人格のない社団、民法上の組合

 法人税法第3条、第4条では「人格のない社団、財団」も法人とみなして(収益事業に対して)法人税を課すると定められています。今回は、この人格のない社団とはどんなものなのか、民法上の組合と比較して考えてみます。

 

 法人税基本通達1-1-1では人格のない社団とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意志の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、民法第667条(組合契約)の規定による組合、商法第535条(匿名組合契約)の規定による匿名組合は含まれないと定義しています。

 

私法上のいわゆる権利能力のない社団・財団がこれに該当しますが、判例(昭和39年10月15日最高判)では

①共同の目的のために結集した人的結合体であって、

②団体としての組織を備え、

③そこには多数決の原則が行われ、

④構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、

⑤その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定している

ものをいうとされています。税法上もこの考え方が採用されています。(法人税基本通達逐条解説 税務研究会出版 七訂版より)

 

一方の民法第667条(組合契約)の規定による組合(いわゆる民法上の組合)は一種の契約関係とされ団体としての組織の性格は有しません。建設会社等が出資し合って大規模工事を行うJV(ジョイントベンチャー)等がよく例示されます。

民法上の組合が収益を得た場合には法人税が課税されず、その収益の分配を受けた組合員が各々課税されることとなります。これをパススルー課税といいます。

 

同業者の任意の組合は原則として民法上の組合に該当します。

上記原則として、、という事は例外がありますが、それは上記判例に示された①~⑤の要件を満たすような組合で「団体としての組織」の性格が強いものは、人格のない社団として収益事業課税されることとなります。

 

 

2016年10月23日