自動車の譲渡①

 今回から個人が「自動車」を売却(譲渡)した場合に係る課税関係について、2回に分けて執筆します。

そこで、まず「サラリーマン・マイカー税金訴訟」として知られる判例を取り上げます。

この裁判は最高裁までいき、結果サラリーマンの自家用車の譲渡損失は給与所得から控除出来ないとされました。その理由は本件(通勤用)自動車は「生活に通常必要でない資産」に当たり、その譲渡損失は他の所得と損益通算できない、、からとされました。

この判決については通勤用自動車を「生活に通常必要な動産」でなく、「生活に通常必要でない資産」にした点について税法学者から誤りであるとの批判も出ましたが、仮に「生活に通常必要な動産」とした場合にもその譲渡損益はなかったものとみなされ結果は同じです。

税務実務においては通勤用自動車は「生活に通常必要な動産」として処理し、通勤以外に使用(レジャー使用)する自動車は「生活に通常必要でない資産」として処理します。

「生活に通常必要でない資産」とは別荘や一個30万円超の貴金属・書画等のことで、平成26年改正(H26.4.1~)ではゴルフ会員権もその中に含まれました。

以上、まとめると①通勤用自動車は譲渡益、譲渡損ともになかったものとされる。②レジャー用自動車は譲渡益が出た場合は(総合)譲渡所得として課税(50万円までの特別控除有り)、譲渡損は給与所得等の他の所得と損益通算出来ない。

 

次回は事業用自動車の譲渡、除却についてもう少し書きます。


2016年03月28日