平成29年度税制改正について税理士からの要望

 平成28年8月、日本税理士会連合会、日本税理士政治連盟から平成29年度税制改正に関する要望が出ました。

最重要項目は以下の通りです。

 

〇平成29年度最重要建議・要望項目
1.【災害対応税制】「災害税制に関する基本法」を立法化について
2.【中小法人税制】①事業税の外形標準課税は中小法人には適用しないこと。②欠損金の控除限度額の縮減は中小法人には適用しないこと。
3.【消費税】事業者の事務負担と徴税コスト等を考慮し消費税制のあり方について検討すること。
4.【相続税・贈与税】取引相場のない株式等の評価の適正化を図ること。

 

平成29年度要望ではやはり、延期になった消費税増税と複数税率導入についてのあり方(上記3.の要望)が最大の要望だと思います。日本税理士会連合会、日本税理士政治連盟は当初から単一税率制度の維持を強く主張しています。これは中小事業者の事務負担増大だけでなく、低所得者対策としては非効率(あまり意味ない)との理由からです。平成33年4月から導入予定のインボイス制度では事務負担が著しく増大することから事業者の活力さえ失わせることが予想されています。また免税事業者の市場からの排除も懸念されており、それに対する措置、制度見直しが必要だという要望です。

 

中小零細企業は事務、経理部門に充てる資金が限られており、社長自らが経理事務をすることもよくあります。その経理事務に充てられた時間は生産・販売・サービスの提供・営業活動に使えないわけですから、可能な限り簡素な制度でなければなりません。

 

我々税理士は公認会計士とは異なり、日本の企業数の99.7%を占める中小企業及び一般納税者の税務支援が最大の使命でありますので、毎年政府に対して出す「税制改正に関する要望」もその支援対象の立場から要望を出しています。政治家は選挙のとき以外は中小企業に対して関心を持とうとしません(その様に感じる)が、従業員数でも約7割を占める中小企業こそ国の根幹をなす機関なのです。ですので、中小企業実務の中にいる税理士からの要望は最も尊重されるべきものだと思います。

 

 

2016年09月04日