個人事業者版の事業承継税制創設 平成30年度税制改正では、非上場会社の事業承継税制の大胆な見直しが行われましたが、これに続き31年度改正では、個人事業者の事業承継税制が創設されました。 総務省の調査では、平成37年には個人事業者の73%(150万人)が70歳以上となると報告され、世代交代を後押しする施策が求められています。そのため、10年間の時限措置として、承継資産(土地・建物・機械等)に係る贈与税・相続税の100%が納税猶予される制度が整備されます。 なお、この制度は小規模宅地等(特定事業用宅地等)との選択適用になります。

 

○個人事業者の事業用資産の納税猶予(相続税)対象者:認定相続人(承継計画の認可)

適用期間:H31.1.1~H40.12.31

要件:

①相続又は遺贈により特定事業用資産を取得し、事業を継続していくこと

②申告期限までに担保提供・申請書提出

対象資産:特定事業用資産(不動産貸付事業除く)①土地(地積400㎡まで)、②建物(床面積800㎡まで)、③一定の償却資産※青色申告書に添付する貸借対照表に計上されているもの承継後:継続届出書を税務署に提出

 

 

◆特定事業用宅地等(小規模宅地)の見直し 小規模宅地等の減額制度の濫用を防止する観点から、特定事業用宅地等から相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等が除かれることとなります。ただし、その宅地の上で事業供用される償却資産の価額が土地の価額の15%以上であれば、適用対象とされます(H31.4以後の相続より適用)。

 

◆民法の成人年齢引下げに伴う改正 平成34年4月以後の相続・贈与より、次の年齢が20歳から18歳に引き下げられます。・相続税:未成年者控除の対象者の年齢・贈与税:下記の受贈者の年齢要件①相続時精算課税制度、②直系尊属から贈与を受けた場合の特例税率、③非上場株式等に係る贈与税の納税猶予

 

◆一括贈与非課税に受贈者の所得要件が追加 「教育資金」、「結婚・子育て資金」の一括贈与非課税については、受贈者の所得要件が設けられることとなりました。平成31年4月以後の贈与からは、受贈者の贈与前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用できません。また、23歳以上の趣味の習い事代は「教育資金」の範囲外とされました(H31.7以後の贈与より)。

<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2019年01月24日

《コラム》不動産管理会社に支払う不動産管理料の適正額


 賃貸物件を所有する個人が不動産管理会社を設立して、不動産の管理をその管理会社に委託し、管理料を支払うことで所得を分散させるという一般的な節税手法があります。
 支払った管理料の分を必要経費とし個人の所得税を抑えることができるというものですが、不動産管理料が不当に高額である場合、適正額を超えた部分についてはその経費性を否認されることとなるため、留意が必要です。

◆管理料の相場と決定方法
 同族経営の不動産管理会社に支払う管理料は、事業運営方式にもよりますが5%~15%が相場です。過去の裁判例を参考にして手数料率を決定するという方法もありますが、表面的な数字ではなく、不動産管理会社が実際に行う管理業務の内容、その業務の周辺相場、同様の業務を他業者に委託した場合にいくらまでなら支払うかが管理料決定の基準となります。

◆同族会社の行為計算否認規定
 不動産管理料がその管理業務の実態と照らし合わせて「不当に高額である」として否認される場合にその根拠となるのが、所得税法第157条「同族会社等の行為又は計算の否認等」の規定です。当該規定は、課税の公平を図る趣旨から、所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合に適用されます。同族会社であるがゆえに第三者取引には通常見受けられないような料金設定がなされた場合、その不相当に高額な部分が必要経費として認められないこととなります。

◆適正額と業務上の留意点
 管理料については、個々の物件の規模、地域性、管理業務の具体的な内容を総合的に勘案し、業務内容に則して決定することが必要です。また、修繕費や共益部分の費用をどちらで負担するのかを事前に決定したり、さらには業務日誌を作成する、メールやFAXといった日々の業務のやり取りを保管するなど業務実態を明確にしておくことも重要です。

<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2019年01月11日

民法の改正相続法の施行は来年7月 提供:エヌピー通信社


 民法の改正相続法の施行日を2019年7月とする政令が公布されました。相続制度の大幅な見直しは1980年以来約40年ぶり。従来の相続制度を大きく変える内容が多数盛り込まれ、特に配偶者の権利を拡大するものとなっています。

 配偶者に関する大きな変更はふたつで、ひとつは結婚して20年以上の夫婦間で生前贈与もしくは遺贈をした自宅を、相続の際の遺産分割の対象から除外する特例の創設です。また、配偶者が所有権を相続しなくても自宅に住み続けられる「配偶者居住権」が導入されます。この「配偶者居住権」に限っては2020年4月施行です。

 改正法では、介護などで貢献した親族の金銭要求制度も導入されます。長男の嫁など法定相続人でない人でも遺産分割の際に一定の金銭を「特別寄与料」として要求できるようになります。また、相続した預貯金のうち、生活費や葬式費用に充てる金銭に限り仮払いを受けられる制度もスタートします。

 なお、相続法改正の施行日を定める政令の交付と同日に「遺言書保管法」の施行日を20年7月10日とする政令も公布されました。この制度は法務局が自筆証書遺言の原本を保管し、相続後に遺族の請求を受けて写しを交付するもの。自宅での保管と異なり、紛失や親族による改ざん・隠匿の心配はなくなります。また保管制度を利用すると、遺言書の加除訂正の状態などの内容を家庭裁判所に確認させる手続き(検認)が不要になります。

<情報提供:エヌピー通信社>


2018年12月29日

仮想通貨の相続税申告が簡素化 提供:エヌピー通信社

国税庁は11月下旬、相続で仮想通貨を取得した時の申告方法を簡素化することを発表しました。これまで仮想通貨の相続税申告については統一された取り扱いが定められていなかったため、相続人が各交換業者のサイトにログインするなどして残高を調べるしかありませんでした。 

 

国税庁が定めた新たな方法では、相続で仮想通貨を得た相続人は、各交換業者に仮想通貨の残高証明書の交付を依頼できるようになります。業者は依頼に基づき、相続開始日における残高証明書や取引明細書を発行し、相続人は各業者から交付された証明書を税理士に渡すことで相続税の申告書を作成するというもの。 また国税庁は同時に、仮想通貨の税務上の取り扱いについてのQ&Aも発表しました。仮想通貨を売却した時や交換した時、仮想通貨で給与を支払った時などの税務処理を解説しています。それによれば、相続で仮想通貨を得た時の評価方法は、市場で取引され、継続的に価格情報が提供されているようなものについては、相続発生時点での市場価格に準じます。 一方、活発な市場が存在せず客観的な交換価値を示すデータがない仮想通貨については、「仮想通貨の内容や性質、取引実態などを勘案し、個別に評価する」としています。


<情報提供:エヌピー通信社>

2018年12月28日

《コラム》来年には法規制?ふるさと納税をめぐる動き


◆年末の恒例になりつつあるふるさと納税
 そろそろ年末の足音も聞こえてきました。来年は消費税増税・軽減税率導入・年号改正等、身近な税や制度について大きく変更がある予定となっています。
 その中の1つに「ふるさと納税」があります。ここ数年、大きなうねりとなってすでに国民の認知度は高くなっていますが、過剰な返礼品競争の末、ついには総務省が「来年より法規制をする」という方針を示しました。

◆今は「高すぎるもの」も見逃されている
 平成30年4月には、ふるさと納税は「返礼品の価値は寄附額の3割にしてください」という総務省の「要請」が出ていますが、法的拘束力がなく、逆に3割以上の返礼率を持つ自治体に人気が集まる結果となりました。総務省は調査を踏まえて「見直しが必要である自治体」を公表したのですが、「それだけお得な自治体」ということで逆に、拍車を掛けたという事は否めません。何故発表したのか疑問です。

◆来年法規制……という事は今年は?
 平成30年9月、総務省はふるさと納税の返礼品について、規定外のものを扱った自治体に対し、ふるさと納税制度から外す事も視野に入れ、来年度から制度の見直しを行うという発表をしました。
 これにより、来年4月以降はより一層ふるさと納税の規制が進むとして、現在駆け込み需要が過熱しています。ある自治体では、返礼率が高い上に使い勝手が良い「Amazonギフト券」を総務省の目に付きにくい土日祝日のみサイトに出す等、ゲリラ戦術の様相も呈しています。

◆配偶者特別控除絡みで上限にはご注意を!
 ふるさと納税は自己負担が2,000円で返礼品が貰えるお得な制度ですが、今年の自己負担が2,000円で済む寄附の上限は、今年の収入・所得・控除によって決まります。今年は配偶者特別控除の変更があり、去年と同様の収入・控除ですと控除限度額が下がる方もいらっしゃいます。計算シミュレーション等で確認しましょう。


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2018年11月21日

住宅エコポイント復活へ 提供:エヌピー通信社


 省エネ性能の高い住宅を新築・リフォームした際にポイントが付与される「住宅エコポイント制度」が、消費増税を機に4年ぶりに復活する見通しです。増税に伴う駆け込み需要の反動減を抑えるため、国土交通省が制度の導入に向けて検討に入りました。

 住宅エコポイント制度とは、環境に配慮した住宅の新築やリフォームを行った人に対し、商品やサービスと交換できるポイントを付与する制度。これまで2010年、12年、15年に期間限定で実施されたことがあり、今回で3度目の復活となります。

 制度の対象となる工事や付与ポイントは実施時期ごとに異なります。15年には一定の省エネ基準を満たした住宅の新築に1戸あたり30万ポイント、窓や外壁の断熱化といったリフォームに1戸あたり最大30万ポイント、耐震改修でさらに15万ポイント上積みして最大45万ポイント付与する制度でした(1ポイント=1円相当)。

 発行されたポイントは、省エネ商品や地域振興券に交換できたほか、ポイントの対象となった工事の施工者が追加的に実施する工事の費用に充てることもできました。新制度の対象工事やポイント数については国交省と財務省が協議して決めます。

 個人がエコポイントを商品交換や追加工事費用に充てた場合、その金額は基本的に生命保険の一時金や競馬の払戻金と同じ「一時所得」として所得税の課税対象となります。一時所得には50万円までの特別控除枠があり、他の一時所得と合わせて50万円を超えると課税されます。なお、そのポイントが業務のために使う住宅の新築・リフォームに伴って付与されたのであれば、事業所得または不動産所得として計上することになります。



<情報提供:エヌピー通信社>

2018年11月20日

消費増税分のポイント還元、コンビニFCも


 政府は来年10月の消費増税に備え検討を進めるキャッシュレス決済時のポイント還元制度で、コンビニエンスストアでの買い物も対象に含める方針です。セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなど大手とフランチャイズ(FC)契約を結ぶ個人経営の店舗を、政府支援が必要な「中小企業」とみなして補助金を出します。消費者の使い勝手を良くすることで、クレジットカードなどキャッシュレス決済の普及を促したい考えです。

 キャッシュレス決済のポイント還元は、増税後の消費落ち込みに備え、政府が中小小売りなどを対象に検討している制度。消費税還元セールの解禁で大手スーパーは自力で一律値上げを回避できますが、経営体力のない地域の小規模な小売店や飲食店などは、増税後の価格維持のために当面の間は公的支援が必要と判断。キャッシュレス決済の端末費用を補助して導入を進め、決済金額の2%分のポイントを国の負担で消費者に還元する考えです。

 ただ、地域の小規模店だけでは、消費者にとって使い勝手が悪くカードなどキャッシュレス決済の手段が普及しない可能性があります。そこで、政府は多くの消費者が日常的に使用するコンビニも対象に含める方向で調整。コンビニでは既にキャッシュレス決済の端末が普及しており、「新制度を円滑に始められる」(経産省幹部)との判断も働きました。課題は「大企業」とみなされる直営店の扱い。政府は法律上中小企業とみなせるFCに限り、直営店については本社の負担で同様のポイント還元制度をするよう要請。ただ、大手3社はともかく地方展開する中規模なコンビニでは経営負担が重く、調整が難航する可能性もあります。


<情報提供:エヌピー通信社>

2018年11月20日

(後編)消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について


(前編からのつづき)

 どのような価格設定を行うかは事業者の任意ですが、例えば、テイクアウト等(軽減税率)及び店内飲食(標準税率)で異なる税込価格を設定する場合における価格表示方法としては、テイクアウト等及び店内飲食の両方の税込価格を表示する方法やテイクアウト等又は店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示する方法などが考えられます。

 テイクアウト等のみの税込価格を表示する場合には、店内飲食のほうがテイクアウト等よりも税込価格が高いのに、テイクアウト等であることを明瞭に表示せず、税込価格のみを表示している場合には、一般消費者に店内飲食の価格が実際の価格よりも安いとの誤認を与えてしまい、不当景品類及び不当表示防止法の規定により禁止される表示に該当するおそれがあります。

 また、テイクアウト等と店内飲食との間で税込価格が異なる場合は、事業者は、顧客の意思表示により異なる税率が適用され、税込価格が別途計算されることがあり得る旨、店舗内の目立つ場所に掲示するなどの手段により、一般消費者に対して注意喚起を行うことが望ましいとしております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2018年11月16日

(前編)消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について 


 2019年10月1日から実施予定の消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について、消費者庁・財務省・経済産業省・中小企業庁の4省庁は連名で、一般消費者の適正な商品又は役務の選択を確保することを目的として、同一の飲食料品の販売について適用される消費税率が異なる場面における小売店等の価格表示の具体例等の取りまとめを行い、公表しました。

 それによりますと、消費税の軽減税率制度では軽減税率の適用対象品目を「酒類及び外食を除く飲食料品」としているので、テイクアウト(飲食料品を持帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡)や出前(単に相手方が指定した場所まで飲食料品を届ける行為)には軽減税率が適用されることとなる一方、店内飲食(飲食設備のある場所において、飲食料品を飲食させる役務の提供)には標準税率が適用されます。
 このため、テイクアウト等及び店内飲食のいずれの方法でも飲食料品を提供する飲食店等の事業を営む外食事業者やイートインスペースのある小売店等の事業者では、同一の飲食料品の販売で適用される消費税率が異なる場面が想定されます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2018年11月16日

黒字企業割合が7年連続で増加 提供:エヌピー通信社


 2017年度に税務申告した全国の法人のうち、黒字と申告した法人の割合は34.2%で、前年度(33.2%)より1.0ポイント増となり、7年連続で上昇しました。国税庁が10月中旬に発表した法人税の申告事績で分かったものです。また申告法人289万6千社の所得金額は前年度比11.5%増えて70兆7677億円となり、過去最高を記録しました。

 黒字法人の割合は、08~10年度に3年連続で過去最低を更新し、黒字申告は「4社に1社」でしたが、その後盛り返し、増加の一途をたどっています。現在では「3社に1社」が黒字の状況です。

 また申告所得金額もリーマンショックのあった08年を境に一気に落ち込んだのですが、14年度にリーマンショック前の水準を超え、その後も増加を維持しています。

 源泉所得税について見てみると、29年度の源泉所得税の税額は18兆1517億円で、前年度から6.0%減り、7年ぶりに減少した昨年から再びプラスに転じました。給与所得は3.4%伸びたほか、昨年15.3%落ち込んだ配当所得が8%伸びたことなどが響きました。


<情報提供:エヌピー通信社>


2018年11月12日

経営革新制度

「中小企業新事業活動促進法」に基づく経営革新の定義・・・事業者が①新事業活動を行うことにより、その②経営の相当程度の向上を図ること(同法第2条第6項)

ここでいう経営革新では、中小企業が単独もしくはグループで(新連携)で数値目標を持った経営革新計画を作り、都道府県の承認を受け、各方面の経営革新の特典を受けながら、その経営革新計画の実施をしていくことをいいます。

①の新事業活動とは・・・1.新商品の開発又は生産2.新役務(サービス)の開発又は提供3.商品の新たな生産又は販売の方式の導入4.役務(サービス)の新たな提供方式の導入その他新たな事業活動をいいます。


②の経営の相当程度の向上とは・・・3~5年の計画期間で次の2つの指標がそれぞれの基準値以上に向上することをいいます

(1)付加価値額又は一人当たりの付加価値額の伸び率
(2)経常利益の伸び率

3年計画終了時の場合→(1)が9%以上、(2)が3%以上


4年計画終了時の場合→(1)が12%以上、(2)が4%以上


5年計画終了時の場合→(1)が15%以上、(2)が5%以上

※(この場合の)付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

※(この場合の)経常利益=営業利益-営業外費用(本業との関連の低い賃貸料収入等の営業外収益は含めない)


【事例紹介】

(中小企業庁 平成25年版「今すぐやる経営革新」の事例公開より)

1.新商品の開発又は生産では・・

木製品製造業者が、これまで建具の材料として利用困難であった間伐材を加工するための切削用刃物を開発。環境と健康にやさしい建具を生産・販売する。

2.新役務(サービス)の開発又は提供では・・

美容室が高齢者や身体の不自由な方等自分で美容院に行くことが困難な方の為に、美容設備一式を搭載した車で美容師が出張し、美容サービスを行う。

3.商品の新たな生産又は販売の方式の導入では・・

果物の小売業者が本格的なフルーツパーラーを開店。高品質フルーツスイーツ、健康を意識したランチメニュー等を提供。

4.役務(サービス)の新たな提供方式の導入では・・

不動産管理会社が企業の空家となった社員寮を一括借り上げして、介護サービス、給食サービスを付加し高級賃貸高齢者住宅として賃貸する。


【経営革新計画の承認を受けることによる特典】

1.保証・融資の優遇措置

①信用保証の特例(別枠化)
②日本政策金融公庫による低金利融資制度
③高度化融資制度
④小規模企業設備資金貸付制度の特例

2.海外展開

①日本政策金融公庫の特例
②貿易保険法の特例(債務保証制度)
③信用保証の特例(限度額の引き上げ)

3.投資支援措置

①起業支援ファンドからの投資(ベンチャーファンド)
②中小起業投資育成㈱からの投資

4.販路開拓の支援措置

①販路開拓コーディネート事業
②中小企業総合展

5.特許関係料金の優遇

①審査請求料が半額に
②特許料(第1ー10年分)が半額に

2018年11月08日

《コラム》自筆証書遺言保管制度の新設と遺言書の方式緩和


◆自筆証書遺言保管制度の新設
 平成30年7月6日、法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新たに設けられることとなりました。
 新たな制度では、予め保管申請しておくと、遺言者が死亡した後に相続人が法務局において、遺言書保管事実証明書及び遺言書情報証明書の交付請求、遺言書原本の閲覧請求をすることができるようになります。また、相続人の1人に遺言書情報証明書を交付した場合または遺言書の閲覧をさせた場合には、法務局から他の相続人等に遺言書が保管されている旨が通知されることになります。

◆紛失・改ざんなどのリスク
 自宅で自筆証書遺言を保管した場合、紛失・亡失の可能性がありますし、遺言書の内容によっては相続人による廃棄、隠匿、改ざんの恐れがあります。実際、その内容に不満を持った相続人が意図的に廃棄する、内容を書き換えるといったことにより相続手続きや相続税申告に支障が出るケースも見受けられます。

◆相続手続きと相続税申告をスムーズに
 相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。ところが、相続財産の把握や財産分割には思いのほか時間がかかるものです。自筆証書遺言があった場合でも家庭裁判所で検認という手続きが必要になり、最低でも1か月はかかるのが現状です。保管制度を利用すると検認は不要ですし、自筆証書遺言で財産目録と遺言者の意思表示が分かりますので、相続手続きと相続税申告書作成がスムーズにできると期待されます。なお、保管制度の施行日は今後政令で定められることになりますが、施行前には法務局に遺言書の保管を申請することはできませんのでご注意ください。

◆遺言書の方式緩和
 現民法では自筆証書遺言は全文を自筆する必要がありますが、民法改正によりパソコンで作成した財産目録、通帳のコピー、登記事項証明書等の自書によらない財産目録を別途添付することが可能となります。
 財産目録には遺言者の署名押印を行うことで偽造を防止します。この改正は平成31年1月13日から施行されます

 

 


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2018年11月06日

《コラム》消費税軽減税率導入まであと1年!


◆消費税軽減税率制度の概要
 2019年(平成31年)10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げられると同時に、消費税の軽減税 率制度が実施されます。軽減税率(8%)の対象となるのは、次の2品目です。
・飲食料品…飲食料品(酒類を除く)
※外食やケータリング等を除く。
・新聞…週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

◆区分記載請求書等保存方式が始まる
 軽減税率制度の実施に伴い、消費税等の税率が8%と10%の複数税率になりますので、2019 年10 月1日から2023年9月30日までの間は税率ごとの区分経理が必要です。また、区分経理に対応した帳簿及び請求書等の保存も要件となります。

◆適格請求書等保存方式(インボイス方式)
 2023 年10 月 1 日以降、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式」いわゆる「インボイス方式」が導入されます。適格請求書(インボイス)は、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者でなければ交付できませんので、適格請求書発行事業者となるためには、2021年10 月1日以降、登録申請書を税務署に提出しておかなければなりません。免税事業者は、課税事業者となることを選択し、登録申請書を提出すれば適格請求書発行事業者となることができます。

◆レジの導入はお早めに
 複数税率対応レジを導入することで、区分記載請求書等の発行が簡単にできるようになりますし、今なら軽減税率対策補助金が1台当たり最高で20万円受けられます(※資本金額など一定の条件があります)。
 軽減税率対策補助金は今年8月現在で約7万以上の事業者に交付されたとのことです。メーカーによっては人気商品が欠品となっていて、納品までに時間がかかるケースも見受けられるようになってきました。軽減税率対策補助金の補助事業の完了期限は2019年9月30日まで延長されていますが、補助金に限りもありますので、早目の対応をおすすめします。






 


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2018年10月24日

(後編)日本税理士会連合会:2019年度税制改正に関する建議書を公表!


(前編からのつづき)

 その際、給与所得控除・公的年金等控除の水準が過大なことや、控除が適用されない事業所得者等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除を縮減した上で、基礎的な人的控除を中心に課税最低限を確保することが適切としました。
 上記③では、償却資産に係る固定資産税制度が事業者の設備投資の阻害要因になっていること、現状では課税客体の捕捉が不十分、固定資産台帳の整理が賦課期日と決算日の年2回必要になるなど事業者に過度な事務負担を強いていること等の問題があるとしております。

 市町村の財政の現状からみると、代替財源がない限り同制度を廃止することは困難なため、当面は制度を維持しつつ上記問題の解決も検討する必要があるとしております。
 賦課期日と申告期限については、賦課期日は現行法のままとしつつも、申告期限につき、現行方式と電子申告に限り法人税の申告期限と一致させる新方式との選択制を早期に実現した上で、償却資産に係る固定資産税を固定資産税とは異なる新たな税目とする、所得税の申告期限と一致させるなどの抜本的改革の検討を求めております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。




 


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2018年10月17日

(前編)日本税理士会連合会:2019年度税制改正に関する建議書を公表!


 日本税理士会連合会(以下:日税連)は、2019年度税制改正に関する建議書を公表しました。
 それによりますと、重要建議項目として、
①消費税における単一税率及び請求書等保存方式を維持すること
②所得計算上の控除から基礎的な人的控除へのシフトを進めるとともに、基礎的な人的控除のあり方を見直すこと
③償却資産に係る固定資産税制度を抜本的に見直すことをあげております。

 上記①では、軽減税率(複数税率)制度は、区分経理等により事業者の事務負担が増加することや、逆進性対策として非効率、財政が毀損し社会保障給付の抑制が必要となるなどの理由から、日税連では、単一税率制度の維持を強く主張しております。
 また、2023年10月に導入予定の適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)への移行は、行政手続コスト削減の方向性に逆行することのないような配慮・見直しを求めております。
 上記②では、基礎控除、配偶者控除等の基礎的な人的控除の課税最低限は、健康で文化的な最低限度の生活を維持するために侵害してはならない性質を有するもので、生活保護の水準に合わせていくことが望ましいとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



 


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2018年10月17日

《コラム》修繕費と資本的支出


◆修繕費と資本的支出
 国税局は「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額」を資本的支出と言っています。ですからそうならなければ修繕費ということです。
 しかしその判断は非常にあいまいかつ微妙で、その判断に迷う場合は結構あります。国税当局もそのへんは認識しており、形式基準を公表しています。その内容を整理し、迷った時の判断基準にしましょう。

第1次判定……支出金額が20万円未満か又はおおむね3年以内の周期で発生するかどうかで判定、該当すれば修繕費で処理します。
第2次判定……次に明らかに資本的支出になるもの、明らかに修繕費になるものがあれば、それぞれ資本的支出、修繕費で処理します。
第3次判定……第2次判定で処理した残額が、次のイ、ロのいずれかに該当すればその残額を修繕費で処理できます。
イ.60万円未満
ロ.修理・改良等を行った資産の前期末現在の取得価額(未償却の帳簿残高でなく買った時の価額)のおおむね10%相当額以下
第4次判定……第1次から第3次判定の基準でも判定できない場合には、その部分については「7:3基準」を適用して形式的に区分することも可能です。この「7:3基準」とは、法人が継続して①その金額の30%相当額か、②その修理・改良等をした資産の前期末における取得価額の10%相当額の、いずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときはこれを認めるとされています。

◆請求は一括でなく詳細に
 上記はいずれにせよ修繕費か資本的支出か判断できない場合です。判断できない場合とは往々にして修理もしたけどついでに補強や機能のUPを図ったような場合で、請求が一括でどこまでが修理かわからないといった場合が多いのです。そのため、修理と補強や機能UP部分が明確になるように請求書を記載してもらうことが肝心です。

 


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

2018年10月03日

ふるさと納税の駆け込み寄付急増 提供:エヌピー通信社


 ふるさと納税について総務省は9月、豪華返礼品を税優遇の対象から外すよう制度を見直すことを決定しました。決定を受けて、すでに一部の自治体では返礼品の見直しに動いていることから、寄付を受け付けるポータルサイトには豪華返礼品を求める〝駆け込み〟アクセスが急増しています。

 9月1日時点での全国の返礼品の状況を取りまとめた調査結果が出たことを受け、野田聖子総務大臣は11日の会見で「大変残念ながら、要請を行うだけでは自発的な(豪華返礼品の)見直しが期待できない」と現状を説明しました。その上で「ふるさと納税はショッピングではない」と述べ、「過度な返礼品は制度の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討することにした」と語っています。今後、省内で見直し案を取りまとめ、与党税制調査会を経て年末にまとめる2019年度税制改正大綱に盛り込むことを目指します。

 総務省は今年7月に、豪華返礼品が目に余るとして大阪府泉佐野市など12自治体の名前を公表しました。しかし今回まとめた調査結果によれば、9月1日時点で返礼割合3割を超える自治体は246団体ありました。16年度の1156団体からは減り続けているものの、いまだ全体の14%の自治体が総務省の要請を無視していることになります。

 総務省は、あるべき返礼品の形として、①寄付金額の3割以下の価値、②換金性の高い商品券や宝飾品ではない、③地場産品に限る――という条件を提示していて、これらを満たさない返礼品は今後、寄付金額から2千円を引いた全額が住民税などから控除される税優遇の対象とならない可能性があると見られます。

 制度見直しが公表されて以降、寄付を受け付けるポータルサイトのアクセスは急増中です。一部報道によれば、野田氏が会見を行った日の午後には前日比2倍のアクセスが殺到し、一時サイトがつながりにくくなるなどの不具合が生じました。特に3倍を超えるアクセスが集中したのは、総務省が〝けしからん〟として公表した12自治体のページだったそうです。なお、9月1日時点で返礼割合3割を超える246自治体の名前は、総務省のホームページに掲載された調査結果で一覧できます。

 


<情報提供:エヌピー通信社>

2018年10月01日

寡婦(寡夫)控除を未婚も対象に 提供:エヌピー通信社


 離婚や死別によってひとり親となった人に所得税や住民税の軽減を認める「寡婦(寡夫)控除」について、未婚者も対象にするよう厚労省が要望する方針を固めました。2019年度税制改正への要望書に盛り込みます。

 寡婦控除は、離婚や死別によって配偶者を亡くした上で、子どもを扶養親族として養っているか、年収500万円以下のどちらかの条件を満たす人を対象にしています。どちらかの条件を満たすと27万円、両方を満たすと35万円が所得から控除されます。また寡夫控除では、両方の条件を満たした時に27万円の控除ができます。しかし、どちらも民法上の婚姻関係があったケースに限られ、未婚のいわゆるシングルマザーなどについては税優遇を受けられないことから、不公平との声が上がっていました。
 厚労省はこうした声を受け、年末にまとめる19年度税制改正に向けた要望に、寡婦(寡夫)控除の非婚者への対象拡大を盛り込みます。

 すでに8月末には保育園や幼稚園の保育料について、未婚のひとり親についても寡婦(寡夫)控除が適用されるとみなして減免する措置が閣議決定され、9月からスタートしています。寡婦(寡夫)控除の見直しは後追いとなりますが、改正はほぼ決定的と言えそうです。

 また厚労省は、児童養護施設などを出て進学・就職する若者を税制面で支援することも併せて要望する見通し。現在では生活費や家賃の貸付金は5年間働き続ければ免除されますが、一部は免除益として所得税が課されています。非課税措置を講じることで、若者の自立を促す狙いがあります。


<情報提供:エヌピー通信社>


 

2018年09月28日

《コラム》派遣社員の3年ルール適用は10月1日から


◆労働者派遣法の改正
 平成27年の労働者派遣法の改正から平成30年9月30日 で3年が経過します。10月1日からは、派遣社員の処遇向上を目的として派遣社員の受け入れ期間の上限が3年と定められた、いわゆる「3年ルール」が適用されます。
※3年ルール…平成27年9月30日以降に労働者派遣契約を締結・更新した派遣労働者は、同じ事業所で3年を超えて働くことは基本的にできないというものです。

◆雇用安定措置
 同じ事業所の同じ「課」などに継続して3年派遣される見込みとなった場合は、派遣元事業主(派遣会社)は、次の①から④のいずれかの雇用安定措置を講じる必要があります。
①派遣先への直接雇用の依頼
②新たな派遣先の提供
③派遣元での派遣労働者以外としての無期雇用
④その他雇用の安定を図るための措置

◆派遣先が留意すること
 労働者(派遣社員)は派遣元事業主に対し、雇用安定措置の①~④のうち講じて欲しいものを希望することができます。派遣元から派遣先に上記①の依頼があり、直接雇用に結びついた場合には、派遣先において税金や社会保険などの各種手続きが必要となります。
 扶養控除等申告書の提出、マイナンバーの確認、年金手帳の確認や社会保険の加入手続きは速やかに実施することが必要です。

◆消費税の取扱いにも注意
 労働者が引き続き同じ組織(いわゆる「課」など)で同一業務に携わったとしても、派遣と直接雇用の労働者では消費税の取扱いが異なります。派遣の時には人材派遣の対価ということで課税仕入れを行っていたものが、直接雇用では不課税取引の「給与」となります。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)

 

2018年09月26日

《コラム》固定資産税は気を付けて


◆固定資産税は賦課決定
 所得税や法人税は納税者本人が税額を計算し申告して税金を納めます。
 それに対し、固定資産税は役所が不動産を一方的に評価して納税額を決め、それを納税者が納めます。

◆固定資産税にはプロがいない
 お役所のやることだから間違いはないだろうと思いがちですが、結構間違いは多いのです。その原因は対象不動産に対して圧倒的に評価人員が不足しているということです。東京都の場合、都内に土地は約221万筆、家屋は約160万戸あると言われています。これらを全て実地調査することは不可能と言われています。また、都の職員は都税事務所に就職するのではなく東京都に就職し、職場のローテーションで固定資産税の現場に配属されますが、定年まで固定資産税係ということはなく2~3年で別の部署に配属されますので常に素人集団です。こういった傾向はどの自治体も同じです。

◆まずは納税通知書を見直してください
 固定資産税の納税通知書は読みにくいでしょうが、以下のことを確認してください。
(1)土地の所在・家屋の所在、家屋番号
自分のものか確認してください。
(2)登記地目・家屋の種類・用途、構造
現況と異なっていないか?
(3)地積・家屋面積
実際の面積と相違がないか?
ただし、実測をする場合はかなりの費用が掛かります。
(4)価額
住宅用地の場合、評価額と課税標準額は異なります。当然課税標準額の方が小さいはずです(ちなみに住宅用地の場合、住宅1戸につき200㎡までは1/6です)。

◆おや?と思ったら
 自治体の窓口に出向いて課税資料を請求してください。
 土地なら「土地現況調査票」、家屋なら「再建築評点計算書」「基準年別計算書」(自治体により名称が異なる場合があります)が必ずあるはずです。
 明らかにおかしい場合は、「審査申し出」を行ってください。しかし「審査申し出」は原則として3年に1回の基準年度の限られた期間ですので、窓口で「再調査」の依頼をしてみてください、自治体により対応していただける場合もあります。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)

 

2018年09月18日

《コラム》新しい権利 配偶者終身居住権


◆新しい法定された権利の創設
 民法が改正され、配偶者終身居住権が創設されました。被相続人の配偶者が自宅に住み続けることができる権利で、高齢化が進む中、残された配偶者の住居や生活費を確保し易くする、というのが狙いです。
 子が自宅の所有権を相続し、被相続人の配偶者が終身居住権を相続する、というのが最も典型的な予想ケースとされています。
 所有権が第三者に渡っても、そのまま自宅に住み続けることができる、という排他的権利です。

◆評価額と権利の性質
 居住権の評価額は平均余命などを基に算出され、不動産の価額は、終身居住権の価額と終身居住権付不動産の価額とに分割されることになる、と法務省法制審議会民法部会で審議されていました。相続税評価額がどうなるかは未定ですが、法制審の審議を承けたものになると思われます。
 終身居住権の譲渡資産性は弱そうですが、登記されることを前提にしているので、債権でありながら、借地権のような物権的性格を強く持ちそうです。

◆所得税への影響
 相続により承継する終身居住権と終身居住権付不動産のそれぞれが、譲渡の局面に立ち至った場合は、それらの承継取得原価は、借地権と底地の関係のように、各評価額の比で按分されることにならざるを得ません。ただし、それには、借地権の法律政令の規定のような終身居住権に係る新たな規定の創設が必要です。

◆終身居住権の一身専属性
 終身居住権は一身専属権として死亡と共に消滅するものです。その自然消滅によって、終身居住権付不動産は何の制限もない不動産に生まれ変わります。その時に、終身居住権の消滅益を認識すべきか、終身居住権に対応することになる承継取得原価はどのような扱いになるか、なども必然の検討テーマになります。

◆自然消滅借地権が参考になる
 自然消滅借地権の場合は、借地権の消滅益を認識せず、借地権の取得価額は自然消滅になります。これに準ずるとすると、終身居住権の消滅益は認識せず、それに対応している取得価額も自然消滅となり、誰にも承継されません。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)

 


2018年09月04日

道の話(後編)

 では、道路が土地の評価に与える影響で代表的なものを挙げます。


①セットバック・・建築基準法42条2項に接道している宅地については、建物の改築や立て直しをする際、原則、道路の中心線から2mを道路と土地の境界線として土地を後退(セットバック)しなければなりません。財産評価基本通達においてもこれを勘案しそのセットバックしなければならない部分の土地評価を70%減額することとなっています。


②都市計画道路予定地(建築基準法42条1項4号)の区域にあたる宅地・・その土地について0.7~0.98の補正率を乗じて評価します。


③建築基準法に規定する接道義務を満たしていない宅地、無道路地・・その接道義務を満たすための通路開設部分(2mの道幅)を減額して評価します。


④私道の評価・・建築基準法に規定する道路ではなく、接道する土地の所有者等の所有地となっている道(私道)はその区分により以下の通り評価します。
(a)不特定多数の者の通行の用に供する私道(いわゆる通り抜け私道)はゼロ評価
(b)特定の者の通行の用に供する私道(行き止まりのなっている私道等)は30%評価


以上は財産評価基本通達に載っている代表的なものですが、相続税(贈与税)の土地評価実務においては、財産評価基本通達による評価に入る前にまず、土地及びその周辺の現場視察による土地の利用価値の確認、市役所等の役所調査を通じて建築基準法や都市計画法その他税法以外の法規による規制の確認が必要です。調査をしていて予想外のことにぶつかる事もあります。


土地の評価はその土地の個別事情により大きく評価額が変わる可能性があり、また守備範囲が税法を超えていく場合もありますので、財産評価の中でも特に土地評価は専門性の高い分野といわれています。

 


2018年09月02日

道の話(中編)

建築基準法では道路として以下の種別で分類し、定めています。(以下①~⑦まで大阪市のホームページ「建築基準法上の道路の種別」より抜粋)


①42条1項1号・・道路法による道路(国道、府道、市道のみで構成された道路幅4m以上の道路)


②42条1項2号・・都市計画法、土地区画整理法、旧住宅地造成事業又は都市再開発法等による道路(都市計画として決定される都市計画事業・土地区画整理事業等により築造された道路)


③42条1項3号・・法施⾏の際すでにあった道(都市計画区域の決定受けたとき(建築基準法、施⾏の⽇にすでに都市計画区域の指定を受けていた区域については建築基準法施⾏の⽇)に現に存在する道路幅4m以上ある道


④42条1項4号・・道路法、都市計画法、⼟地区画整理法又は都市再開発法等で2年以内に事業が執⾏される予定のものとして特定⾏政庁が指定したもの(実際には道路としての効用はまだ果たしてなく、2年以内にその事業が執⾏されるものとして特定⾏政庁が指定したもの)


⑤42条1項5号・・土地を建築物の敷地として利用するため、政令で定める基準に適合する私道を築造し、特定行政庁から指定を受けたもの(道の基準は政令で定めるほか、土地の状況等により各特定行政庁で政令と異なる基準を定めることが出来る(位置指定道路))


⑥42条2項・・法施行の際、現に建物が立ち並んでいた道路幅4m未満の道で特定行政庁が指定したもの(道路の中心線から2mの線をその道路の境界線とみなす。但し道路の片側が、がけ地、川、線路等に沿ってある場合は道路の反対側から一方後退4mの線を道路の境界線とみなす)


⑦附則5項・・市街地建築物法第7条但書きによって指定された建築線で、その間の距離が4m以上のもの(道路法による道路のみで構成された道路幅4m未満の道路)


2018年09月01日

道の話(前編)

 相続税申告のための土地評価の際、その土地に接する道がどのような道なのか調査を します。相続税の財産評価の拠り所となる法規は相続税法、その取扱いは財産評価基本通達となりますが、道については主に建築基準法です。日頃、税法や通達によって業務をしている税理士にとっては馴染みにくい法規だと思います。


ところが、国税庁の路線価も道に付されていることでも分かるように土地の財産評価と(建築基準法に規定する)道(道路)には密接な関係があります。


建築基準法とは建築物の敷地。構造、設備及び用途に関する最低限の基準を定めて。国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資すること(第1条)を目的とした法律です。それをもとに市町村等の各自治体で建築安全条例、建築基準法施行規則が定められ運用されています。


建築基準法では道路とは幅員が原則4m(例外的に6m)以上の道とし、道路に接していない土地には建築物を建てられません。2m以上の接道義務もあります。また高速道路(自動車専用道路)のみに接している場合は接道義務を満たしていることになりませんが、農道には接している、広い空き地に接している等の場合で建築審査会の同意を得て許可された道路は43条但し書き道路として例外的に接道義務を満たしていることになります

2018年09月01日

《コラム》欠損金の繰戻しによる還付と事業税および法人住民税での調整

 
◆欠損金の繰戻しによる還付
 前期が黒字で納税し、当期が赤字となった場合に、前期の税金の一部を還付してもらえる制度があります。青色申告法人の欠損金の繰戻し還付制度です。これは、平成4年4月1日から適用が停止されていますが、一定の場合(①解散等や②中小企業者等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額)には除外となっており、青色申告の中小企業には、所定の要件を満たせば、適用されています。

◆法人税と地方税での取扱いの違い
 この規定は国税である法人税(地方法人税含む)の繰戻し還付であり、地方税である事業税や住民税には適用されません。
1)事業税-事業税では還付制度がないため、欠損金額は、常に繰越控除の対象となります。そのため、法人税の欠損金の明細の「別表七(一)」と事業税の欠損金明細の「第六号様式別表九」とでは差が生じます。
2)住民税-欠損金の繰戻しで法人税額の還付を受けた場合は、その還付法人税額を限度として計算した額を、その後の各事業年度(7年)における法人税割の課税標準となる法人税額から控除することとなります。
 具体的には、法人事業税・法人県民税確定申告書(第六号様式)の「還付法人税額等の控除額」として記載され、法人税割額を計算する際に調整されることになります。また、法人市民税も同様に調整されます。これは、法人住民税の法人税割の課税標準が法人税額に拠っているためです。

◆繰戻し還付から数年経つ場合は見直しを
 事業税は繰越控除額をそのまま引き継ぐので適用漏れの心配はいりません。一方、住民税は所定の欄に記載をしないと適用されません。繰戻し還付をした翌年や翌々年であれば適用忘れは少ないでしょう。しかしながら、繰戻し還付後に再度欠損が継続し、法人税割額が発生していなかったような場合は、適用漏れとなる恐れもあります。特に、途中で顧問税理士が変わっていたり担当者が退職していたりした場合、直近5年分の申告書控えは引き継いでいたが、7年前の繰戻し還付の引継ぎが漏れていたということも起こりかねません。
 過去に繰戻し還付をしたことがある場合には、住民税の法人税割額が再発生した年度に遡って「還付法人税額等の控除額」の適用漏れがなかったか確認してみましょう。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2018年08月23日

民法改正で配偶者の取り分が大幅増 提供:エヌピー通信社

 
 相続制度の見直しを盛り込んだ民法の改正法案が7月の参院本会議で可決、成立しました。従来の相続制度を大きく変える内容が多数盛り込まれ、特に配偶者の権利を大幅に拡大するものとなっています。改正法は2020年7月までに施行される予定です。

 改正法では、結婚して20年以上の夫婦であれば、生前贈与か遺贈された自宅や居住用土地は、遺産分割の対象から外すことができるようになります。現行法では原則として、生前贈与された住居は遺産分割や遺留分減殺請求の対象となっていたものを、完全に配偶者だけの取り分とします。配偶者は自宅を得た上で、残された財産について法定相続分を取得することができることになります。

 また「配偶者居住権」制度が導入されます。現行法では、配偶者が遺産分割で建物を得た時に、建物の評価額が高額だと預貯金といった他の相続財産を十分に取得できない恐れがあります。今の住居に住み続けるための所有権を得ると老後の生活資金に不安が残ってしまい、逆に預貯金を相続すると家を失うことになってしまい、どちらにせよ生活は不安定にならざるを得ません。改正法では、所有権が他者にあっても配偶者が住み続けることができるよう、家の価値を「所有権」と「居住権」に切り離し、配偶者はそのうち居住権のみを得れば家に住み続けられるようにします。さらに亡くなるまで行使できる「長期居住権」とは別に、遺産分割が終わるまでとりあえず住み続けることができる「短期居住権」も創設され、分割協議の結果、長期居住権を得るか家そのものを取得すれば、その後も住み続けることができ、居住権を手放した場合にも、次の家を探すまでは一定期間居住する権利が得られます。


(情報提供:エヌピー通信社)

2018年08月06日

新旧経営者への「二重徴求」は4割 提供:エヌピー通信社

 金融機関から融資を受ける際に経営者の個人保証を外すための基準を示した「経営者保証に関するガイドライン」に関して、金融庁が取りまとめた活用実績によると、2017年度に経営者の保証を求めた融資の割合は全体の83.7%に上っています。また、金融庁の実態調査では、事業承継時に旧経営者との保証契約を解除せず、新経営者とも保証契約を締結する「二重徴求」についても取り上げています。2017年度の二重徴求の件数は2万241件で、調査対象の4割に及んでいます。

 実態調査では金融機関の事業承継の組織的な取り組みを、二重徴求の割合が低い金融機関と高い金融機関とで比較しています。金融庁は「新経営者に対する保証徴求割合は、全般的に概ね高い傾向を示す一方、旧経営者の経営関与が弱い先における旧経営者の保証徴求の割合が高いほど、二重徴求の割合が高い傾向が見られた。そのため、旧経営者における対応が二重徴求において影響が強いといえる」としています。

 二重徴求の割合が高い金融機関について「事業承継時における行内規定の内容が具体的ではなく、ガイドライン本文の内容をそのまま規定に落とし込むなど記載内容が不十分であることや、二重徴求に対する問題意識が行内に浸透しておらず、特段の対応も行っていない」としています。

 一方、二重徴求の割合が低い金融機関について「経営トップ主導のもと、二重徴求の原則禁止や、旧経営者への保証が第三者保証に該当する可能性があることを踏まえて、代表権の有無や株式保有割合等をもとに事業承継時の具体的な保証徴求基準を定めている」と分析しています。


<情報提供:エヌピー通信社>

2018年08月06日

金融庁が「過度な貯蓄保険」を調査 提供:エヌピー通信社

 払い込んだ保険料以上の解約返戻金が受け取れるなど、保障よりも貯蓄に重きを置いた生命保険商品について、金融庁が生保各社に対してアンケート調査を行いました。過度に節税を重視した商品設計を問題視しているとみられ、今後規制がかかる可能性も否定できません。

 貯蓄保険と呼ばれる保険商品は、満期を迎えたり途中で解約したりすると、受け取れる保険金や返戻金が払い込んだ保険料を上回ることが特徴となっています。特に法人向けの定期保険は、保険料の支払い時には一定の条件下で保険料を損金算入でき、受取時には退職金の支払いなどとタイミングを合わせることで法人税負担を免れることができる点が強みです。この点が保険の本来の目的である保障をないがしろにしているとして、金融庁は問題意識を抱いているようです。

 また最近では、加入当初は返戻金が低く一定期間を過ぎた瞬間に返戻金が上昇する保険に法人で加入し、低いうちに経営者個人に低価で名義変更し、一定期間経過後に高い返戻金を個人で受け取るという「名義変更プラン」も流行しています。こうした資産形成のみを目的とした〝不自然〟な保険契約の実態を把握し、規制に踏み切るかの判断材料にする狙いが、今回のアンケート調査にはあるとみられます。法人向け定期保険への加入を考えているならば、検討を少し急いだほうがいいのかもしれません。


<情報提供:エヌピー通信社>

2018年08月04日

建設業許可と決算報告の重要性

  
◆建設業許可と決算報告
 許認可を取得している場合、その種類によっては事業年度終了後に許認可を管轄する官公庁へ決算報告を行う義務があるものも存在します。建設業許可もそのひとつ。税務署への決算申告だけでなく、事業年度終了後4か月以内に許可を申請した行政庁に対しても決算報告を行うことになっています。

◆各工事の経歴・施工金額も一緒に報告
 建設業の決算報告では財務状況の他、年間でどのような工事を請け負ったかを報告する工事経歴書や、工事ごとの施工金額について報告する書類も併せて提出しています。一口に「建設業許可」といっても、「建築一式工事」や「内装仕上工事」など許可される工事の種類は29もあり、これらの書類は許可を持っている工事の種類ごとに作成しなくてはなりません。現在許可を持っていない種類の工事を行った場合には、「その他工事」として計上します。
 たくさんある請求書から、工事の種類ごとに抜き出して各工事の施工金額を計算するのは結構な手間がかかります。ましてや「その他工事」などと言われると、あまり重要性が感じられず、つい他の工事にまとめてしまいたくなるかもしれません。ですがこの「その他工事」、面倒でも真面目に報告していないと、後々後悔することになる恐れもあるのです。

◆実務経験が証明できない?!
 先述のとおり、工事の種類は29も存在しますので、請負状況の変化などで工事の種類を追加したいと考えることもあるでしょう。こうした追加を行う際、追加したい工事の種類について、これまでの施工実績を実務経験として証明しなければならないケースもあります。たとえば「内装仕上工事」の許可を持っているA社が、今度は「大工工事」の許可を取得するため、これまで行ってきた大工工事に関する実務経験を証明したいとします。このとき、これまでの決算報告で「その他工事」をしっかりと計上せず、全ての施工実績を「内装仕上工事」としてまとめて報告してしまっていると、内装仕上工事以外の請負工事は行っていなかったものとして、実務経験を証明できないという事態になりかねないのです。後で痛手を負わないよう、報告は慎重に行いましょう。


 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2018年07月31日

(後編)2018年度税制改正:相続税申告書の添付書類の見直し!

  


(前編からのつづき)

 法定相続情報一覧図の写しとは、相続登記の促進を目的として、2017年5月から全国の法務局で運用を開始した法定相続情報証明制度を利用することで交付を受けることができる証明書をいい、戸籍に基づいて、法定相続人が誰であるかを登記官が証明したものです。
 相続手続きは、法定相続情報一覧図の写しを利用することで、戸籍関係の書類等一式を何度も提出する必要がなくなりました。

 これまで相続人は、遺産に係る相続手続きに際し、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍関係の書類等一式を全て揃えた上で、同じ書類を管轄の異なる登記所や各金融機関など、相続手続きを取り扱う各種窓口に何度も提出する必要がありましたが、法定相続情報一覧図の写しは、様々な相続手続きに利用されることで、相続手続きに係る相続人・手続きの担当部署双方の負担の軽減が期待されています。

 なお、法定相続情報一覧図の写しは、相続人等が亡くなった人の本籍地・最後の住所地、申出人(相続人など)の住所地などを管轄する法務局のいずれかで、必要種類と合わせて申出をすることで、無料で交付を受けられます。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2018年07月05日

(前編)2018年度税制改正:相続税申告書の添付書類の見直し!

  
 2018年度税制改正において、相続税申告の添付書類の改正も行われ、相続税法施行規則の改正により、2018年4月1日以後に提出する申告書から法務省が行っている法定相続情報証明制度で取得が可能な法定相続情報一覧図についても、一定の条件をもとに添付書類として認められております。 

これまでは相続税の申告書には、戸籍の謄本で被相続人の全ての相続人を明らかにするものを添付しなければならないこととされていました。 

しかし、2018年4月1日以後は、戸籍の謄本に代えて、図形式の法定相続情報一覧図の写し(子の続柄が、実子又は養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る)あるいは戸籍の謄本又は法定相続情報一覧図の写しをコピー機で複写したもののいずれかの書類を添付することができるようになりました。 ただし、被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本又は抄本(コピー機で複写したものも含む)の添付も必要となりますので、該当されます方はご注意ください。


(後編へつづく)(注意) 上記の記載内容は、平成30年6月8日現在の情報に基づいて記載しております。 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)

2018年07月05日

公正証書遺言が10年で5割増 提供:エヌピー通信社

 2017年に全国の公証人が作成した「公正証書遺言」の件数が11万191件に上り、07年の7万6436件に比べ5割増しになっていることが分かりました。日本公証人連合会によると、17年に作成された公正証書遺言は前々年の11 万778件に次ぐ多さで、統計をとり始めた1989年以降で2番目に多かったそうです。89年は年間4万件ほどでしたが、14年に10万件を超え、その後は高水準で推移している状況です。

 全文を自分で書く「自筆証書遺言」は、思いついたタイミングで費用を掛けずに残せるという手軽さがありますが、自分で保管するので紛失リスクがあり、また書き方を少しでも間違えればその全部が無効になるおそれがあります。

 一方、公正証書遺言は、手数料はかかるものの役場が原本を公文書として保管するので紛失リスクはほとんどなく、法務大臣が任命する法律のプロが作成するので遺言が無効になることはありません。確実に遺言内容を次世代に残せる方法として多くの人に利用されています。

 公正証書遺言を残す際に面倒な点を挙げると、証人が2人必要なことです。法律上、①未成年者、②推定相続人や財産を受け取る人、その配属者および直系血族、③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人――は公正証書遺言の証人になれないと決められています。


<情報提供:エヌピー通信社>


2018年06月12日

ふるさと納税、確認しにくい控除適用 提供:エヌピー通信社


 東京都渋谷区が、ふるさと納税による税優遇を適用せず、実際より多い税額を記載した住民税の税額決定通知書を納税者に送っていたことが分かりました。優遇を受けるための手続きを省略できる「ワンストップ特例」の利用者4278人を対象に、寄付金約3億6400万円について控除を適用していなかったそうです。

 渋谷区によれば、ミスがあったのは5月10日に納税者や勤務先に発送した来月分の税額決定通知書。担当者の引き継ぎ漏れがあり、電算処理の委託業者に誤ったデータを渡したことが原因だとしています。区は対象者に経緯の説明を始めるとともに、今後税額の修正を行う方針を示しました。

 ふるさと納税は任意の自治体に寄付をすると、所得税や住んでいる場所に納める住民税が差し引かれる制度。所得税から引ききれなかった分や、確定申告が不要になる「ワンストップ特例」を使った人は、全額が住民税から差し引かれます。所得税から引かれる場合は、確定申告が終わった3月以降に銀行口座に振り込まれ、住民税から引かれる場合は、寄付をした翌年5月以降の住民税から12カ月に分割して差し引かれることになります。

 所得税なら口座の取引履歴を見ることで税優遇の適用を確かめられますが、住民税で優遇が適用されたかを確認するためには、自治体から5月ごろに送られてくる税額決定通知書を見なければなりません。自治体によって細部は異なりますが、ふるさと納税による控除額は「寄附金控除」や「税額控除額」の欄に記載されていることが多いようです。

 しかし他に寄付をしていた時は合算額しか記載されず、住宅ローン控除による税額控除の適用があればそれも含めた額となります。それらがなくても、基礎控除や配偶者控除を基に適用される調整控除があるため、純然たるふるさと納税のみによる控除額を通知書で確認することはできないのが現状です。


<情報提供:エヌピー通信社>

2018年06月11日

《コラム》雇用保険手続きにマイナンバー記載が必須に


◆5月からの雇用保険のマイナンバー取扱い
 平成28年1月から利用が開始されたマイナンバーですが、税の方では確定申告等で利用が進んでいます。事業所における社会保険手続は平成30年3月5日から記載が求められるようになりました。
 また、これまでマイナンバーの記載がなくとも窓口で受理されていた雇用保険関係についても、5月からはマイナンバーの記載がないと原則、返戻されますので注意が必要です。

○マイナンバー記載が必要な届出など
1、雇用保険被保険者資格取得届
2、雇用保険被保険者資格喪失届
3、高年齢雇用継続給付支給申請(初回)
4、育児休業給付金支給申請(初回)
5、介護休業給付支給申請
○個人番号登録や変更届の必要な届出(マイナンバーが未届けの場合)
6、雇用継続交流採用終了届
7、雇用保険被保険者転勤届
8、高年齢雇用継続給付支給申請
(2回目以降)
9、育児休業給付金支給申請(2回目以降)

◆すでにマイナンバーを届けている場合
 個人番号の記載のある届出、上記1~5番については届出の都度マイナンバーを記載することになっていますが、既に他の書類で届出している場合は、届出の欄外に「マイナンバー届出済」と記載して個人番号の記載を省略することができます。個人番号の記載欄のない届出、上記6~9は「マイナンバー届出済」の記載は不要ですが未届けの場合は届出書類が戻されてしまうので個人番号登録・変更届を添付し提出します。

◆個人番号登録・変更届で別の登録を行う時
 事前に個人番号登録・変更届によりマイナンバーの登録を行うことが可能です。
 ただし、新規に被保険者資格を取得する従業員については被保険者番号が振りだされていないので、資格取得届に先立って個人番号登録・変更届による届出を行うことができません。このような場合等、個人番号登録・変更届の提出が各種届出よりも後になる時は各ハローワークに相談してください。


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

 

2018年05月27日

消費税の改正②

消費税の改正第二話、今回は軽減税率とは、を簡単にします。

第一話で述べましたように平成31年10月1日に消費税率は10%になります、それと合わせて飲食料品と宅配新聞の消費税の軽減税率(8%のまま)が導入されます。

以下、国税庁の「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」を参考にみていきます。

 

軽減税率の範囲は①飲食料品(酒類を除く)②週二回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)となります。

外食やケータリングは軽減税率の対象とはなりません。またコンビニのイートインコーナーでお弁当を食べたとしても顧客から店内で飲食する旨の申請がない代わり軽減税率でよいとなっています。相手方(消費者)の意思表示で判定となります。

 

スポーツ新聞等でも週2回以上発行される宅配新聞は対象となります。コンビニ等で販売される新聞は(定期購読契約に基づくもの)ではないので対象外です。電子新聞も対象外です。

 

 

2018年04月30日

平成30年度税制改正 資産課税編2


 今回は、特定一般社団法人等を中心にその他の主な改正項目を概観してみます。

●特定一般社団法人等への相続税の課税
 当該法人等の役員(理事に限る。以下同じ)である者(相続開始5年以内のいずれかの時において当該法人等の役員であった者を含む)が死亡した場合には、当該法人等が当該法人等の財産を同族役員(被相続人も含む)の数で等分した額を当該被相続人から遺贈により取得したものとみなして、当該法人等に相続税(既に課された贈与税額を控除)を課税する。
 なお、(1)特定一般社団法人等とは、公益・非利型法人その他の一定の法人以外の一般社団・財団法人で、次のいずれかの要件を満たす一般社団法人等です。①相続開始の直前における同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超えること。②相続開始前5年以内において、同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。
(2)同族役員とは、当該法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他当該被相続人と特殊の関係にある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)を言います。
 この改正は、平成30年4月1日以後の当該法人等の役員の死亡に係る相続税について適用されます。
 但し、同日前に設立された当該法人等については、平成33年4月1日以後の当該法人等の役員の死亡に係る相続税について適用され、平成30年3月31日以前の期間については上記(2)②の2分の1を超える期間に該当しない、となっています。
 しかし、平成30年4月1日から同族理事を2分の1未満に見直しておく必要があるかと思われます。

●その他の改正項目
(1)農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度については、①貸付けられた生産緑地その他一定の農地の貸付にも納税を猶予する。また、②三大都市圏の特定市以外の生産緑地について、営農継続要件を終身(現行:20年)とする等幾つかあります。
 また、(2)相続税の申告書の添付書類については、戸籍謄本のコピー、法定相続情報一覧図の写しでもよくなります。
 前者の適用は、都市農地の貸借円滑化に関する法の施行の日以後、後者の適用は、平成30年4月1日以後に提出する申告書からとなっています。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2018年04月26日

《コラム》法定相続情報証明制度とは


◆所有者不明の不動産が増加中
 近年、相続が発生しても新しい所有者へ所有権を移転させる相続登記が行われず、所有者不明の不動産が増加していることが社会問題になっています。この問題を解消するため、様々な取り組みが検討されていますが、昨年から始まった「法定相続情報証明制度」もそのひとつです。

◆法定相続情報証明制度とは
 被相続人が死亡し相続が発生した場合の手続きは、相続登記だけに限りません。金融機関における預貯金・有価証券の名義変更や払戻手続き、保険請求手続きなど、相続にまつわる手続きは様々です。これらの各種手続きを行うためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など、相続関係を証明する資料一式を、手続きの都度原本で提出しなければならず、相続人にとって大きな負担になっていました。
 こうした負担を軽減し、相続登記を促進しようと始まったのが「法定相続情報証明制度」です。相続人が法務局に相続関係を証明する戸籍謄本や必要書類とともに、相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すると、以降は、法務局がこの図の写しを戸籍上の法定相続人の証明書として発行してくれるというものです。この証明書を各種相続手続きに利用することにより、相続人や金融機関等の負担軽減につながることが期待されます。

◆今後さらなる改善の見込み
 しかしながらこの証明書、現状は被相続人の子について、実子・養子の別や続柄については基本的に記載せず「子」としてのみ表示されている点など、情報量の不足も指摘されており、現在、記載内容等の見直しが進められています。既に法務省による意見募集が終了しており、今後さらなる改善が見込まれています。
 戸籍謄本など相続関係を証明する資料一式が必要な相続手続きを、複数の機関で行う場合に、できるだけ費用をかけず、かつできるだけ短期間で行えるのがこの制度のメリットです。制度を有効活用し、相続手続きの負担をできるだけ最小限にとどめたいですね。


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

 

2018年04月17日

成人年齢引き下げで変わる税制 提供:エヌピー通信社


 成人年齢を20歳から18歳に引き下げることを柱とする民法改正案が閣議決定されました。2018年度の与党税制改正大綱の「検討事項」には税制についても「民法に合わせて要件を18歳に引き下げることを基本」とすると記載されており、20歳を境界線にしている税制が見直される可能性は高いとみられます。

 20歳を境界線にしている税制には相続税の「未成年者の税額控除」があります。財産の取得時に20歳未満の人は相続税額から一定額を控除できるというもので、控除額は満20歳になるまでの年数1年につき10万円。17歳5カ月の人なら20歳になるまでの期間を「3年」(1年未満の期間は切り上げ)で計算し、控除額は30万円となります。仮に民法改正に合わせて税制が「満18歳になるまでの年数1年につき10万円」と変更されたとすると、控除額は10万円にまで下がることになります。

 ただし、未成年者控除制度を「20歳未満の者の税額控除」などと変更し、控除額をこれまでと同様とする可能性もあります。実際、例えば飲酒年齢を規定する「未成年者飲酒禁止法」は、法律名を「ニ十歳未満の者の飲酒禁止に関する法律」に改め、民法改正後も20歳未満の飲酒を禁止とする予定とのことです。

 贈与時の税負担を減らす「相続時精算課税制度」も見直しの対象です。親や祖父母から贈与を受けても2500万円まで贈与税は無税となる同税制は、現行では20歳以上の子どもが利用できるものですが、今後は2年早く利用することが可能となるかもしれません。

 証券投資にかかる税金を非課税にする「NISA」にも影響が出ます。これまでは20歳以上の人が利用できるのはNISA、20歳未満はジュニアNISAとされてきましたが、今後は18歳が境界線になると見られています。
 なお、成人年齢の引き下げを盛り込んだ改正民法は2022年4月1日に施行されます。


<情報提供:エヌピー通信社>


 

2018年04月17日

消費税の改正①


 今回から何回かに分けて消費税の改正(8%⇒10%に増税、軽減税率とは、インボイス制度とは等)について簡単に記事にします。


平成元年に導入された消費税(3%)は平成9年4月に5%に増税され、平成26年4月に8%に増税、さらに二度の延期を経てついに平成31年10月1日から10%に増税することとなっています。

 

その際に併せて導入されるのが、食品等の「軽減税率」と「(区分記載請求書を経て)インボイス制度」です。

 

この改正について税理士会は中小零細企業の事務負担増加、インボイス制度導入による免税事業者の市場からの排除、税負担の増加等を懸念し反対しましたが、平成31年10月1日から大きく消費税の実務が変更されることは必至となりました。

 

そこで、何が変更となるのか、今から何を準備すればいいのかを簡単に考えていきたいと思います。


 

2018年04月15日

相続登記の義務化を検討 提供:エヌピー通信社


 上川陽子法務大臣は3月2日の参院予算委員会で、全国に所有者不明の土地が大量にある問題について、民法や不動産登記法の改正を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を表明しました。

 現在、相続登記は任意で、登記を行うことは相続人の判断に委ねられています。相続登記が行われなければ、登記簿上の名義は死亡者のままとなり、そのまま放置され続けて世代交代が進めば、法定相続人はねずみ算式に増えることが問題視されてきました。

 所有者不明土地が増加する要因として、相続人が固定資産税などの税負担を避けたり、土地管理の煩わしさから放置したりするケースが指摘されています。このため法制審議会では相続登記を義務化して、違反した場合の罰則を設けることを検討することになりそうです。

 また現行制度には土地所有権の放棄に関する明確な規定がないことから、放棄の可否についても検討します。所有権放棄を認めることになれば、国や自治体が管理するケースが増え、財政負担が増大することも懸念されており、条件や費用負担などの明確なルール作りが必要になるとみられます。

 所有者不明土地を巡っては、増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる研究会が、所有者台帳からは現在の持ち主をすぐに特定できない土地が2016年に全国で約410万ヘクタールに上るとの試算を公表。対策を講じなければ、40年には北海道本島(約780万ヘクタール)の面積の所有者不明土地が発生し、経済損失額は累計で約6兆円に上ると推計しています。


<情報提供:エヌピー通信社>


 

2018年04月07日

国税庁:2017年分確定申告の留意事項を公表!


 国税庁は、2017年分確定申告の留意事項を同庁ホームページにて掲載しております。
 そのうち医療費控除については、これまでは医療費の領収書の提出や提示が必要でしたが、これからは医療費控除の明細書を提出(領収書を5年間保存する必要あり)することで、医療費の領収書の提出や提示が不要となりました。

 また、2017年分確定申告からセルフメディケーション税制(特定の医薬品を1万2,000円以上購入した場合の医療費控除の特例)が適用されます。
 セルフメディケーション税制の対象となる医薬品に該当するか否かにつきましては、領収書に★印などの表記がありますので、詳細は領収書の記載をご確認ください。
 通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方しか適用することができないことから、今回のセルフメディケーション税制の創設を踏まえ、国税庁HPにおいて、どちらが有利か確認できるコーナーも設けられておりますので、該当されます方はご確認ください。


 さらに「忘れていませんか、その所得 申告漏れにご注意を」と題して、2017年分確定申告において誤りやすい項目を示しております。具体的には、
①ネットオークションやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引(資産の売却、資産の貸付、人的役務の提供など)による所得の扱い(原則、雑所得として確定申告が必要)
②ビットコインなどの仮想通貨の売却等による所得の扱い(同上)
③馬券の払戻金等による所得の扱い(同上)
④ふるさと納税のワンストップ特例の申請者のふるさと納税の申告漏れによる申告誤りが多いこと
⑤予定納税額は、税務署から送付された「予定納税額の通知書」に記載されていること
⑥復興特別所得税の記載漏れによる申告誤りが多いこと
⑦給与や年金の「源泉徴収票」(原本)や、住宅借入金等特別控除を受ける場合の「売買契約書の写し」、「登記事項証明書」や「年末残高証明書」などの添付書類の提出漏れが多いことなど、注意を促しておりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月30日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2018年02月12日

平成30年度税制改正 資産課税編


 先ず、事業承継税制と小規模宅地等の特例の改正について、以下その内容を概観してみます。

●事業承継税制の特例の創設
 現行の事業承継税制(非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予)に加え特例措置を創設しました。その内容は次のとおりです。
(1)適用要件の緩和
①全株式が納税猶予の対象となる。②猶予割合100%。③雇用要件は弾力化され、5年後に経営の悪化等で平均8割の要件を満たさなくなっても、一定の要件を充足すれば納税猶予の期限は確定しない。④代表者以外の者からの株式贈与も対象とする。⑤承継者が贈与者の推定相続人以外の者でも一定の要件を満たせば相続時精算課税の適用を受けることができる。⑥承継人は最大3人まで可、その全員が代表権をもつ。
(2)環境変化に対応した負担軽減
 経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、5年経過後に非上場株式の譲渡、合併により消滅、又は解散を余儀なくされた場合には、その時の株式を相続税評価額で再評価して贈与税額等(贈与、相続、遺贈を含む)を計算し、当初の猶予税額を下回る場合には、その差額を、免除する(譲渡、合併の場合には制限あり)。
 この特例適用は、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間の贈与等です。しかし、適用可否の需要な点は、平成30年4月1日から平成35年3月31日の5年間に一定の承継計画を都道府県に提出、かつ、経営承継円滑化法の認定を受けていることが前提となっていることです。

●小規模宅地等の特例の見直し
(1)持ち家に住んでいない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、次の者を除外する。
①相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者の同族会社等が有する国内にある家屋に居住したことがある者。②相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有したことがある者。
(2)貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業に供しているものを除く)を除外する。
 適用は平成30年4月1日以降の相続又は遺贈からです。なお、(2)は、同日前から貸付事業の用に供されている宅地等には適用されません。




(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2018年02月03日

平成30年度税制改正 個人所得課税編


 平成29年12月14日、平成30年度税制改正大綱が発表されました。先ず、個人所得課税から主な改正内容を概観してみます。なお、これらの改正は、平成32年分以後の所得税からの適用となっています。

●給与所得控除等 次の見直しがなされています。

(1)控除額を一律10万円引き下げる。(2)給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額を850万円、その上限額を195万円に引き下げる。 また、特定支出控除の範囲も、次のような見直しがなされています。(1)職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必要と認められるものを加える。(2)単身赴任者の帰宅旅費1月4往復の制限を撤廃する等。

 

●公的年金等控除 次の見直しが行われています。(1)控除額を一律10万円引き下げる。(2)公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額については、195万5千円を上限とする。(3)公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超える場合には、上記(1)または(2)の見直し後の控除額からさらに一律10万円、2,000万円を超えると一律20万円、それぞれ引き下げる。

 

●基礎控除 次の見直しがなされています。(1)控除額を一律10万円引き上げる。(2)合計所得金額2,400万円を超える個人については、その合計所得金額に応じて逓減し、2,500万円を超えると適用できないこととする。

 

●所得金額調整控除 この控除は、(1)給与等の収入金額が850万円を超える場合であっても、22歳以下の扶養親族や特別障害者控除の対象者が同一生計にいる場合には負担増とならないように、また(2)給与等と公的年金等の両方の収入がある場合、それぞれの所得計算の段階で控除額が10万円引き下げられると計20万円の引き下げとなり負担増となる、これらを調整するため新たに設けられた控除です。

 

●青色申告特別控除 この控除は、55万円に引き下げられますが、次の追加要件を満たすことで現行の65万円控除が受けられます。(1)電子帳簿の作成及び保存、又は(2)所得税の確定申告書を電子申告していること。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2018年01月23日

中小企業の賃上げ動向


 経済産業省より平成29年「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」の結果が発表されました。この調査は大企業と中小企業とを分けて調査され、大企業は2,001社中364社が回答、中小企業・小規模業者30,000社のうち8,310社が回答しました。

◆中小企業7割近くが積極的に賃上げを実施
 平成29年度に常用労働者の賃上げを実施した大企業は89.7%(前年度90.1%)、正社員の賃金を引き上げた中小企業・小規模事業者は66.1%(前年度59.0%)となりました。前年と比較すると中小企業が積極的に賃上げを行っている傾向がうかがえます。

◆賃上げをする理由・しない理由
 中小企業・小規模事業者が賃上げを実施した理由についてベスト5は次の通りです。
①人材の採用・従業員の引き留めの必要性(49.2%)
②業績の回復・向上(34.3%)
③他社の賃金動向(21.6%)
④最低賃金引き上げの為(11.4%)
⑤業績連動型賃金制度のルールに従った(9.1%)
 一方で賃金を引き上げていない理由としては「業績回復、向上が不十分」72.6%が最も多く、賃上げを実施していない企業は業績が低迷している事がうかがえます。
 賃上げ額は、正社員1人当たり平均賃金の引き上げを実施した企業での年額をみると100,000円以上が最も多く、従業員規模が小さい企業ほど引き上げ額は大きくなる傾向にあります。引き上げ率は1%~2%が最も多く、こちらも従業員規模が小さいほど引き上げ率が高くなっています。

◆月別賃金引き上げ方法等
 引き上げの方法は定期昇給時に上げた企業が約半数と最も多く、賃金表を含む賃金規定を採っている企業は61.0%でした。
 人員計画については人手不足を感じている企業は66.4%であり、正社員の非管理職74.5%、管理職29.1%が不足していると答えています。
 採用方法はハローワークが最も多く78.7%です。次いで従業員や知人の紹介、36.9%、求人サイト32.9%と続いています。


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2018年01月16日

3社に1社が黒字申告 提供:エヌピー通信社


 2016年度に税務申告した全国の法人のうち、黒字と申告した法人の割合は33.2%で前年度(32.1%)より1.1ポイント増となり、6年連続で上昇しました。国税庁が10月に発表した法人税の申告事績で分かったものです。

 黒字法人の割合は、08~10年度に3年連続で過去最低を更新しました。しかしその後は増加の一途をたどり「3社に1社が黒字」という状況まで盛り返しました。
 また申告所得金額もリーマンショックのあった08年を境に一気に落ち込みましたが、14年度にリーマンショック前の水準を超え、その後も増加を維持している状況です。

 源泉所得税について見てみると、16年度の税額は17兆379億円で、前年度から5.0%減り、7年ぶりに減少に転じました。給与所得は2.0%伸びたのですが、配当所得が15.3%減少したことが響いています。
 なお、申告法人286万1千社の所得金額は前年度比3.2%増の63兆4749億円となり、過去最高を記録しました。

 


<情報提供:エヌピー通信社>


 

2017年11月23日

(後編)法務省:2018年度税制改正要望を公表!


(前編からのつづき)

 所有者不明土地への対応は、公共事業用地の取得、農地の集約化、森林の適正な管理など、多くの自治体が直面する課題となっており、所有者不明土地があることで、市町村において事業の中止・中断や対象用地の変更を迫られるなど、土地の利活用の妨げになっております。
 そのため、相続登記が未了のまま放置されている土地又は放置されるおそれのある土地については、登録免許税を免除することにより、所有者不明の土地問題に対応するとしております。

 具体的な特例措置の内容は、下記の適用要件に係る所有権に関する登記の申請について、登録免許税を免除するとしております。
①相続発生から30年以上経過している土地に関して当該相続を起因とした登記を申請した場合、当該所有権についての相続登記にかかる登録免許税を免除
②課税標準額が一筆当たり20万円以下の土地に関して相続を起因とした登記を申請した場合、その登録免許税を免除

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年10月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2017年11月20日

(前編)法務省:2018年度税制改正要望を公表!

 法務省は、2018年度税制改正要望を公表しました。
 

それによりますと、所有者不明の土地が問題視されており、相続登記が未了となっている要因の一つとして、相続登記に係る費用の負担が指摘されることから、相続登記促進のため、登録免許税を免除する特例措置の創設を要望しております。

 法務省では、2017年6月までの不動産登記簿における相続登記未了土地調査を実施しました。
 約10万筆の土地について所有権の登記が受け付けられた年月日を確認し、現在に至るまでの経過年数を調査したところ、最後に所有権の登記がされてから50年以上経過しているものが、大都市においては6.6%、中小都市・中山間地域においては26.6%明らかにされました。
 同様に、民間有識者による所有者不明土地問題研究会の所有者不明土地割合の全国推計結果によりますと、所有者不明土地が全国の20.3%を占め、面積にして九州よりも広い、約410万ヘクタールにのぼるといいます。
 相続登記は義務ではなく、登録免許税等もかかるため、相続時後回しにされ、そのまま長期間放置されて所有者不明土地問題の要因の一つとなっております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年10月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2017年11月18日

平成29年度地域別最低賃金


◆最低賃金引き上げ額平均25円で過去最大
 平成29年地域別最低賃金改定額は中央最低賃金審議会で賃上げ額の目安が公表され、各都道府県労働局長の決定により10月1日より順次発令されます。
 改定額を見ていくとAランクの6都道府県は目安通り26円引き上げられ、東京、神奈川に続き大阪も900円を超えました。Bランクの11府県も目安通り25円引き上げられ、三重、広島、滋賀、栃木の4県が新たに800円以上。一方Cランクは新潟が目安より1円高い25円の引き上げ。他の13道県は目安通り24円の引き上げで、北海道と岐阜が新たに800円台に乗せました。Dランクでは鳥取、宮崎、沖縄が目安より1円高い23円の引き上げで、高知、沖縄と福岡を除く九州6県が737円で並びました。

◆平成35年度には1000円まで引き上げ?
 最低賃金は近年引き上げの流れが続いていて、時給額のみで表示されるようになった平成14年度には全国加重平均額は663円でしたが、昨年度に初めて800円を超えました。政府は全国加重平均で最低賃金3%程度引き上げ1000円を目指しており、このままですと平成35年度には1000円に達する事になり、中小企業には重い負担となってきます。
 平成29年の改定額は以下の通りです。
A.26円改定
東京 958円 大阪 909円 愛知 871円 千葉 868円 神奈川956円 埼玉 871円

B.25円改定
茨城 796円 京都 856円 静岡 832円 三重 820円 滋賀 813円 栃木 800円 長野 795円 富山 795円 広島 818円 兵庫 844円 山梨 784円

C.24円改定
北海道810円 宮城 772円 群馬 783円 新潟 778円 石川 781円 福井 778円 岐阜 800円 奈良 786円 和歌山777円 岡山 781円 山口 777円 徳島 740円 香川 766円 福岡 789円

D.22円、23円改定
青森 738円 秋田 738円 岩手 738円 山形 739円 福島 748円 愛媛 739円 高知 737円 島根 740円 鳥取 738円 長崎 737円 佐賀 737円 熊本 737円 大分 737円 宮崎 737円 鹿児島737円 沖縄 737円



(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2017年11月15日

契約書の作成意義とは


◆契約書がなくても契約は成立する
 合意書や契約書がない場合でも合意や契約は有効ですか、という質問を受けることがあります。
 民法では、契約は当事者間の意思の合致により成立するとされています。例外として、金銭消費貸借契約の場合に意思の合致だけではなく実際の金銭の交付がなければならない、保証契約は書面等によらなければならないなどの特例はありますが、原則としては、書面がなくても契約の「申込」(発注)と「承諾」(受注)の意思表示が行われた時点で契約は成立するのです。

◆なぜ契約書を作成するのか
 それでは、なぜ契約書を作成する必要があるのでしょうか。
 それは、主として、後々、紛争や裁判になった際に、契約締結の有無、また、契約内容や合意事項を証明することができるようにするためです。
 この点、契約書でなくとも合意内容を示すものであればよいため、メールやFAXのやりとりなども契約書に代わる証拠として有効となることがあります。取引の相手に契約書の作成をお願いしにくい、という場合には、単なる口頭合意だけではなく積極的にメールなどで合意内容を残しておくと役立ちます。
 とはいえ、契約書は社長などの最終決裁者がその内容を確認したうえで押印していることが前提となりますので、やはりメールよりはるかに高い証明力を有します。

◆契約書に何を書くか
 契約書の作成は面倒、と思われる方も多いかもしれません。しかし、実は互いの債務の内容を特定して記載するだけの契約書でも多くの紛争を予防できます。このとき、「誰が」「誰に」「いつ」「何を」「どうするか」を具体的に記載します。例えば、売買契約書であれば「甲は乙に対し、平成29年10月1日までに、商品〇〇を引き渡す。」「乙は甲に対し、平成29年10月末日までに、売買代金として〇〇円を支払う。」のように債務の内容を具体的かつ明確に特定して記載します。これだけでも、トラブルが起こった際にどちらが契約違反をしているかが明確になり、紛争の拡大を防止することができるのです。

 


(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2017年11月07日

新着助成金ニュース


【助成金補助金診断ナビ】新着助成金ニュース

2017年10月20日更新の新着助成金情報についてご案内いたします。
※助成金に関する詳細は、ゆりかご倶楽部「助成金補助金 診断ナビ」でご確認いただけます。


【厚生労働省】
●平成29年度予算 厚生労働省 「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)」
 業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。 生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を支援する目的で助成金を支給します。


【他省庁/都道府県】
●平成29年度予算 環境省 「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(次世代省CO2型データセンター確立・普及促進事業)」 四次公募
従来システムと比較し50%以上の抜本的な省エネを実現するデータセンターを構築する事業に要する経費を補助することにより、様々な条件下での省 CO2 型データセンターのモデルを示し、省エネシステムの市場の形成を後押ししつつ、価格低減を図り、事業終了後の民間による自立的な普及の促進に資することを目的に補助金を支給します。

●平成29年度予算 農林水産省 「農の雇用事業」 第4回
 農業法人等が新規就農者、又は新たな農業法人の設立による独立を目指す者(研修生)を新たに雇用し、就農に必要な技術・経営ノウハウ等を習得させるための実践的な研修等を行なうことを目的に助成金を支給します。

●平成29年度 一般社団法人日本ロボット工業会 「ロボット導入実証事業 FS調査追加公募」
 「ロボット新戦略」(平成27年2月10日 日本経済再生本部決定)では、我が国として「世界一のロボット利活用社会」を目指し、ロボット利活用による様々な分野における人手不足の解消や生産性の向上等の社会的課題の解決に向けて、国を挙げて取り組むとしています。本事業では、ものづくり分野やサービス分野におけるシステムインテグレーションへの支援等を通じたロボットの社会実装の促進といった政策目標の達成に向けた実証事業等の実施を目的に、事業実施に要する経費の一部を補助金で支援します。


上記に関する詳しい情報は、ゆりかご倶楽部「助成金補助金 診断ナビ」をご確認ください。
※上記以外の新着助成金情報もご確認いただけます。






(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2017年10月23日

ふるさと納税 中間仮計算のススメ


◆過熱するふるさと納税-規制もあれば抜け道も!?
 2017年4月1日付で総務省は各自治体に対し、「ふるさと納税の返礼品の価格について、寄付額の3割までに抑えるよう要請」し、「商品券や家電製品といった返礼品は換金しやすさや地元産かどうかを問わず、全面的に控えるよう求め」ました。これで一部自治体の目玉だった商品券や各種ポイントも返礼品から消えることとなりました。
 「税法の縛りがあるところに合法的な節税の抜け道あり」ではありませんが、頭を使って考える人はいるものです。自社が提供するふるさと納税の申込サイトから寄附すれば、自社のポイントを付与し、他の申込サイトよりもポイント分得するという売りを打ち出したところが出てきました。ポイントは、自治体から納税者に付与されるのではなく、ふるさと納税の申込サイトを運営する会社から付与されるので、総務省要請も対象外ということなのでしょう。

◆ふるさと納税限度額の計算
 持ち出し(=寄附金が控除限度額を超えてしまうこと)なくふるさと納税をするためには、控除限度額の把握が必要です。ふるさと納税導入当初は、総務省や千葉県などのウェブサイトで提供されていた表形式のものしか限度額を予測するものはありませんでした。しかしながら、いまは各種ふるさと納税の申込サイトでシミュレーションコーナーが設置され、より精度が高く計算できるようになってきています。

◆ふるさと納税中間仮計算のススメ
 限度額ギリギリまで得するよう12月の年末調整後に駆け込み的なふるさと納税を推奨する話も聞きますが、今回は、いまの時期に、中間仮決算的準備をお勧めします。
 行うべきことは、医療費の領収書の金額集計です。扶養家族や住宅ローン控除などはほぼ例年通りのことが多く12月末時点の予測は簡単です。一方、医療費控除は集計してみるまで金額がわかりません。
 ある税理士は毎年12月にその年の納税限度額を計算し、限度額目一杯使い切ることを年中行事としていました。しかしながら、12月に突発的な仕事で、医療費控除の予測ができぬまま医療費控除を最大限の200万円としたうえでふるさと納税限度額としました。そして、翌年2月に自身の個人所得税の確定申告をしてみて数万円分のふるさと納税限度額を逃してしまったことに気づいたそうです。その反省から「今年は中間仮計算をする」と宣言していました。




(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2017年10月21日

(後編)国税庁:空き家の譲渡特例通達の趣旨説明を公表!

 

 (前編からのつづき)

 例えば、相続人所有の敷地に被相続人が所有し居住していた家屋の場合、相続人が相続により、その家屋を取得したとしても、取得したのは家屋のみであるため、適用はないと説明しております。

 また、相続した家屋・敷地が店舗併用住宅の場合、適用対象は被相続人の居住用部分のみとなり、相続の時後の増築等により、被相続人居住用家屋の床面積が増減した場合でも、相続開始直前の被相続人居住用家屋の床面積を基に特例の対象となる居住用部分を判定します。
 なお、店舗兼住宅であっても、居住部分がおおむね90%以上である場合は、家屋・敷地の全部を居住用部分として取り扱える旨を明らかにしており、被相続人居住用の家屋・敷地の譲渡が、相続のときから譲渡のときまで事業用、貸付用、居住用に使われていないことがこの特例の適用要件とされているため、「一時的な利用」であっても要件を満たさないとしております。

 また、貸付用には、賃貸借により有償で貸し付けられているものばかりでなく、使用貸借により無償で貸し付けられていたものも含むとしておりますので、該当されます方は、ご確認ください。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2017年08月16日

(前編)国税庁:空き家の譲渡特例通達の趣旨説明を公表!

 

 2016年度税制改正において、相続した空き家を一定要件のもと譲渡した場合に、居住用財産の譲渡所得の特別控除に該当する譲渡とみなして同控除を適用する特例が創設されました。

 そして、国税庁は、その取扱いを定めた通達の主要改正事項の趣旨説明を公表しました。
 同特例は、相続開始直前に被相続人のみが居住していた1981年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物を除く)及びその敷地で、相続の開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること、譲渡価額が1億円を超えないこと、譲渡をする家屋・土地は、相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付用、居住用に使われていないことを適用要件に、居住用財産譲渡の場合、3,000万円の特別控除が適用できます。

 通達の趣旨説明をみてみますと、特例は、家屋とその敷地の両方を相続等により取得した場合に限り適用され、被相続人居住用家屋のみ又は被相続人居住用家屋の敷地等のみを取得した場合は適用されないことになります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年7月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2017年08月16日

子ども・子育て拠出金とは

 
◆全額事業主負担の子ども・子育て拠出金
 子ども・子育て拠出金は平成26年度までは児童手当拠出金と呼ばれていました。
 社会保険料(健康保険及び厚生年金保険)は労使折半負担となっていますが、子ども・子育て拠出金は全額企業が負担します。被保険者からは徴収しません。
 平成29年度からは0.23%となりました。被保険者の厚生年金保険の標準報酬月額に料率を乗じます。標準賞与額にも同じ料率がかけられます。
 例えば標準報酬月額が20万円の人は20万円×0.23%=460円となります。金額は大きい額ではありませんが、平成28年度は0.20%でしたから上限とされている0.25%までは今後も上がる事でしょう。
 被保険者に子どもがいるかいないかは関係なく厚生年金の加入者は全員が拠出の対象になっています。

◆拠出金は何に充てられているか
 拠出金は児童手当のみに使われている印象がありますが、地域子ども・子育て支援事業や平成28年4月から新設された仕事・子育て両立支援事業にも充てられています。
 各内容を見てみます。
①児童手当事業・・・・市区町村に住民登録があり、中学校終了前までの児童を養育している人で下記の条件に該当する方に支給されます。
ア、児童が国内に居住している
イ、児童が養護施設入所や里親に委託されていない
ウ、扶養親族数に応じて所得で622万円から812万円までの限度額があります。扶養親族数6人以上は812万円に1人38万円を加算します。支給額は3歳未満で1人月1万5千円から中学生1人月1万円の範囲できめられます。所得制限を超えていても1人当たり5千円が支給されています。
②地域子ども・子育て支援事業・・・・放課後児童クラブ、病児保育(事業費及び整備費)、延長保育事業等
③仕事・子育て両立支援事業・・・・企業主導型保育事業(運営費及び整備費)、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業等

(情報提供 ゆりかご倶楽部)


 

2017年08月08日

路線価H29年

 7月3日、国税庁より平成29年度路線価が発表されました。

全国平均では0.4%上昇しました。

最高路線価は東京都中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前でバブル直後の1992年の価格を上回ったそうです。

近畿地方2府4県平均でも0.4%上昇しました。大阪府では戎橋周辺、グランフロント周辺、天王寺駅周辺が今年も上昇しています。

 

うちの事務所の前の道は高石市と泉大津市の境目にあたり、北助松駅前を東西に抜ける商業地域です。H27年は99,000円→H28年は100,000円→H29年は99,000円とほぼ横ばいです。

この間の道沿いの様子は新しいお店も出来ましたが、同じくらい閉店したお店もありました。私がこの商店街に移転してきて、3年を過ぎましたがずっとシャッターが閉まっているお店跡もあります。

最近、事務所の斜め前の土地に大規模なコインパーキングの建設工事をしています。少なからず商店街に活気を与える材料になると楽しみに工事を眺めています。

 

2017年07月09日

共謀罪について考える


 6月15日「共謀罪」が成立しました。自民党があまりに強引に通したので、少し気になり、この法案について少し調べてみました。

 

東京オリンピックを迎えるにあたってのテロの未然防止が表向きの目的なようですが、その対象は277項目、とても広範囲な違法行為を未然に防止出来る、つまりその為の捜査が可能となる法律となっています。

 

まず、

・その対象者は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」となっています。

・その対象行為は「役割を分担して犯罪の実行に合意し、、、、準備行為をした場合、、

とあり、未遂の状態で逮捕出来るものです。

ここが恐い?ところでマスコミ上では、フェイスブックの「いいね」やラインの既読も共謀行為に含まれる?との話題も上がっています。

次に

・その277の対象項目の中で、以下のいわゆる「脱税罪」も入っていて、成立前夜のテレビで税理士が節税の提案をした場合、税理士も逮捕されるのか、と反対意見があったようです。

 

(所得税法)偽りその他不正の行為による所得税の免脱等▽偽りその他不正の行為による所得税の免脱▽所得税の不納付

(法人税法)偽りにより法人税を免れる行為等

(消費税法)偽りにより消費税を免れる行為等

 

脱税とは上記のように、偽りその他不正行為により課税や納付を逃れる行為ですので、税法に則った行為は「租税回避行為」か「節税行為」となります。

 

ですので、先にあったような税理士の反対は的を得ないものと思います。

また、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」に対して、税理士が何か助言するような場面自体、私は有り得ない事だと思います。

 

普通に生活している我々一般人にはさほど影響がないのだとは思いますが、プライバシーが法の下に簡単に捜査出来るようになったのは事実だと思いますし、国会での異常な法案の成立過程が不信感をあおっているのだと思います。

 

2017年06月17日

後編 国税庁:2015事務年度の相続税の調査事績を公表!

 
(前編からのつづき)

 申告漏れ相続財産の内訳をみてみますと、現金・預貯金等が1,036億円(前事務年度1,158億円)で全体の35.2%を占めて最多となり、続いて土地が410億円(同414億円、構成比12.4%)、有価証券が364億円(同490億円、同13.9%)、家屋が64億円(同54億円、同2.2%)の順となり、その他(不動産、有価証券、現金・預貯金等以外)が1,071億円(同1,125億円、同36.3%)となりました。

 一方、申告・納税義務があるのにもかかわらず申告しない無申告事案については、前事務年度より0.6%少ない863件の実地調査を行い、そのうち655件(前事務年度比0.9%減)から824億円(同6.0%減)の申告漏れ課税価格を把握し、53億円(同26.2%減)を追徴課税しました。
 そして、1件当たりの申告漏れ課税価格は9,543万円となり、相続税調査全体の1件当たり申告漏れ2,517万円の約3.8倍にのぼりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年4月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



<情報提供:ゆりかご倶楽部>


2017年06月10日

前編 国税庁:2015事務年度の相続税の調査事績を公表!

 
 国税庁は、2016年6月までの1年間(2015事務年度)の相続税の調査事績を公表しました。
 それによりますと、2013年中に発生した相続を中心に、申告額がありながら無申告と思われるものなど1万1,935件(前事務年度比3.8%減)を実地調査しました。
 そのうち81.8%に当たる9,761件(同3.8%減)から3,004億円(同8.8%減)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税80億円を含む583億円(同12.9%減)を追徴課税しました。

 実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格2,517万円(前事務年度比5.3%減)、追徴税額489万円(同9.5%減)となりました。
 また、申告漏れ額が多額だったことや、故意に相続財産を隠ぺいしたことなどにより重加算税を賦課した件数は1,250件(同0.6%減)あり、その重加算税賦課対象額は458億円(同5.9%増)、重加算税賦課割合(重加算税賦課件数1,250件/申告漏れ等の非違件数9,761件)は12.8%(同0.4ポイント増)となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年4月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 


<情報提供:ゆりかご倶楽部>


2017年06月10日

設立届が謄本添付不要に


 平成29年4月1日より、法人設立届け(税務署)に添付が必要とされていた法人登記事項証明書(登記簿謄本)の添付が不要となりました。

 

又、納税地が代わった場合の異動届の提出が異動前の納税地の所轄税務署長のみ(変更前は異動前及び異動後)と変更となりました。

 

https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h29/kansoka/index.htm

2017年06月06日

電子申告の義務化か(法人) 提供:エヌピー通信社

 

 企業が納める法人税と消費税について、全ての納税義務者に対して電子申告(e-Tax)の利用を義務化するよう財務省と国税庁が検討していると、日本経済新聞が報じました。申告にかかる行政の事務効率化が狙い。早ければ今年末にまとめる税制改正大綱への盛り込みを目指すそうです。

 現行制度では、納税者は紙の申告書による提出と、国税庁のe-Taxを通じたインターネットによる提出の好きな方を選ぶことができます。平成27年度の法人税の税務申告でe-Taxを利用した人の割合は75.4%で、全体の4分の3が電子申告をすでに利用していることになります。

 ただし企業規模ごとに見てみると、資本金1億円以上の大企業ではe-Taxの利用は52%にとどまっています。大企業は独自の経理システムを導入しているため、e-Taxの形式への変換に伴う業務を嫌い、紙の申告書を使っているという事情があるようです。

 また法人税申告でのe-Tax利用率は平成22年度には52.5%と全体のほぼ5割だったところから年々増加してはいるものの、徐々に増加ペースは落ち着いています。地方税では紙での申告を求めるところもあり、そうした事情もe-Tax利用率の伸び悩みの原因となっています。国としては、任意利用だったe-Taxを義務化することで、一気に行政事務の効率化を図る考えです。

 電子申告が義務化されれば、紙で申告をしている企業にとっては税務関係書類の保存などのコストが減らせるものの、電子保存のシステム導入や、紙の申告しか受け付けない地方税との取り扱いの区別など、事務負担が増える恐れもあります。


<情報提供:エヌピー通信社>



2017年05月24日

黒字申告割合が6年連続増加 提供:エヌピー通信社

 黒字申告法人の割合が6年連続で増加していることが国税庁公表の「会社標本調査」で明らかになりました。

 黒字申告割合は平成3年まで50%前後で推移していましたが、6年には40%を下回り、20年に30%を割り込みました。しかし、21年の25.2%を底にして徐々に回復。平成27年は申告法人263万436社のうち黒字申告は93万9577社、黒字割合は全体の35.7%となりました。6年連続の上昇で20年前(平成7年)の水準まで戻っています。

 黒字申告率を業種別にみると、東京オリンピック開催に向けた建設ニーズの高まりで受注が増えている建設業が41.4%でトップ。運輸通信公益事業(40.8%)、金融保険業(39.8%)と続きます。一方、出版印刷業(23.7%)、料理飲食旅館業(24.9%)、繊維工業(25.6%)の黒字申告率が低かったそうです。

 会社標本調査とは、国内の企業の状況を資本金階級別や業種別に調査し、まとめたもの。国税庁が調査、発表し、結果は税収の見積もりや税制改正などの基礎資料になります。昭和26年分から毎年行われ、最新の平成27年度分で66回目となっています。



<情報提供:エヌピー通信社>


2017年04月29日

相続課税割合公表値を読む

 
◆基礎控除引下げの影響の予測と結果
 平成27年1月1日以後の相続から基礎控除額が60%に引下げられています。27年中の相続税申告の事績が昨年末に公表され、その制度変更の影響がどう表れているか明らかになりました。
 亡くなられた方について相続税の申告がなされた割合は10年来4.1~4.4%で推移していたところ27年は8.0%と倍近い増加になっています。少し前までは、6%ぐらいを予測値としている情報が多かったところです。

◆公表結果値の概要
 死亡者数は年々少しずつ増加し、ここ10年来で2割ぐらい増えてはいるところ、前年比では1.4%程度の増にすぎませんが、課税申告書提出件数は83.2%もの増になっています。
 前年比の申告書の提出を要する課税実増加件数は46,804人で、それに対応する実増加申告財産額は32,276億円で、相続申告増加1件当たり約6,900万円です。実増加税収は4,208億円で、相続申告増加1件当たり約899万円です。

◆都道府県別比較をしてみると
 課税申告割合、全国平均の8%に対し、都道府県別に高い方のベスト3をみると、東京15.7%(都内23区では16.7%)、愛知13.8%、神奈川12.4%です。東京の場合は、6.4人に1人の割合で相続課税がなされています。低い方のベスト3は、秋田2.2%、青森2.9%、鹿児島3.1%です。秋田の場合は、45.5人に1人の割合で相続課税されています。

◆変化の波と身近な経験的印象
 課税対象となる割合の高い地域が、その割合の増加の程度も高そうに思ってしまいそうですが、課税対象割合の増加率を追ってみると、その高い地域の増加変化率は東京が最低で162%、次いで京都163%、大阪164%で、これがワースト3です。
 逆に、増加変化率のベスト3は、富山246%、秋田244%、青森223%です。絶対数では、大都市圏で課税対象者割合が高いと言えるものの、基礎控除引下げの煽りを烈しく受けて変化の波に呑まれているのは過疎的地方なのかもしれません。




<情報提供 ゆりかご倶楽部>

2017年04月20日

私道の相続評価で最高裁が審理差し戻し 提供:エヌピー通信社

 相続した土地のうち、私道として使われている部分の財産評価をめぐって納税者と自治体が争っていた裁判で、最高裁は自治体側の主張を全面的に認めていた高裁判決を破棄し、さらなる検討を命じる審理差し戻しの判決を下しました。私道と認定されれば税負担は7~10割減となるため、裁判の結果は不動産相続に大きく影響しそうです。

 相続財産の評価方法を規定した財産評価基本通達では、私道として利用されている宅地を「私道供用宅地」として、①行き止まりの生活道路など、特定の人間が通行するものについては評価を7割減、②通り抜け道路のように不特定多数の人間が通行するものについては0円――で評価すると定めています。

 原告は相続税の申告に当たって、まず②のゼロ評価私道として申告書を提出しましたが、その後①の7割減私道だと修正して申告をし直しました。しかし税務署は「アパートの敷地の一部であり、そもそも私道ではない『貸家建付地』である」として減額特例の適用を認めず、更正処分を決定。不服とした原告が訴えを起こしたものです。

 地裁、高裁の判決ではともに自治体側の訴えが認められ、納税者が敗れました。しかし最高裁では、これらの判断を覆しました。私道に当たるかどうかは「建築基準法などの法令の制約の有無だけではない」として、「宅地の位置関係や形状、道路としての利用状況などを踏まえて、総合的に、ほかの用途に転換することが難しいかを考えるべき」との判断を示しました。

 


<情報提供:エヌピー通信社>


2017年03月19日

(後編)厚生労働省:スイッチOTC薬控除の対象商品名を公表!


(前編からのつづき)

 ちなみにスイッチOTC薬控除の対象となった医薬品の成分で最も多かったのが消炎鎮痛剤としてシップ薬などに使われるインドメタシンで、「バンテリンコーワパップS」や「サロンパスEX」などがあがっております。
 これに次ぐ成分が、プレドニゾロン吉草酸エステルで、「オイラックスPZ軟膏」や「メンソレータムメディクイックH」などがあがっており、以下、フェルビナクが「ハリックスホグリラ温感」など、イブプロフェンが「ベンザブロックL」などあがっております。

 なお、日本OTC医薬品協会や日本医薬品直販メーカー協議会など5協会で構成する「日本一般用医薬品連合会」も、スイッチOTC薬控除の対象製品のパッケージに表示する共通識別マークを発表しました。
 製品の正面や背面にシール貼付等を含めて表示することにより、対象製品を一目で分かるようにしております。
 ただし、同マークに法定の表示義務はないため、各医薬品メーカーが任意で対象製品に表示するとのことです。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年2月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

<情報提供:ゆりかご倶楽部>


2017年03月17日

(前編)厚生労働省:スイッチOTC薬控除の対象商品名を公表!

 厚生労働省は、同省のホームページにおいて、2016年度税制改正で創設されたスイッチOTC薬控除(セルフメディケーション税制)の対象となる医薬品の具体的な販売商品名リストを公表しております。
 今後も、同特例の対象となる製品に関する新商品の販売や販売中止等による増減があることを踏まえ、必要に応じて2ヵ月に1回のペースで更新する予定としております。

 この特例は、自分や自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために「スイッチOTC薬」を購入した場合、年間1万2,000円を超える部分の金額を、8万8,000円を限度としてその年分の総所得金額等から控除できる制度です。
 適用期間は、2017年1月1日から2021年12月31日までの5年間で、現行の医療費控除との選択適用となります。
 今回公表されたリストには、あいうえお順で「販売商品名」のほか、「製造販売業者名」、「成分名」がそれぞれ記載されており、対象製品を個別に確認できますので、該当されます方は、ご確認ください。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年2月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(ゆりかご倶楽部)


2017年03月12日

特定公社債の利子(H28~)

 ●利子所得も申告可能に
 公社債等の利子については、昨年までは特定の国外債を除き、支払時に「所得税及び復興税15.315%・住民税5%」による源泉徴収が行われ、この源泉徴収によって納税が完了でした(源泉分離課税)。
 しかし、平成28年1月1日以後、特定公社債等の利子所得については、申告分離課税による確定申告を選択することができるようになりました。
 また、同族会社が発行した社債で、その同族株主等が受領するものの利子については、支払時に「所得税及び復興税15.315%・住民税なし」による源泉徴収が行われたのち、当該利子所得は総合課税の対象となり確定申告を要することになりました。

●特定公社債等の利子とは
 ちなみに、特定公社債等の利子は、①特定公社債(国債、地方債、外国の国債及び地方債、上場公社債、公募公社債その他の特定の公社債)の利子、②上場公社債投資信託の収益の分配金及び公募公社債投資信託の収益の分配金等からなっています。個人投資家の運用対象の大部分がこれに該当します。
 一方、一般公社債等の利子とは、特定公社債等の利子以外の利子です。

●利子割と配当割
 住民税においては、昨年まで、利子については「利子割」、そして、配当(特定配当等)については「配当割」、という名称で特別徴収(源泉徴収)をしていました。 
 しかし、平成28年1月1日以後における特定公社債等の利子に対する住民税5%は、利子割ではなく、配当所得に対する住民税5%と同様に、「配当割」と定義されました。
 理由は、特定公社債等の利子が上場株式等の配当等に包含され、結果、申告分離課税が選択できるようになったことによるものと思われます。

●申告分離による源泉税の取扱い
 平成28年1月1日以後は、特定公社債等の利子所得と特定の譲渡により生じた上場株式等(特定公社債等も含む)の譲渡損失との損益通算が可能となったことから、申告分離課税を選択し確定申告をすることで、場合によっては源泉徴収された税金(配当割含む)を還付することもできます。
 なお、特定公社債等の利子等についても、特定口座の源泉徴収選択口座に受入れができ、その口座内での通算が可能です。

 

(情報提供:ゆりかご倶楽部)


2017年03月02日

年収1千万円超は増税 提供:エヌピー通信社

 給与所得控除の縮小によって、今年から年収1千万円超の人の税負担が重くなります。


 課税される給与所得額は、給与額から給与所得控除額を差し引いて計算します。この給与所得控除額は収入が多いほど上がっていきますが、上限があり、平成28年は給与収入1200万円超の人は一律230万円とされていました。しかし、今年から収入1千万円超の人が上限の対象になり、また上限額は220万円に引き下げられています。年間収入が1千万円を超える人は納める税金が増えることになります。

 給与所得控除額は、平成24年まで「収入金額×5%+170万円」(年収1千万円超の人)と設定されており、収入が多い人は青天井で控除額が上がっていました。
 しかし平成25年度の税制改正で上限額が設定されたことで、年間収入が多い人ほど税負担が一気に重くなりました。25~27年は年収1500万円超で給与所得控除額は245万円、28年は1200万円超で230万円、今年は1千万円超で220万円と上限額が段階的に引き上げられているのです。


<情報提供:エヌピー通信社>

 


2017年02月06日

国外居住10年以下は相続税課税 提供:エヌピー通信社

 富裕層の国境を超えた税逃れを防止する取り組みの一環として、国外に住む人への相続税の課税が強化されます。課税要件となる国外居住年数を見直し、10年超国外に住んでいなければ保有する海外資産に日本の相続税が課されるよう見直されます。

 現行制度では、相続人と被相続人の両方が5年を超えて海外に住んでいると、海外資産に対しては日本国内での相続税は課されません。どちらか一方でも日本に住所があるか、海外に居住して5年以内であれば課税対象。また要件を満たしていても、国内にある財産には日本の相続税がかかります。

 新制度は、現在5年超となっている居住期間の要件を10年超に引き上げるというもの。これまでは親子ともに海外に移住して5年を超えれば相続税の対象外となりましたが、今後はたとえ9年住んでいても日本の相続税が課せられることになります。この改正は来年4月以降に相続や贈与によって取得した財産に適用される予定です。

 


<情報提供:エヌピー通信社>


2017年01月06日

所得拡大税制、中小企業優遇を拡大へ 提供:エヌピー通信社

 社員の給料をアップした企業の法人税負担を軽くする「所得拡大促進税制」について、中小企業が2%以上賃上げしたときは最大減税額が22%に拡大されることになりそうです。国は減税幅の拡大で中小企業の賃上げを促す狙いです。

 現行制度では、①給与支給総額が平成24年度から3%増加、②給与支給総額が前年度以上、③従業員1人当たりの平均給与が前年度以上――の3要件を満たす企業は、賃上げ総額の10%を法人税額から税額控除(中小企業は税額の最大20%、大企業は10%)できます。青色申告をしている個人事業主から大企業まで幅広く利用できる制度です。ここでいう「給与」は、所得税法上「給与所得」として課税される賞与や諸手当も含みます。

 これが税制改正により、給料が前年度比2%以上の条件を満たす中小企業を対象に、賃上げ総額の最大22%を法人税額から差し引くことができるようになります。積極的に賃上げに取り組む中小企業の税の軽減効果を大きくすることで、大企業並みの賃上げにつながるようにするとのことです。


<情報提供:エヌピー通信社>

2016年12月19日

平成28年度地域別最低賃金

 
◆今年も上がる時給額 上げ幅最大
 最低賃金とは国が賃金の最低限度額を定めた額以上の賃金を労働者に支払わなければならないと言う制度ですが最低賃金の決定は今年も10月に発令されています。
 比較可能な平成14年以降最大の上げ幅です。人口減により地方でも人手不足は深刻で最低賃金を引き上げて労働力確保を図る例が目立っています。中央最低賃金審議会は平成28年度の地域別最低賃金改定の状況を発表しました。都道府県別の引き上げ額は時給25円アップを最高に24円、22円、21円、と上がり幅が分けられ、全国加重平均は823円(25円引き上げ)です。若い世代の労働力流出に悩む地域が多く建設、小売業等で深刻化する人手不足の改善につなげるとしています。

◆都市部と地方部の格差は広がる
 最も時給が高いのは東京都の932円、最も低い額は宮崎、沖縄の714円でした。10月1日より中旬にかけて発効となります。毎年都市部の上がり幅が高いので都市部と地方部の格差は場所によっては縮小しているものの、最高額と最低額の差は最大で218円開いています。
 平成28年の改定額は以下の通りです。
【25円改定】
東京 932円 大阪 883円 愛知 845円
千葉 842円 神奈川930円 埼玉 845円
兵庫 819円
【24円改定】
茨城 771円 京都 831円 静岡 807円
三重 795円 滋賀 788円 栃木 775円
長野 770円 富山 770円 広島 793円
【22円改定】
北海道786円 宮城 748円 群馬 759円
新潟 753円 石川 757円 福井 754円
山梨 759円 岐阜 776円 奈良 762円
和歌山753円 岡山 757円 山口 753円
島根 718円 鳥取 715円 高知 715円
福岡 765円
【23円改定】 香川 742円
【21円改定】
青森 716円 秋田 716円 岩手 716円
山形 717円 福島 726円 愛媛 717円
徳島 716円 島根 718円 長崎 715円
佐賀 715円 熊本 715円 大分 715円
宮崎 714円 鹿児島715円 沖縄 714円



〈情報提供 ゆりかご倶楽部〉

 

2016年11月29日

富裕層調査の強化 提供:エヌピー通信社

 一定以上の資産を持つ富裕層に特化して海外資産の把握や税務調査を行う「富裕層プロジェクトチーム」を、国税当局は全国に拡大するようです。現在は富裕層が多く住む東京・大阪・名古屋の3国税局にしか設置されていませんが、来年7月からは全国の国税局への設置を検討しているとのことです。

 IT化や国際取引の多様化によって富裕層の資産状態の把握が難しくなっていることを受け、国税当局は一昨年、東京・大阪・名古屋の各国税局に、「重点管理富裕層プロジェクトチーム」を設置しました。富裕層の国外も含めた資産状態や移転手法の実態などの情報を集約するもので、対象となるのはおおよそ保有する金融資産が1億円以上の納税者と言われ、本人のみならず関係者や主宰法人、関連法人など、プロジェクトチームのターゲットは広く設定されています。

 10月に国税庁が発表した「国際戦略トータルプラン」によれば、国税当局は、来年7月に始まる事務年度からプロジェクトチームを全国的に実施する方向で検討を進めています。さらにチーム以外にも、複雑・高度化するさまざまな節税金融商品の解析のため、弁護士や金融機関出身者などの専門家の採用を進めるほか、国際課税に関する対応策の検討、指導や監督など、国際課税分野の〝司令塔〟の役割を担う「国税庁国際課税企画官」なる新設ポストの導入を求めているそうです。

 タックス・ヘイブン(租税回避地)を利用していた顧客のリスト「パナマ文書」の流出などにより、海外に財産を移して税逃れを図る富裕層への視線は国際的に厳しくなる一方です。日本の国税当局も、各国との情報交換制度を推し進めるなど、あらゆる面から富裕層の動向を監視する傾向を強めています。

 


<情報提供:エヌピー通信社>

2016年11月21日

タワーマンション節税、ついに規制 提供:エヌピー通信社

 政府は平成29年度税制改正大綱に、高層マンションの上層階の固定資産税額引き上げを盛り込む方針を固めました。固定資産税評価額と実勢価格の開きを利用した「タワマン節税」に、とうとう課税強化の網がかけられることとなります。

 マンションの固定資産税には「階層」という概念はなく、1階であろうと50階であろうと、同じ面積には同じ税額がかかっています。検討している新たな計算方法は、高層階ほど重負担に、低層階ほど軽負担にするというもの。おおよそ20階を境界線とし、それより上の階であれば固定資産評価額が現在より高くなるそうです。具体的な算定方法などは今後詰めるため、どの階層からどの程度税負担が増えるのかは未確定。政府は年末までに骨格を固めて税制改正大綱に盛り込み、早ければ再来年から新制度を開始する方針だとしています。

 今回の改正の目的は「実売価格と固定資産税評価額のギャップ」の解消です。50階以上あるようなタワーマンションでは、低層階との価格差が1億円以上開くことも珍しくないため、資産価値に差があるのに固定資産税が同一なのは不公平だという声が挙がっているというのが、与党の説明する見直しの理由です。
 さらに、近年富裕層の間で行われてきた相続税対策の手法である「タワマン節税」が狙い撃ちされることになります。

 不動産を相続財産として評価する際には、固定資産税評価額が算定基礎として用いられます。つまり階数やカド部屋といった要素は考慮されません。先述したように、マンションの分譲区画の固定資産税評価額は階数にかかわらず同一。それに対し、実際の取引価格は高層階ほど高くなる傾向があります。タワマン節税はその差を利用して、相続税負担を抑えるスキームです。

 


<情報提供:エヌピー通信社>

2016年11月18日

会社設立の手続き

 先日、日本経済新聞の紙面でマイナンバーを活用し法人設立手続き(登記、社会保険、税務設立届け)を一元化するような記事が出ていました。詳細は不明ですが、要は管轄の異なる官庁で情報の共有化をし、社会保険の未加入をなくすという国側の都合のように感じます。

 

創業で重要なのは手続きではなくビジネスプランの構築、綿密な準備ですので、創業者にはあまりメリットない話だと思うのと、社会保険の新規適用の業務(社会保険労務士業務)がなくなるのかな、と思います。

 

設立時の税務届けについては、納税者の個別事情により手続きが変わることもありますので、たぶん設立届けが自動で税務署にいくくらいの話からだと思います。

 

2016年10月26日

人格のない社団、民法上の組合

 法人税法第3条、第4条では「人格のない社団、財団」も法人とみなして(収益事業に対して)法人税を課すると定められています。今回は、この人格のない社団とはどんなものなのか、民法上の組合と比較して考えてみます。

 

 法人税基本通達1-1-1では人格のない社団とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意志の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、民法第667条(組合契約)の規定による組合、商法第535条(匿名組合契約)の規定による匿名組合は含まれないと定義しています。

 

私法上のいわゆる権利能力のない社団・財団がこれに該当しますが、判例(昭和39年10月15日最高判)では

①共同の目的のために結集した人的結合体であって、

②団体としての組織を備え、

③そこには多数決の原則が行われ、

④構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、

⑤その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定している

ものをいうとされています。税法上もこの考え方が採用されています。(法人税基本通達逐条解説 税務研究会出版 七訂版より)

 

一方の民法第667条(組合契約)の規定による組合(いわゆる民法上の組合)は一種の契約関係とされ団体としての組織の性格は有しません。建設会社等が出資し合って大規模工事を行うJV(ジョイントベンチャー)等がよく例示されます。

民法上の組合が収益を得た場合には法人税が課税されず、その収益の分配を受けた組合員が各々課税されることとなります。これをパススルー課税といいます。

 

同業者の任意の組合は原則として民法上の組合に該当します。

上記原則として、、という事は例外がありますが、それは上記判例に示された①~⑤の要件を満たすような組合で「団体としての組織」の性格が強いものは、人格のない社団として収益事業課税されることとなります。

 

 

2016年10月23日

固定資産税の過徴収に注意。 提供:エヌピー通信社

 固定資産税の過徴収が全国で次々と明らかになっています。2年前に過徴収によって自宅まで差し押さえられたケースが判明したことから問題となり、総務省が全国の自治体に実態を確認するよう異例の通知を出すに至りましたが、今もなお多くの自治体で過徴収が見つかっています。いまだに判明していない固定資産税の過徴収は、全国に多く潜んでいるものと思われます。

 長野県原村は9月2日、村内の別荘地にかかる固定資産税に計算ミスが見つかり、平成17年から23年でのべ103件、計約2521万円を過徴収していたと発表しました。コンピューターに入力をする際に操作を誤り、それ以来誤ったまま毎年税額を計算していたそうです。全額を返還する方針で、10年分の利息など還付にかかる費用を含めて3千万円の補正予算を計上するとしています。

 高知県四万十市は同月6日、市内の8事業所から20年間にわたり計約1900万円の固定資産税を過徴収していたことを明らかにしました。利息分を加えた返還費用は約3400万円にも上ります。市によれば20年以上過徴収していた可能性も否定できないものの、地方税法や条例によって返還できるのは過去20年までと発表しました。過徴収があまりに長期間にわたるため、過去分について納税者が泣き寝入りせざるを得ない事例は全国で発生しています。

 さらに新潟県南魚沼市でも、今月に入って市内の土地1カ所に39年間の過徴収が発覚した。本来適用されるはずだった住宅用地の減額特例が反映されなかったそうです。地方税法に基づき5年分、さらに市の過誤納金補填金支払要項に基づき10年分の計約1120万円を返還しましたが、残り24年分についての補償はなく、納税者は2千万円以上を「タダ取り」される形となりました。


<情報提供:エヌピー通信社>

 

 

 

2016年10月14日

上場株式の評価を時価の90%に(金融庁要望) 提供:エヌピー通信社

 金融庁は上場株式の相続評価につき、相続してからの価格変動リスクを考慮して、相続時の時価の90%程度に割り引いて評価するべきと、平成29年度の税制改正要望で求めました。不動産など他の資産と比べて不利になっている現状を解消して、株式投資への資産の流れを促したい考えです。  

 

現行制度では、上場株式は原則として相続時点の時価で評価されています。一方で、土地は公示地価の80%程度、建物は建築費の50~70%程度が相続税の評価額。実際の取引価格にばらつきがあり、路線価などの算出頻度も少ないことから、価格変動リスクがあると判断されているためです。  

 

ただ、上場株式も、相続時から遺産分割協議などを経るまでの一定期間譲渡できないのにもかかわらず、市場の急激な変動で価格変動リスクにさらされるケースも多くあります。  

 

相対的に株式の相続税負担が重いため、世間には上場株式を売って不動産を購入するなどの事例もあり「投資家の株式離れが助長されている」という声が出ています。政府が「貯蓄から投資」への流れを政策対応で加速するなかで、税制面でも環境を整えて上場株式への投資を増やしたい考えです。  

 

なお、金融庁は28年度税制改正要望でも上場株式の評価額を時価の70%まで下げるよう求めたが導入を見送られた経緯があります。同庁は引き下げ幅を圧縮して理解を得たい考えですが、年末の税制改正大綱の策定に向けてはなお曲折がありそうです。


<情報提供:エヌピー通信社>

 

2016年10月13日

空き家バンク

 高石市が実施してます「空き家バンク制度」についてです。相続で親が住んでいた家を取得したが、使い道がない、売ろうにも買い手がない、空き家になると固定資産税も高くなる・・と社会問題ともなりつつある空き家問題。それを解決すべく、行政(市役所)が空き家の登録と情報提供、さらには補助金(最高60万円)まで出すという制度です。

 

大阪府にも「大阪の空き家 相談・情報サイト」という制度のポータルサイトがありまして、そこで他市町村の同様の制度をざっと見たところ、高石市の「空き家バンク制度」は市町村の規模の割にまだ充実している様に思いました。昭和40年代、50年代築の一軒家、平成築の比較的新しいマンションの売り物件の他、一軒家の賃貸物件も登録されていました。

 

平成28年税制改正では「相続した空き家を売った場合の譲渡所得の3000万円特別控除」も創設されましたが、いずれにしても買う側は、古い空き家はリフォームして使えるものなのか、取り壊して土地として利用価値があるのか、その費用対効果は、、をシビアに判断しなければいけませんね。すぐ売れずに空き家バンクに登録された物件が多いのだと思いますので、YAHOO不動産等の中古物件と比較し、まず中古相場を自分自身で把握するのも大事ですね。

 

2016年10月01日

中小企業の実効税率

 実効税率とは、法人の利益(課税所得)に対して課される税金(法人税・事業税・法人住民税)の割合のことです。政治のニュース等では実効税率を20%台(29.97%)に引き下げると言わていますが、あれは資本金1億円超の大法人のことで中小法人(資本金1億円以下)では、実効税率は既に20%台です。

 

平成28年9月末申告の中小法人(課税所得800万円以下、和泉市に所在する会社)の場合、実行税率は21.355%となります。高石市の会社だと20.995%となります。なお、法人税、事業税は段階税率になっている為、課税所得800万円超の部分については37.1511%(和泉市の会社)36.5775%(高石市の会社)となります。

 

法人が一事業年度で得た利益のうち約21%を税金として社外流出、残り約79%が社内留保として残ることになります。しかし、法人の日々の営業活動で現金預金が入金・出金されていますので当然、決算書の税引き後当期純利益(社内留保)が期末に残っているわけでありません。政治家(財務大臣までも)がよく「企業は内部留保を吐き出せ」と言っています。あれは複式簿記の仕組みを知らないとも思われる不十分な発言だとニュースを見てていつも思います。

 

2016年09月29日

ふるさと納税のお礼品(2016年)

 今朝のワイドショーで鹿児島の志布志市のふるさと納税PR映像がふさわしくないとの非難がされていました。志布志市は大阪南港からフェリーが出ている為、私は2回訪れたことがあります。大隅半島の付け根に位置する港町で南九州の旅の拠点?となるところです。ここがウナギの養殖日本一とは知りませんでした。そこで、ふるさと納税の2016年版ふるさとチョイスガイドブックが事務所に届いてたこともあり、今年のふるさと納税のお礼品を少し見てみました。

 

寄付を1万円するとして、私が欲しいなあと思った品は以下の通りです。

 

・噂の志布志市 ウナギではなく 自宅でお手軽、黒豚三昧丼5食セット

・茨城県 境町 常陸牛80g×2枚 (A4,A5ランク)

・大分県 佐伯市 輝きパールペンダント(佐伯市は真珠の名産地。寄付額は12,000円)

・山形県 上山(かみのやま)市 かみのやま宿泊券5,000円分(上山市は開湯550年を超えるかみのやま温泉があるらしい)

・高知県 四万十町 コロンブスの産みたて茶卵 6個×5パック(寄付額5千円、弾力のありそうな卵)

・石川県 輪島市 ズワイガニ(ボイル。1万円、3万円、5万円寄付コースがあり寄付金額に応じてサイズが変わる)

 

他にもたくさん魅力的な品(市町村)があると思いますが、今回はふるさとチョイスガイドブックをざっと見てたまたま目に留まったものをピックアップしました。でも、お礼品をもらうだけでなく、ふるさと納税を通じて寄付した市町村のことを知り、親しみが出来、訪れることに繋がれば本来の目的に近づくのではないかと思います。私は失礼ながら、かみのやま市を知りませんでしたので今からネットで調べてみます。

 

2016年09月27日

平成29年度税制改正について税理士からの要望

 平成28年8月、日本税理士会連合会、日本税理士政治連盟から平成29年度税制改正に関する要望が出ました。

最重要項目は以下の通りです。

 

〇平成29年度最重要建議・要望項目
1.【災害対応税制】「災害税制に関する基本法」を立法化について
2.【中小法人税制】①事業税の外形標準課税は中小法人には適用しないこと。②欠損金の控除限度額の縮減は中小法人には適用しないこと。
3.【消費税】事業者の事務負担と徴税コスト等を考慮し消費税制のあり方について検討すること。
4.【相続税・贈与税】取引相場のない株式等の評価の適正化を図ること。

 

平成29年度要望ではやはり、延期になった消費税増税と複数税率導入についてのあり方(上記3.の要望)が最大の要望だと思います。日本税理士会連合会、日本税理士政治連盟は当初から単一税率制度の維持を強く主張しています。これは中小事業者の事務負担増大だけでなく、低所得者対策としては非効率(あまり意味ない)との理由からです。平成33年4月から導入予定のインボイス制度では事務負担が著しく増大することから事業者の活力さえ失わせることが予想されています。また免税事業者の市場からの排除も懸念されており、それに対する措置、制度見直しが必要だという要望です。

 

中小零細企業は事務、経理部門に充てる資金が限られており、社長自らが経理事務をすることもよくあります。その経理事務に充てられた時間は生産・販売・サービスの提供・営業活動に使えないわけですから、可能な限り簡素な制度でなければなりません。

 

我々税理士は公認会計士とは異なり、日本の企業数の99.7%を占める中小企業及び一般納税者の税務支援が最大の使命でありますので、毎年政府に対して出す「税制改正に関する要望」もその支援対象の立場から要望を出しています。政治家は選挙のとき以外は中小企業に対して関心を持とうとしません(その様に感じる)が、従業員数でも約7割を占める中小企業こそ国の根幹をなす機関なのです。ですので、中小企業実務の中にいる税理士からの要望は最も尊重されるべきものだと思います。

 

 

2016年09月04日

工事進行基準(任意適用)

 法人税法上、工事の請負に係る収益(益金)の認識基準は原則、その工事の目的物の引渡日の属する事業年度となります(法基通2-1-5)。また前回記事の通り、長期大規模工事については工事進行基準が強制適用となりますが、長期大規模工事に該当しない工事についても法人が工事進行基準の方法により経理したときは、工事進行基準が適用されます。

 

工事期間が1年未満のものでも事業年度をまたがる工事であるならばその適用があり、損失が生ずると見込まれる工事についても適用が出来ることとなっています。(平成20年改正より)

なお、損失が見込まれる工事について「工事損失引当金」の引当ての方法により経理することは工事進行基準の方法により経理したことには該当しません。

 

2016年08月23日

工事進行基準(強制適用)

 法人税法上、工事の請負に係る収益(益金)の認識基準は原則、その工事の目的物の引渡日の属する事業年度となります(法基通2-1-5)。

しかし工事には事業年度をまたぐ長期のものもあり、次の3つの要件を満たすものは長期大規模工事として、例外として工事の進ちょく度合い(工事進行割合)に応じて収益(益金)及び費用(損金)を計上する(工事進行基準)こととされています(法法64①)

①その着手の日からその工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が1年以上であること。

②その請負の対価の額が10億円以上であること。

③その工事に係る契約において、その請負の対価の額の1/2以上がその工事の目的物の引渡しの期日から1年を経過する日以後に支払われることが定められていないものであること。

 

なお、長期大規模工事に該当するものであっても、その事業年度終了の時においてその着手の日から6月を経過していないもの、又は工事進行割合が20/100未満であるものは、工事進行基準により収益(益金)及び費用(損金)を計上しなくてもよいこととされています。

 

2016年08月21日

連年贈与と定期金

◆「暦年贈与サポートサービス」の照会事例
 国税庁のホームページには、「事前照会に対する文書回答事例」が公表されていますが、平成28年3月に気になる照会事例が掲載されました。ある金融機関が照会した「暦年贈与サポートサービスを利用した場合の相続税法第24条の該当性について」というものです(東京国税局回答)。
 この「暦年贈与サポートサービス」とは、その金融機関の預金口座を有する3親等以内の親族関係にある複数の個人を対象として、その個人間の「贈与の意思及び贈与金額の確認」を行い、「双方合意が存する場合」に限り、「贈与契約書の作成」や「預金の振替」等をサポートするサービスなのだそうです。このサービスに基づく贈与は、相続税法の「定期金給付契約に関する権利」に該当するのかというのが照会の内容でした。

◆「定期金給付契約に関する権利」とは
 「定期金給付契約に関する権利」とは聞き慣れない言葉ですが、いわゆる「年金受給権」を指します。たとえば、AがBに対して5年間現金100万円ずつ贈与する場合、これを「その1年ごとに個別に100万円ずつ贈与する」と見ることができれば、各年で110万円の基礎控除が適用できますので、贈与税は課税されません。ただ、当初より5年間(毎年)現金100万円ずつを贈与するつもりであるならば、これは5年分の「定期金(年金)を受給する権利」を取得したと認定され、一時に贈与税が課税される恐れがあります。この場合に、贈与を受けたものとみなされる金額は、次の①~③のいずれか多い金額とされています。
(有期定期金の場合)
① 解約返戻金の額
② ①に代えて一時金を受けることができる場合…一時金
③ 1年間で受けるべき金額×残存期間に応じる予定利率の複利年金現価率

◆「直ち」には定期金給付契約と認定せず
 そのため、現金の「連年贈与」を行う場合と同様に、このサービスが「定期金給付契約に関する権利」に当たる余地があるか心配だ…ということなのです。東京国税局の回答は、このサービスを用いた場合には、贈与の都度の確認があるため、「直ちに」は定期金給付契約とは認定しないとのことのようです(契約の内容や個別の状況などで判断する余地はあるのでしょうかね…)。

 

<情報提供:ゆりかご倶楽部>

 

2016年08月11日

固定資産税の誤徴収相次ぐ 提供:エヌピー通信社

 島根県津和野町が住民85人の固定資産税につき、平成18年から10年にわたって過大に徴収していたことが明らかになりました。税額計算の基礎となる地価の下落が反映されていなかったことが原因で、過徴収の総額は約340万円になるそうです。

 町によれば、今年4月に住民の相続手続きを請け負った税理士が評価額の異常に気付き、「高過ぎるのではないか」と指摘して発覚したとのこと。同町は17年に旧津和野町と日原町が合併していて、その際のシステム移行で、一部の課税項目に地価の変動が反映されないよう設定されてしまったことが原因。町は規定に従い、過徴収した340万円と還付加算金20万円の全額を返却する方針です。

 また佐賀県杵島郡白石町でも町内のアパート2棟の固定資産税を14年間、計約75万円多く徴収していたことが分かりました。アパートの所有者からの指摘で発覚しています。

 津和野町のケースでは全額が納税者に返還されますが、多くの自治体では過徴収に対する返還に時効を定めており、行政のミスで多く取られた税金が納税者の元に返ってこないことも多い状況です。また返却にかかる還付加算金の原資も税金であることから、二重の税金のムダ遣いとも言えます。

 固定資産税は自治体が計算した税額が納税者に通知され、それを納める「賦課課税方式」を採っています。ともすれば書かれている税額をそのまま信じて納付してしまいがちですが、全国で過徴収が一向に減らないことや、納めてしまった税金は戻ってこない可能性があることを踏まえ、一度は税額の自主確認を行っておきたいところです。

 


<情報提供:エヌピー通信社>

2016年08月09日

8年ぶりに路線価上昇 提供:エヌピー通信社

 国税庁が今年分の路線価を公表しました。全国平均は前年分を0.2%上回り、リーマン・ショック以降続いていた下落傾向が8年ぶりに上昇に転じました。

海外観光客の増加を受けたインバウンド消費が地方にも波及したことが背景にあるとみられ、北海道や広島など全国14の都道府県が前年を上回っています。 

 

路線価は、国税庁が1年に1度、7月1日に公表している、毎年1月1日を評価時点として一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価するもの。国土交通省の発表する「公示地価」の8割程度の価額が目安とされ、今年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で受け取った土地に、今回発表された路線価を基にした税額が適用されます。路線価の上昇は、土地所有者の税負担増を意味しているとも言えます。 

16年分で路線価が全国で最も高いのは、31年連続で「東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(鳩居堂前)」でした。前年から18.7%上昇し、1平方メートル当たり3200万円となります。これに続く第2位は、大阪駅前の阪急うめだ本店。昨年の上昇率10.1%をさらに上回る22.1%の上昇となりました。いずれも過去最高額を記録したバブル末期の平成4年の9割に迫る勢いで、インバウンド需要やマイナス金利などが影響したとみられます。 

インバウンド需要の好影響は地方にも波及しています。海外からのスキー観光客ににぎわう北海道のニセコリゾートのある倶知安町では、前年比50%上昇を達成しました。 

 

しかし14都道府県が上昇する一方で、33県では下落幅は徐々に縮小してはいるものの下落が続きます。全国ワーストの秋田では前年比3.9%の下落を見せ、ピークだったバブル末期と比べると最高路線価は10分の1ほど。8年ぶりの全国平均プラスは東京など一部の地価高騰が数字を引き上げた感も否めず、行き詰まりを見せる安倍政権の地方創生戦略は正念場を迎えているといえそうです。


<情報提供:エヌピー通信社>

 

2016年08月01日

固定資産税での設備投資減税スタート 提供:エヌピー通信社

 中小企業が新たに取得した機械装置の固定資産税を3年間半額にする特例などを盛り込んだ中小企業等経営強化法が7月1日に施行されました。固定資産税の設備投資減税は史上初です。平成30年度末までの期限付き措置となっています。

 新特例は、中小企業が新たに取得する、金属加工機械など160万円以上の新品の機械装置を対象にしたもの。導入によって生産性が1%以上高まること、また生産性を高める取り組みとして設備投資や人材育成、経営手法の改善などを盛り込んだ経営力向上計画を作成し、国の認定を受けることを要件に、投資年度から3年間、固定資産税が半額になります。従来の設備投資減税は法人税の軽減措置であるため、法人税を納める必要がある黒字企業にしか効果がなかったのですが、新特例は赤字の中小企業にとっても効果があることが特徴です。

 経営力向上のための取り組みの例としては、製造業者が工作機械の購入に併せて従業員の多能化を進め、一人で管理できる工作機械を増やして収益性を上げるケースなどが考えられます。

 さらに固定資産税以外にも、経営力向上計画を作成して国の認定を受けた中小企業は、金融面でも優遇があります。政策金融機関で通常よりも低利率の融資が受けられるほか、民間金融機関からの融資を受けるときの信用保証、債務保証などが得られます。申請から認定までは最大1カ月程度の時間がかかることを踏まえ、計画的な設備投資や計画作成を心掛けたいところです。

 

<情報提供:エヌピー通信社>

 

2016年07月27日

創業セミナー終了しました。

 7/21.22の二日間、高石商工会議所での創業セミナーが無事終了しました。

1日目は理論編ということで、各専門家が少しずつお話するカリキュラムでした。私は創業時の税務で持ち時間が30分、もっと数字を使って2時間くらいはお話したいところで不完全燃焼に思いました。

 

2日目はSWOT分析をもちいた創業時の経営改善を受講者の皆さんにしていただきました。創業セミナーでするのはどうかな、、と心配していましたが、想定以上に皆さんからご意見・アイデアが出て、よかったです。

実務ではSWOT分析は既存事業の経営改善に使用される事が多いのですが、むしろ創業時のビジネスプラン策定に使用するほうが、リスク回避に役立ち、意義あるのではと思いました。

 

ありがとうございます(^-^)

 

2016年07月23日

支出がなくても認められる必要経費(の特例)

 所得税法には、所得計算にあたって数多くの特例があります。その中の一つに「家内労働者等の必要経費の特例」があります。

◆必要経費の特例
 事業所得又は雑所得の金額は、原則、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算しますが、家内労働者等に該当した場合には、実際にかかった経費の額が65万円未満であっても、必要経費として65万円まで認めるものです。もちろん、実額経費が多い場合は実額が使えます。
 この特例は、昭和63年に創設されたもので、その趣旨は、同じ労働を対価とする収入であっても、パート等の勤務者には最低でも給与所得控除65万円の適用がある一方、雇用関係のない家内労働者等にあっては適用がない、これでは課税の公平の観点から平仄を欠く、でした。

◆家内労働者等の範囲
 条文を要約すると、①家内労働法に規定する家内労働者や②外交員、③集金人、④電力量計の検針人のほか、⑤特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者、がその対象者です。
 では、具体的にどういう人や仕事が対象になるかです。①の家内労働者ですが、いわゆる「内職さん」、今日的には「在宅ワーカーさん(在宅勤務ではない)」がこれに該当します。②、③、④は問題ないと思いますが、少しわかりにくいのが⑤です。ここでのキーワードは、「特定の者」、「継続的」、「人的役務の提供」です。
 したがって、不特定多数の人を対象としたサービスの提供は対象外となりますが、特定の者については、サービスの提供者が特定されていればよく、その提供先が複数であってもよいことになっています。概ね、次のような人が該当するものとして取り扱われています。
 乳酸菌飲料の訪問販売員(ヤクルトレディー等)、成年後見人等、専属モデル、シルバー人材センターの登録会員、特定の会社から翻訳等の仕事を請けている人です。

◆適用にあたっての留意点
 給与等の収入金額が65万円以上あるときは、この特例は適用できません。
 また、公的年金以外の生命保険契約に基づく雑所得等がある場合も、そこで計上した必要経費が65万円を超えていればこの特例は適用できません。

 

<情報提供:ゆりかご倶楽部>

 

2016年07月18日

H28年度路線価

 7/1国税庁より路線価が公表されました。路線価は平成28年1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用されるもので、その評価の安定性を確保するため公示価格の80%を目安として毎年設定されます。

 

弊事務所の前の道路(北助松駅前商店街通り)にももちろん路線価が付けられていて、H28年100千円/㎡、H27年99千円、H25年98千円、H23年100千円と5年間あまり変動していません。

サンドラッグさん前信号から駅を越えて旧26号線までの区間は、商業立地としての価値が上がり1万円ほど高く設定されています。

 

2016年07月15日

遺言書と遺産分割

◆年々増える遺言作成件数 相続・遺言に対する関心は年々高まっており、平成26年1月~12月に全国の公証役場で作成された遺言(公正証書遺言)は10年前から約4万件も増加し、ついに10万件を超えました。家庭裁判所で扱われた遺産分割事件も同様に増加傾向にあり、こうした背景も影響していることがうかがえます。故人の遺志をできるかぎり尊重したいものですが、遺言を書いたときと相続時では家族の状況が変わってしまうということもあります。では、遺言の内容と異なる遺産の分割をすることは可能なのでしょうか。

 

◆遺言と違う遺産分割は可能? 相続人の間で遺産分割の方法を話し合うことを遺産分割協議と言い、その結果を書面にしたものが遺産分割協議書です。 判例では、①遺言によって遺産分割協議が禁止されている場合、②遺言執行者が選任されている場合を除き、遺言と異なる内容の遺産分割協議をすることは事実上認められています。実際、遺言と異なる遺産分割の方法を協議することは珍しくありません。 しかし、だからと言って全て遺産分割協議書が遺言に優先する、という意味ではありません。遺言の内容によっては注意が必要です。

 

◆遺産分割の方法が指定された遺言 過去、最高裁では、特定の財産を特定の相続人に相続させる内容の遺言の場合、遺言者の死亡によって、財産は直ちに確定的に相続人に帰属するとした判決が行われました(平成3年4月19日最高裁判決)。「特定の財産を特定の人に相続させる内容」とは、たとえば「長男○○に埼玉県××の土地を相続させる」というのがこれにあたります。この場合、その後に行った遺産分割は本来の意味での「遺産分割」ではなく、相続人間の取引として財産が移転するものとされています。その結果、不動産の相続登記を行う際、遺産分割協議の結果をすぐさま登記できず、まずは「遺言に基づく登記」をした後、「相続人間の取引の登記」の二段階で申 請しなければならないなど、相続事務に支障をきたすことがあります。こうなると手続き費用も手間も二重にかかってしまいますので、注意が必要です。


<情報提供:ゆりかご倶楽部>

 

2016年07月08日

民法改正案(配偶者相続分)

 6/21、政府の法制審議会の民法部会にて民法上の配偶者の相続分(相続人が配偶者と子供の場合)を現行の1/2から2/3に引き上げる案がまとまったようです。

 

婚姻期間が20年または30年以上等の条件が入るようですが、これが決まると相続税法の配偶者の税額軽減も拡大されることが予想され、配偶者のいる相続は納税者有利となりますが、自宅とその敷地が遺産の大半を占めるような相続については遺産分割に骨を折ることとなりそうです。配偶者受取人の生命保険も代償分割に役立ちそうです。

 

平成29年中に国会提出を目指しているようです。

 

2016年06月22日

名義財産

 相続の際の名義財産、贈与の認定の局面において「真正の所有者」は誰なのかが問題となる場合があります。形式と実質から総合的に判断することになりますが、下記コラム4つ目の車両の裁決例は実質が正しく判断された裁決例だと思います。

 

◆名義人課税が原則という見解
 不動産、株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする。
 これは、贈与に関する税務通達です。

◆名義借りゆえに贈与課税しない場合
 原則は名義人課税だけれど、必ずしも杓子定規にはしません、という次のような取扱通達もあります。
1.これらの財産の名義人となった者(その者が未成年者である場合には、その法定代理人を含む。)がその名義人となっている事実を知らなかったこと。
2.名義人となった者がこれらの財産を使用収益していないこと。

◆名義借り財産は相続財産
 贈与は合意により成立する契約によって財産移動が起きるので、合意形成のない場合は、名義者への所有権移動が起きず、名義借り財産は、名義を借りた者の所有財産のままです。
 相続財産とされる名義預金(未成年者の子への親からの資金移動は親権者の行為なので通常は名義借り預金とはならない)などは、その代表例です。
 その他、名義土地や名義株式、名義車両船舶などというものも存在し得ることになります。

◆名義借り車両という裁決判断
 親が子供の名前で自動車を購入して、使用していたので、子供に対して課税庁が贈与課税をしたケースにおいて、名義の借用をさせただけで贈与の意思も事実もなく、課税される謂れはないと主張して係争になった事例があります。
 審判所は、①車両の有利購入条件を満たすための名義借り購入であり、②下取り車両も親のもので、本体代金も親が支払い、③子は購入時の車種選定に関与しておらず、④購入車両は親の自宅で保管され、名義貸しの子は日常的に本件車両を使用しておらず、⑤利用もしない者に対して車両を贈与するとは考え難く、⑥贈与の事実を疑わせる事情がある、として処分取消としました。
 また、係争中に親は、本件車両を売却して同売却代金を受領し、新たな車両を購入しており、これは正に所有者らしい振る舞いだ、と評しています。

 

<情報提供:ゆりかご倶楽部>

 

2016年06月06日

ふるさと納税景品に自粛ムード 提供:エヌピー通信社

 任意の自治体に寄付することで住んでいる土地に納める税金で優遇を受けられる「ふるさと納税」制度をめぐり、寄付者に贈る返礼品を見直す動きが一部自治体で出ています。豪華な返礼品が制度の普及をこれまでけん引してきましたが、過熱する自治体間の「寄付集め競争」に総務省が待ったをかけたためです。

 総務省は全国の自治体に対して豪華な返礼品を自粛するよう要請する通知を出しました。通知では10品目余りを列挙し、寄付金制度にふさわしくないものとして返礼品にすることを控えるよう呼び掛けています。具体的には「金銭に類似するもの」としてプリペイドカード、商品券、電子マネー、ポイントマイル、通信料金など、「資産価値のあるもの」として家電、パソコンなどの電子機器、貴金属、自転車、ゴルフ用品などが挙げられているそうです。

 宮崎・都城市では、それまで返礼品としていたゴルフクラブを今年4月以降ラインナップから外しました。市内の工場で生産していることから「特産品」として用意し、人気も高かったそうですが、総務省の通知を受けて取りやめることとなったとのことです。

 同省が返礼品の高額化をとがめる内容の通知を出したのはこれが初めてではありません。制度が周知されるにつれ、土地や買い物に使えるポイントなど換金性の高いものを返礼品にする自治体が登場したことを受け、複数回にわたって自治体に対して自粛を求めてきました。しかし返礼品競争がエスカレートし続けていることから、今回改めて具体的な品目を指定しての要請に至ったのです。


<情報提供:エヌピー通信社>

 

2016年06月03日

不動産権利証の紛失について

 この度、舛行税理士事務所がエッサム主催のゆりかご倶楽部に入会し、情報配信を受けること(及び当ホームページに引用)が可能となりました。このブログにも面白い記事をご紹介していこうと思います。ご参考にどうぞ。


《コラム》不動産の権利証 紛失で相談窓口

 過日、法務省は、熊本県を中心に相次ぐ地震で家屋などが倒壊し、不動産の権利証を紛失した場合の相談窓口を設けた、との新聞報道がありました。
 その内容はこうです。
 権利証を紛失しただけで所有権を失うことはない。登記には印鑑証明書などの本人確認資料も必要で、不正な登記がされる可能性は低い。不正登記の予防のため、申出をしておけば他人から登記申請があった場合に通知を受け取れる「不正登記防止申出制度」の利用を求める。

◆権利証の本質
 権利証(法令上は「登記済証」又は「登記識別情報」)は、不動産の権利(所有権)を持っていることを証明するものですが、手形や小切手などの有価証券と違って、権利証の中に権利そのものが付着しているわけではありませんので、それだけで権利が転々と流通することはありません。
 法務省の言う通り、本人なりすまし等で売買できる場合の条件は極々限られています。家の中に、「権利証」、「印鑑カード」、「カードの暗証番号」、「実印」がセットで置いてあって、それが盗難に遭い、本人なりすまし等の売主が出現したとしても、即一括現金決済に応じた買主が所有権移転登記の安全性を憂慮し、登記申請を司法書士に依頼、司法書士が売主の本人確認を厳重に行った場合には、やはり、なりすまし等の売買は難しいように思います。

◆注意喚起は買主側にも
 注意喚起は、権利証を紛失した人のみならず、買主が大きなリスクを負う場合もありますので、買主側にも必要ではないかと思います。
 というのも、このような本人なりすまし等の売買は偽装であり、有効な法律行為でないため、結果、登記も無効であることから、買主は善意の第三者であったとしても、真の所有者から権利の返還を求められれば、登記を戻さなければなりません。真の所有者は、訴訟費用と時間は掛かりますが、最終的に権利は戻ってきます。
 一方、買主は、本人なりすまし等の売主に対して損害賠償の請求はできますが、まず、売買代金が戻ってくることはないでしょう。
 以上のことから、買主側にも注意喚起(売主の本人確認は厳重に!)が必要かと思います。


(ゆりかご倶楽部5/31コラムより)


2016年06月02日

創業セミナー(7/21.22)

 7/21.7/22(いずれも18時~20時30分)高石商工会議所にて創業セミナーの講師をします。

今回の創業セミナーの特徴はSWOT分析をし、創業計画(ビジネスプラン策定まで)をグループワークでしてみよう、、という点であります。

 

SWOT分析については、舛行税理士事務所のツールを使用する予定ですが、弊事務所ではこれは経営改善計画策定のためのツールです。これを創業時に使用することで、より成功確率の高い創業計画を策定しようとするのが今回の試みです。

 

詳しい日程等は以下のURLをご覧くださいませ。

https://www.kinki.cci.or.jp/kentei/apply.php?seq=7967

2016年05月30日

消費税延期

 28日夜、安倍首相が消費税10%へ引き上げの延期(平成31年10月まで)の意向を党内へ伝えたようです。(よかった(^-^))

これにより野党はアベノミクスの失敗と批判をするようですが、首相としては市場動向を見ての経済政策の一環ですので、まだアベノミクスの失敗ではありません。党内、国外の延期反対の声をおさえて延期したことは一定の評価が出来ると思います。

ただし、経済政策だけでなく、財政政策(改革)も急速に進めるべきであって、民主党が以前実施した「仕分け」のようなパフォーマンスではなく、強力なトップダウン方式でなければ進まないと思います。橋本さんは大阪府の収支をたしか1年くらいで黒字にしたように思います。

 

うちの事務所にも政府の経済センサス(活動調査アンケート)が届きましたが、これにも相当な税金が投入されているのが分かります、こういうのももっとインターネットでの回答促進が出来るはずですね。

 

2016年05月29日

消費税増税の動向

 平成29年4月に消費税及び地方消費税が10%に増税されることは既に決定されたことですが、熊本での大震災発生と夏の選挙の為、その増税延期が自民党で検討されているようです。サミット後に結論が出るような報道もされています。

 

また、軽減税率の実施についても明らかに議論が不足しているように思います、こちらについてもこれを機に実施方法や実施時期を再度議論をしてほしいと願います。現状では見切り発車になり中小企業実務の混乱は必至だと思います。

 

2016年05月19日

公示価格

 不動産価格の公表価格のうち、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に発表する「公示価格」をとりあげます。


公示価格は国土交通省のホームページでも見れますが、「地価公示・地価調査(基準地価)マップ」というサイト(大分市の㈲ライフ・エモーションというIT関連の会社が運営)があり、とても便利ですので紹介します。http://chika.m47.jp/


そのサイトを参考にし、今回は大阪府の公示価格を少し見ていきます。
2016年の大阪府1670地点の平均金額は(住宅地)142,009円(商業地)633,547円(工業地)105,444円。(その年の1/1の1㎡当たりの価格)
前年との比較では、(住宅地)上昇地点245下落地点560(商業地)上昇地点212下落地点45(工業地)上昇地点27下落地点38。


2012年からの市町村別の公示価格推移をざっと見ますと、天王寺区、浪速区、阿倍野区、中央区あたりが上昇傾向です。これらは市内の再開発地域ですね。
対して千早赤阪村、河南町、能勢町、豊能町あたりの市内から離れた地域は下落傾向にあります。

 

都市部のうち再開発地域が地価上昇、都市部から離れた地域が地価下落というのが、近年の大阪府の地価の動きといえます。

 

2016年05月06日

高石商工会議所

 私も開業以来、高石商工会議所さんのお世話になっていますが、高石商工会議所さんは国の「産業競争力強化法」に基づく特定創業支援事業の高石市支援事業者に指定されています。「個別相談」や「創業セミナー」を受け、高石市の証明書を発行されると各種特典を受けられます。


創業融資の際の優遇の他に、株式会社設立登記の際の登録免許税軽減(7/1000⇒3.5/1000(最低額15万円⇒7.5万円)という特典もあり魅力的です。


高石商工会議所の経営支援課がそのサポートをしてくれます。
会費も良心的ですので、創業の方に限らず、高石市近辺の商工業者の方にはお薦めです。

 

2016年05月03日

民法改正③(契約不適合等)

 民法改正第三弾は「瑕疵担保責任」が廃止となり、債務不履行責任の一般的規律として「契約不適合責任」と改正される点です。

従来の瑕疵担保責任とは建物の売買等において隠れた瑕疵(欠陥)がある場合に売主が買主に負う責任のことですが、中古住宅の売買の際に問題となることが多いものでした。

 

(改正後は)一般的に「契約不適合」は「瑕疵」より広い意味で解釈されていることから、売買の際の売主の責任が拡がると見込まれています。

その為、契約書で目的物の性質、売主の保証の範囲等を詳細に規定化することが重要となります。契約にあたっては想定されるリスクを事前に想定し、また想定外のリスクが起こったときの対応として今まで以上に証拠書類の保管が重要となります。

 

 その他の改正として、賃貸借における賃貸人の修繕義務・賃借人による修繕権(従来の通説を明文化)、債務不履行による損害賠償、錯誤の要件明確化等の改正も予定されており、改正後の契約には十分注意が必要となります。

 

(参考文献:東京霞ヶ関法律事務所 「民法大改正で契約実務はこう変わる!」清文社)

2016年04月27日

民法改正②(保証人)

 民法改正(案)の第二弾です。今回は個人保証の制限についてです。

改正民法では事業性債務の個人保証について、経営者保証(注)以外の個人保証については、その保証人となる個人が「その締結の日前1ヶ月以内に作成された公正証書」で保証債務を履行する意思を表示しなければ保証契約の効力が生じないこととされます。

経営者保証に該当するかどうかは制限的に捉えるのが望ましく、微妙な場合は公正証書による意思確認をすべきです。例えば法人の先代経営者である相談役・会長、就任予定の後継者は経営者が保証人になる場合です。

 

(注)経営者保証・・・以下の者が保証人となる場合です。

①法人債務者の理事、取締役(平取締役含む)執行役、またはこれに準ずる者

②法人債務者の総議決権の過半数を有する者等

③個人債務者の共同経営者、その事業に従事している配偶者

 

なお、非事業性の債務、貸金等債務以外、消費貸借以外の契約に係る債務(売買契約、賃貸借契約、請負契約等)に係る保証についてはこの制限は適用されません。

 

(参考文献:東京霞ヶ関法律事務所 「民法大改正で契約実務はこう変わる!」清文社)

2016年04月25日

民法改正①(時効)

 現在、120年ぶりの民法大改正が予定されています(継続審議中)。理論的な理由から改正するもの、判例等のルールにより実務対応していたものを明文化する改正があります。今回からは、そのうち3つだけピックアップし、投稿していこうと思います。

 

現民法では職業別に区分された短期消滅時効の定めがあります。(例えば、大工さんの債権は1年、飲食店の債権も1年、小売商人の売掛金なら2年、工事業者の債権は3年等)

改正案ではこれを廃止して、「債権者が権利を行使することができることを知った時」から5年、「権利を行使することができる時」から10年という二元的消滅時効の期間となります。

 

消滅時効については期間の他、「更新」「完成猶予」(現行は「中断」「停止」)についても骨組みから大きく改正となります。

 

(参考文献:東京霞ヶ関法律事務所 「民法大改正で契約実務はこう変わる!」清文社 )

 

2016年04月24日

創業補助金の募集開始です。

 平成28年度創業・第二創業促進補助金の募集が始まりました。


募集期間は平成28年4月1日から平成28年4月28日(電子申請の場合は4月29日)となります。新たなビジネスモデルにより需要や雇用を創出する事業が対象となります。
以下、簡単にこの補助金のご紹介です。


(1)対象者
平成28年4月1日以降に創業する者であって、補助事業期間(募集期間とは異なります)内に法人の設立又は個人事業開業をする中小企業者
(2)補助率等
補助対象経費の2/3以内で最高200万円
(3)窓口
市町村又は認定連携創業支援事業者(高石市の場合は「高石商工会議所」、岸和田市の場合は「岸和田商工会議所」)
(4)留意点
応募の要件として「金融機関からの外部資金による調達(借入)が十分見込める事業であること」とあり、応募の際に金融機関との折衝が必要です。

 

2016年04月04日

平成28年度税制改正(住宅・土地関係)

 平成28年度の税制改正は消費税軽減税率について与党協議が時間をとられたこともあり、全体として小粒な改正となった感があります。

 

以前に減価償却、中小企業の固定資産税の減税について触れましたが、今回は住宅・土地関係として「相続により取得した空家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を取り上げます。

改正前からある居住用財産の特別控除3,000万円(措法35)の適用に今回、社会問題になってきている「空家」のうち一定の要件を満たすものを追加するというものです。

 

対象となる譲渡は相続時から3年を経過する年の12月31日までに被相続人の居住の用に供されていた家屋を相続した相続人が譲渡する場合です。その家屋が譲渡耐震性の無い場合は耐震リフォームして譲渡又はその家屋を除却した後にその敷地を譲渡する場合に適用があります。


主な適用要件として

①相続した家屋は昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等の区分所有建築物を除く)であって、相続発生時に被相続人以外に居住者がいなかったこと。

②譲渡をした家屋又は土地は相続時から譲渡時まで居住・貸付・事業の用に供されていないこと。

③譲渡価額が1億円を超えていないこと。

です。

 

平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間の譲渡が対象となります。


2016年04月03日

自動車の譲渡②

 前回は個人の自動車の譲渡について、通勤用(主婦の買い物用、子供の送迎用含む)とそれ以外(レジャー用)についてみました。今回は商売用の自動車の譲渡、補足として除却した場合の税務上の取扱いについてみます。

商売による所得は事業所得になりますが、商売に使う自動車は少額なものを除き、減価償却資産となります。その自動車を買い換え等で譲渡した場合は、(総合)譲渡所得として課税対象となります。譲渡損が出た場合は、事業所得等の他の所得と損益通算も出来ます。

 

補足として、商売用の自動車を例えば下取りでなく、廃車した場合は車両除却損として事業所得の必要経費に算入となります。さらに廃車の際、解体屋さんに持ち込み、鉄屑代をもらった場合はどうでしょうか、譲渡?除却?この場合は解体屋さんに鉄屑代をもって自動車を譲渡したものとして取り扱うべきです。

譲渡の場合は当然、消費税の課税取引にもなりますが、下取りの場合等は確定申告時にモレやすいので要注意ですね。


2016年03月29日

自動車の譲渡①

 今回から個人が「自動車」を売却(譲渡)した場合に係る課税関係について、2回に分けて執筆します。

そこで、まず「サラリーマン・マイカー税金訴訟」として知られる判例を取り上げます。

この裁判は最高裁までいき、結果サラリーマンの自家用車の譲渡損失は給与所得から控除出来ないとされました。その理由は本件(通勤用)自動車は「生活に通常必要でない資産」に当たり、その譲渡損失は他の所得と損益通算できない、、からとされました。

この判決については通勤用自動車を「生活に通常必要な動産」でなく、「生活に通常必要でない資産」にした点について税法学者から誤りであるとの批判も出ましたが、仮に「生活に通常必要な動産」とした場合にもその譲渡損益はなかったものとみなされ結果は同じです。

税務実務においては通勤用自動車は「生活に通常必要な動産」として処理し、通勤以外に使用(レジャー使用)する自動車は「生活に通常必要でない資産」として処理します。

「生活に通常必要でない資産」とは別荘や一個30万円超の貴金属・書画等のことで、平成26年改正(H26.4.1~)ではゴルフ会員権もその中に含まれました。

以上、まとめると①通勤用自動車は譲渡益、譲渡損ともになかったものとされる。②レジャー用自動車は譲渡益が出た場合は(総合)譲渡所得として課税(50万円までの特別控除有り)、譲渡損は給与所得等の他の所得と損益通算出来ない。

 

次回は事業用自動車の譲渡、除却についてもう少し書きます。


2016年03月28日

「発信主義」「到達主義」

 3/15付けブログに関連して、今回は税務署への申告書、届出書の郵送に係る「発信主義」「到達主義」について確認してみます。

国税庁HPによると

税務手続に関する書類の提出日は、原則として税務官庁に書類が到達した日となります(到達主義)。
ただし、納税申告書(添付書類及び関連して提出する書類を含む。)や提出時期に具体的な制約がある書類(後続の手続に影響を及ぼすおそれのある書類を除く。)については、その書類が郵便や信書便により提出された場合、その郵便物や信書便物の通信日付印により表示された日が提出日とみなされます(発信主義)。

※ 税務手続に関する書類は「信書」に該当するため、作成済みの書類を送付する場合には、「郵便物」(第一種郵便物)又は「信書便物」として送付してください。

 

つまり、申告納税方式(納税者が自発的に税務申告書を提出する方式)の申告書(所得税、法人税、消費税、相続税・贈与税等の申告書等)は郵便局の通信日付(消印日付)をもって提出日とします。(発信主義)
対して、納税地異動の届出書、消費税課税事業者届出書等はその届出書が税務署に届いた日をもって提出日とします。(到達主義)

届出を忘れると、税額に大きな影響を及ぼす「消費税課税事業選択届出書」「消費税簡易課税制度選択届出書」「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」は発信主義となっています。


2016年03月20日

申告書は「信書」

 本日3/15は所得税の確定申告書の提出期限でした。最近は電子申告が普及しましたので、昔(10数年前)と違い最終日に税務署に走る・郵便局に走るというバタバタはほぼなくなりました。私も本日は再度、電子申告メッセージBOXでの送信確認と書面提出分の受付印確認をしたところです。

ところで、この受付印ですが所得税確定申告書の場合は「発信主義」(消印有効)ですので、3/15の消印があれば3/17に遠方の税務署に到達しても3/15(通信)日付の期限内申告となります。

以前に期限間近の申告書を郵便局のレターパックで送ったことがありますが、(控えの)通信日付欄には投函日付がちゃんと記載されていました。その時は何気なく?!レターパックを利用しましたが、日本郵政のHPをみてみると申告書は「信書」に該当し、レターパックは信書OK、ゆうパックやゆうメールは信書NGとありました。つまり申告書の郵送提出(発信主義のものに限る)は郵便OR信書便(レターパック)の利用が必要ということです。

 

※「発信主義」「到達主義」については次回寄稿します。


2016年03月15日

固定資産税の軽減(改正予定)

 3/4に「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案(中小企業等経営強化法案)」が閣議決定され、本法律案を第190回通常国会に提出されます。その中の大きな柱として固定資産税の軽減策が出ています。

中小企業・小規模事業者等は、経営力を向上させるための事業計画(「経営力向上計画」)を作り、事業所管大臣の認定を受けることができます。認定事業者は、(一定の機械装置の)固定資産税の軽減(3年間半減)や金融支援等の特例措置を受けることができます。(経済産業省HPより)

 

この対象となる一定の機械装置とはア.販売開始から10年以内、イ.旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上する、ウ.1台又は1基の取得価額が160万円以上、のいずれにも該当するものとされています。(税務会計情報ねっ島より)

 

事業計画の認定にはおそらく経営革新等支援機関の事前確認が必要となる見込みです。

 

2016年03月12日

所得拡大促進税制(所得税)

 確定申告シーズンも佳境を迎えてますが、昨年から青色申告事業者が雇用者に払う給与が一定割合増えた場合、税額控除を使えます。措置法10条の5の3、いわゆる所得拡大促進税制です。

 

平成27年度の場合は基準年度(平成25年度)給与より2%増加し(要件①)、前年(平成26年度)より給与(合計と平均)増加した場合(要件②③)に要件①の増加額の10%税額控除(中小企業者の場合、所得税額の20%が限度)が出来るという制度です。明細書を2種類添付し、確定申告書1表、2表に記載すれば適用出来ます。改正もあり、意外と当てはまる納税者は多いと思います。

 

2016年03月04日

住民税利子割(法人)の廃止

 平成28年1月1日より法人が受ける利子等にかかっていた住民税(5%)が廃止となっています。この住民税については法人の決算申告の際に都道府県へ提出する法人住民税申告書に記載され控除・還付されていました。今回の廃止は金融機関、都道府県の事務コスト軽減の為らしいです。なお、個人が受ける利子については従来通り、住民税(利子割)がかかります。

※利子等とは以下のものをいいます。

(1) 銀行や信用金庫などの預貯金等の利子
(2) 特定公社債以外の公社債の利子
(3) 金融類似商品(定期積金、抵当証券、一時払養老(損害)保険等)の利息、差益 等

 

2016年02月12日

平成28年度税制改正(減価償却関係)

 平成28年の税制改正で減価償却制度の改正が予定されています。減価償却の方法には定額法(毎年定額の減価償却費を計上する方法)、定率法(減価償却資産の残高に毎年定率を掛けて減価償却費を計上する方法)等があります。現在、建物については定額法しか選択出来ませんが、今回の改正は建物附属設備と構築物についても定額法のみとするものです。

この改正が決まれば、建物附属設備と構築物を取得(購入)した場合、償却期間の初期(購入した年や2年目)の償却費が定率法より少なくなるので、短期的には増税となりますが、年々償却費が減少していく定率法と違い、定額法は毎年定額の償却費を計上出来るので長期的には減税となります。そして当然ですが、その資産の帳簿価額が1円となる時に償却費合計額が双方同額となります。

また減価償却費はキャシュフローでいえばプラス要因項目ですので、金額の大きくなる建物、建物附属設備、構築物は定額計算の方が資金繰りが立て易いということでしょうか。

ちなみに構築物とはアスファルト舗装(10年)がよく出てきますが、トンネル(10年~75年)橋(15~50年)等の大規模なものが多いです。個人事業では農業関係の設備(よう壁等)も構築物に該当します。

 

2016年02月07日

ふるさと納税

 年々加熱してきました「ふるさと納税」ですが、今年分(平成27年分)の控除に間に合わせるためには、この12月31日までに寄付金支払いを完了させる必要があります。

自治体によってはクレジットカード決済も可能で、その場合には寄付の申込と自治体への入金にタイムラグが発生することがありますので、注意が必要です。

また郵便為替による場合は12月20日頃までを今年分とする自治体もあるので、寄付しようとする自治体に確認するのが無難です。

さらに銀行振込の場合は本年銀行最終営業日が12月30日ですので、こちらも注意が必要です。

 

ちなみに舛行税理士事務所は本年は12月31日の17時まで営業します。

 

2015年12月28日

泉州会社設立センター

 事務所ホームページ全面リニューアルと合わせて、「泉州会社設立センター」も新設します。会社設立は会社法施行後、手続きは簡単になりましたが、創業は手続きよりもまず、ビジネスプランの構築・評価と創業資金計画が重要です。事業継続確率を高める創業をご支援するセンターです。

こちらもどうぞ宜しくお願い致します。

泉州会社設立センター http://newbusiness.sakura.ne.jp/

 

2015年12月01日

ホームページ全面リニューアルしました。

 この度、開業以来親しんで頂きました弊事務所ホームページを全面リニューアルいたしました。

ホームページビルダー20を使用しての自家製ホームページです。まだまだ、お見苦しいところもあるかと思いますが、今後ともご愛顧下さいませ。

 

2015年11月26日