道の話(後編)
では、道路が土地の評価に与える影響で代表的なものを挙げます。
①セットバック・・建築基準法42条2項に接道している宅地については、建物の改築や立て直しをする際、原則、道路の中心線から2mを道路と土地の境界線として土地を後退(セットバック)しなければなりません。財産評価基本通達においてもこれを勘案しそのセットバックしなければならない部分の土地評価を70%減額することとなっています。
②都市計画道路予定地(建築基準法42条1項4号)の区域にあたる宅地・・その土地について0.7~0.98の補正率を乗じて評価します。
③建築基準法に規定する接道義務を満たしていない宅地、無道路地・・その接道義務を満たすための通路開設部分(2mの道幅)を減額して評価します。
④私道の評価・・建築基準法に規定する道路ではなく、接道する土地の所有者等の所有地となっている道(私道)はその区分により以下の通り評価します。
(a)不特定多数の者の通行の用に供する私道(いわゆる通り抜け私道)はゼロ評価
(b)特定の者の通行の用に供する私道(行き止まりのなっている私道等)は30%評価
以上は財産評価基本通達に載っている代表的なものですが、相続税(贈与税)の土地評価実務においては、財産評価基本通達による評価に入る前にまず、土地及びその周辺の現場視察による土地の利用価値の確認、市役所等の役所調査を通じて建築基準法や都市計画法その他税法以外の法規による規制の確認が必要です。調査をしていて予想外のことにぶつかる事もあります。
土地の評価はその土地の個別事情により大きく評価額が変わる可能性があり、また守備範囲が税法を超えていく場合もありますので、財産評価の中でも特に土地評価は専門性の高い分野といわれています。